【愛の◯◯】葉山先輩、しみじみと『愛』について考察する

葉山家

きょうは、晴れたり曇ったり。

 

近所のゲームセンターに行けるくらいには、体調が良かった。

メダルゲームコーナーでしばらく時間をつぶしてた。

思ったとおり、年齢層高め。

ーーメダルゲームって、ほんとうのお金の価値がわかんなくなっちゃいそう。

 

すっかりメダルに飽き飽きしたわたしは、帰った。

 

 

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この前の日曜は、おかあさんに甘えてしまって、子どもっぽいところを見せてしまった。

でも、

じぶんがいろんなひとと、つながっていて、

いろんなひととのあいだに「愛」のかたちが存在しているってことを、

再確認できてよかった。

 

家族愛…ってよりも、母娘愛(おやこあい)、かな。

 

 

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キョウくんとわたしの、愛のかたちはーー、

やだ、じぶんで定義するのも恥ずかしい。

けど、

なんだか気持ちが落ち着く、ホッとする、

そんな、愛情(?)関係。 

 

同年代の、幼なじみの男の子、との間にある、愛。

 

そんでもって、いまわたしは、キョウくんの家庭教師。

だけじゃなくて、5月最後の日曜日は、そうめん作ってあげたり、ピアノの腕前を披露したりした。

 

 

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ベッドに寝っ転びながら、

『わたし、激しい運動、できないんだ』とか、

なんであんなこと言っちゃったんだろ。

キョウくん困惑してた。

下品なことしちゃった。

 

でも、あの日、嬉しかったのは、

キョウくんが、

『なんで大学受けなかったの、もったいない!』

って言わないでくれたこと。

気くばりや配慮以上に、キョウくんの「やさしさ」がにじみ出ていて、

こころがあったかくなって、幸せな気持ちになった。

ああいう、やさしい言葉をかけてくれるキョウくんの「愛情」に、 

感謝したい。

 

 × × ×

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同年代の、女友だち。

同級生の八木八重子や小泉小陽(こはる)、

それに、違う高校だったけど、藤村アン。

 

女同士の友情、も、愛情、すなわちのかたち。

 

先月、悪天候でダメになってたわたしを、

アンが家まで訪ねてきて、

寄り添ってくれた。

やさしく抱きしめて、背中をゆっくりゆっくりとなでてくれた。

まるでおかあさんみたいだった。

アンは、わたしのもうひとりのおかあさんなのかもしれない。 

 

アンがおかあさんみたいなのなら、

後輩だけど、羽田愛さんは、ときどき、おねえさんみたいな存在。 

 

 

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上下関係とか、長幼の序とか関係なしに、

説教してくれたり、

スキンシップでいたわってくれたり、

そんな羽田さんのが身にしみたのか、

卒業式の日の朝、

思わず羽田さんを泣きながら抱きしめてしまった。

 

羽田さんは、わたしの特別な後輩。

 

 

 

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アカ子さんと青島さやかさんは、羽田さんの、同級生の親友。

 

先月、青島さんの家に、羽田さんと一緒にお邪魔したら、

家にあがるなり、青島さんが羽田さんに抱きついた。

青島さんにも、いろいろ悩みがあるらしい。

 

どうやら、青島さん、音楽の荒木先生に想いを寄せているらしくて……、

いわゆる『禁断の』 ってやつだ。

ーーでも、禁断の愛、なんて言いかた、もう古臭いよね。

禁断じゃない。

これも、りっぱな愛のかたち。

 

青島さん。

応援してるよ、わたしは。

陰ながら。

誰がなんと言おうと…ね。 

 

 

【愛の◯◯】なぜスルー? 伊吹先生、誕生日

・目には青葉 山時鳥 初松魚

(めにはあおば やまほととぎす はつがつお)

 

伊吹先生「山口素堂(やまぐち そどう)っていう人の俳句なんだけど、ねぇ、いい句だと思わない?」

 

川又さん「ダメじゃないですか。季語が3つもあっちゃあ」

 

わたし「それは違うと思うわ、川又さん。芭蕉だって、季語が重なる句を読んでいるし。

 それに、たしかに季語が3つもあるけれども、『青葉』も『時鳥(ほととぎす)』も『初松魚(はつがつお)』もみんな初夏の季語だったはず。

 ですよね先生?」

 

伊吹先生「たぶん

わたし「(;´Д`)たぶんじゃ心もとないですよ!!」

 

わたし「でも、季語に関しては、季節の釣り合いはとれているでしょ、川又さん?

 わたしは季語の重複よりも、3つの季語が釣り合っているほうが重要だと思うわ」

川又さん「(くやしそうに)違う季節の季語が混在してるほうが変です……」

 

 

伊吹先生「ねえ、この句、

 

  • 目には青葉
  • 山時鳥
  • 初松魚

 

 が、それぞれ『五感』に対応してるんだって」

 

川又さん「『目には青葉』は視覚ですよね」

わたし「『山時鳥(ほととぎす)』は…、

 ほととぎすが鳴いているんだとしたら、聴覚か」

伊吹先生「そうね。『初松魚(はつがつお)』は、初ガツオを食べるってことで、もちろん、味覚

 

わたし「そう解釈できるなんて、言われてみるまで気づきませんでした。

 さすが国語の先生ですね」

伊吹先生「まぁ、コトバンク*1に書いてあったんだけどねw」

わたし「(;´Д`)国語教師がそれでいいんですか!?

 

 

川又さん「先生、センパイ、気づいたことがあります」

わたし「切れ字がないこと?」

川又さん「は、羽田センパイ、わたしの思考を先読みできるんですか!?」

わたし「そんなことないよー。

 でもたしかに、五・七・五がぜんぶ体言止めっていうのは、カッコいいよね」

川又さん「わたしもそう思います」

 

伊吹先生「『三段切れ』だねっ!(シャキーン)」

わたしと川又さん『スマホでググりながら言わないでください!!

 

 

*1:大辞林 第三版

【愛の〇〇】「コミックガーデン」2019年7月号

葉山家

午後

 

いま、4時。

横にねっころびながら、フジテレビの某レース中継番組(婉曲)を観ていて、いま番組がちょうど終わったところ。

 

……雨かー。

あちゃーっ。

近所の本屋さんに行けないな。

正確には、行く気力がない。

雨天の悪影響による、心身の不調。

 

「(寝返りを打って)買わなきゃいけない漫画雑誌があるんだけどなー」

 

『むつみ、買いたいマンガあるの?

 おかあさんが買ってきてあげようか』

 

あ、おかあさんに聞こえちゃった。

 

「べ、べつにいいよ。マイナーな漫画雑誌でおかあさん探しにくいし、単行本で読めばいいんだし、

 ……でも、好きなマンガが、今月号で最終回なんだ……。」

 

「本音はすぐに読みたいんじゃんw」

「あいにく、その通り」

「雑誌の名前、なんていうの?」

「『コミックガーデン』。

 でもわたしが行かなきゃ、探しにくいからさ、だから、やっぱり」

「むつみちゃーん、いまはスマホって便利なものがあるの知ってる?w

 この雑誌よね? 『コミックガーデン』」

 

コミックガーデン 2019年 07 月号 [雑誌]

 

「そ、そうか今はスマホで1発で画像ツモれるんだ」

「ツモれる、?」

「な、なんでもないよ、おかーさん」

「(わたしの頭に手を置いて)おかあさんはなんでも知ってるよ、知らないことも知ってるかもしれない」

 

困惑すると同時に、冷や汗がいっぱい流れた。

 

「でも品薄でもうお店にないかもしれないよ」

いーのいーのブライアン・イーノ

「(-  -;)唐突なダジャレ…」

「でも連載17年ってすごいわね、あんたの年齢とほとんど変わらないじゃん」

「そうだよ、わたしが物心つく前からずっと続いてた」

 

窓の外は雨。

 

そういえば、

小箱とたん先生、

「雨の描写」が上手かったっけ。

 

『スケッチブック』。

新聞掲載以外の4コマジャンル限定だと、連載期間、上から数えて何番目だったんだろう。

ひだまりスケッチ』よりも長かったよね、たしか。

 

母が「コミックガーデン」を買いに出た

 

『悲しいときは悲しい曲を聴くのよ』

 

正確には記憶してないけど、

『スケッチブック』のとある登場人物が、そんなことを言っていた。

 

べつに悲しい気分じゃないから、

悲しい曲は聞かないけど、

こういう天気でモヤモヤした気分だから、

スローでダウナーな曲を聴こうと思って、

耳にヘッドホンを突っ込んだ。

 

 

 

× × ×

「(o_ _)o…ムクリ」

 

「あれ!?

 お、おかあさん、なにやってるの」

 

おかあさんがいつの間にか帰ってきて、

眠りに落ちていたわたしを膝枕している。

 

「むつみ、おかえり、は?」

「おかえり、おかあさん……」

「もひとつ言うことは?」

「…ごめんなさい。」

「(わたしの背中にもたれて)

 ちがーう!!

「?!?!」

 

コミックガーデン 2019年 07 月号 [雑誌]

 

「ーーあ、

 『コミックガーデン』、よかった、まだ置いてあったんだね。

 わざわざごめんね、おかあさん」

ちがーーう!!w

「え?!

 あ、そ、そっかそっか、

 ありがとう。

 雨の中ご苦労さま、ありがとう、おかーさん」

 

「はい、むつみはよくできる子」

「子ども扱いしないで」

 

そう言いつつも、

目頭がじんわりしてきたが、

少しだけの嬉し涙を、

わたしは我慢したくなかった。

 

 

 

 

羽田さん、

あなたの名前じゃないけど、

『愛』ってものが、わたし、

わかりかけてきたんだと思う。

いろんな人と繋がっていて、いろんな人とのあいだに「愛」のかたちはあるんだけど、

きょうのは、家族愛だった。

 

 

 

【愛の◯◯】お兄ちゃんにPCをプレゼントされた

ニチアサ

おねーさん「あすかちゃん、お誕生日おめでとう!!」

わたし「ありがとうございます!!」

おねーさん「16歳か。

 わたしと同い年だねw」

わたし「5ヶ月間だけですけどねw」

 

おねーさん「知ってる? きょうは6月9日だから、『ロックの日』なんだって」

わたし「わー、すてき!」

 

愚兄「ロックだけが音楽じゃないぞ。世界にはもっといろいろな音楽があるーー」

わたし「『ロックばかり聴いてる』ってバカにしてる?💢」

愚兄「(;´Д`)い、いや、そういうつもりじゃなくて……すまん、切り出し方が悪かった」

おねーさん「きっとアツマくん、大学のサークルでいろいろな音楽を聴いてるから、知識自慢したかったのよ」

愚兄「(-_-;)……」

 

わたし「(^_^;)……。

 ま、いいよ、あやまらなくても。ロックとポップス以外の音楽知らないのは、事実だから」

 

お兄ちゃん「あのさ・・・」

わたし「うん」

お兄ちゃん「誕生日、おめでとう」

わたし「あ、ありがとう…」

 

おねーさん「なに恋人同士みたいになってんのww」

わたし「ち、ちがいますっ」

お兄ちゃん「あすか」

わたし「は、はい」

お兄ちゃん「誕生日プレゼントがある」

わたし「お兄ちゃんから?」

 

わたし「これ、お兄ちゃんのパソコンじゃん」

お兄ちゃん「おまえにやるよ。それが誕生日プレゼントだ」

わたし「お兄ちゃんはパソコンどうするの!?」

お兄ちゃん「まあ大学生だし、自分でなんとかする」

わたし「なんとかする、ってーー」

 

お兄ちゃん「(わたしの頭にそっと手を置き)このパソコン高性能だから、いまよりずっと新聞の原稿が書きやすくなると思ったんだ」

わたし「新聞って、校内スポーツ新聞のこと?」

お兄ちゃん「あたりまえだろ。

 母さんおまえの記事、ほめてるだろ。

 藤村に読ませたら、あいつもほめてたよ」

おねーさん「わたしもほめてるよ」

 

流さん「ぼくだってほめてるよ」

わたし「(*_*; 流さんまで…ホメ殺しってやつですか」

 

おねーさん「ホメ殺しじゃないよ。自分に自信を持って、あすかちゃん。

 あすかちゃん、わたしにないもの、持ってるんだから」

わたし「持ってる、って、もしや」

おねーさん「文章の才能」

 

 

 

わたし「どうしてわかるの、おねーさん……」

 

 

 

お兄ちゃん「あ! あすか、『どうしてわかるの』って言った!! 珍しいなあ、愛の受け売りか?」

おねーさん「わたし、そんなに『どうしてわかるの』って言ってる?」

 

・おねーさん以外のその場にいた全員がうなずく

 

おねーさん「どうしてみんなうなずくの…『どうしてわかるの』が口癖だって、どうしてわかるの?」

お兄ちゃん「(爆笑して)あはははは!」

わたし「あははははっ、おもしろい、おねーさんおもしろい」

流さん「愛ちゃんwwごめんww笑っちゃってw」

お母さん「(*´-∀-)フフフッ、それでこそ愛ちゃんだな」

 

おねーさん「(-_-;)…なんとなく、どうしてみんなの笑うツボにはまったのか、わかる気がする」

 

おねーさん「(^_^ )…ま、部活頑張ってね、あすかちゃん。

 

 (こっそり耳打ちして)とくにサッカー部の取材

 

わたし「あっ……」

 

 

 

 

流さんが、ケーキバイキングの無料券をプレゼントしてくれたが、

おねーさんに「サッカー部」と言われた瞬間、

こころの動揺がはじまったわたしは、

流さんのしゃべることが、うまくあたまに入ってこなかった。 

 

【愛の◯◯】芥川也寸志先生も荒木先生もわかってくれない!!

放課後

学校

図書館

 

「さーて、文芸部、文芸部、っと」

 

「あれ?

 さやかじゃないの」

 

・じーっと本を睨みつけているさやか

 

「ど、どうして文庫本に向かってしかめっ面してるの……」

「(無言で席を立ち)……、

 (カウンターの司書の先生に)この本借ります」

 

「あれ、珍しいんじゃない? さやかが図書館で本を借りていくなんて」

「・・・・・・(思いつめた様子で出口へ向かう)」

「おーい、さやか?」

 

「どうしちゃったんだろ、わたしに気づいてなかったわけじゃないよね?」

 

 

 

 

空き教室

 

だれもいない教室。

教壇に腰掛け、

借りた本を開く。 

 

 

音楽を愛する人に―私の名曲案内 (ちくま文庫)

音楽を愛する人に―私の名曲案内 (ちくま文庫)

 

 

芥川也寸志著、『音楽を愛する人に』。

著者は、芥川龍之介の息子で、作曲家。

いわゆるクラシック名曲100選みたいな体裁で、

10曲目に紹介されてるのが、

チャイコフスキー大序曲 一八一二年』。 

 

 

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 ↑VTR

 

チャイコフスキーの『1812年』』

『Σ( ;゚д゚)ドキッ!』

 

 × × ×

 

『いいよね。『1812年』、こう、勇ましくってさ。

 青島さんらしい選曲だと思う』

 

そう、賢明な読者の皆さんならお分かりのとおり、

4月にアカ子と荒木先生の音楽準備室の片付けを手伝ったとき、

準備室に取り残されたわたしが、CDラジカセで再生していた曲、

チャイコフスキーの『1812年』。

 

その『1812年』を、『大序曲 一八一二年』として、芥川也寸志先生が、わたしが借りた本で取り上げているのです。

 

ただ……。

 

 

この曲ほど世に馬鹿馬鹿しい名曲はありません」(ちくま文庫版36ページ) 

 

大げさなのがお好きな方、馬鹿馬鹿しいものに興味のある方に是非おすすめします」(同37ページ)

 

 

……、

ヒドくない!?

芥川先生。

 

なんだか、4月のことだけど、大事な思い出を馬鹿にされた感じ。

荒木先生と良さを語り合った『1812年』をディスられてる感じがして、

ずっと36ページと37ページの見開きを睨み続けている。 

 

× × ×

 

ただ、いつまでも本のページを睨みつけて芥川也寸志と格闘しているわけにもいかない。

 

あー、やり場のない怒り、どこにぶつけたらいいの。

 

うつむきながら、廊下を歩き続ける。 

 

 

 

 

ボスッ

 

い、いけない、前見て歩いてなかったら、 人にぶつかっちゃった!!

 

「(あわてて顔を上げ)す、すみませんーーって、荒木先生!?

「青島さんだめだよぉ、廊下は前向いて歩かなきゃw」

 

わたしーー、

荒木先生に正面衝突した。 

 

× × ×

「音楽準備室を開けてほしい?」

「その、わがままなのはわかってるんですけどっ、どうしても聴きたいCDがあって」

「困ったなあ」

「(・_・;)」

「わかった。だれにも内緒だぞw」

「(・_・;)」

「お礼は?」

「あ、ありがとうございます、ついむしゃくしゃしてて…すみません、反省します

「(^_^;)おいおい」

 

 

音楽準備室

「なーんだ、『1812年』が聴きたかったのか。

 4月だっけ、ここの片付けしてもらったときに聴いたねえ」

「せんせえ」

「??」

芥川也寸志さんがひどいんです。『1812年』は馬鹿馬鹿しい音楽だって」

「???」

 

当該ページを荒木先生にむりやり読んでもらった。 

 

「ひどくありませんか?」

そうかなあ? 

 だいいち、好みってのは人それぞれだろ?

 もちろん芥川也寸志の意見だから、『好み』っていう次元じゃあないけどさ。

 でも、『批評』っていうのかな、この文章は芥川さん個人の批評であって、青島さんがそんなに深刻に受け止める必要もないんじゃないの?

 芥川さんは芥川さん、青島さんは青島さん。

 それに、悪いけどぼく、この文章で、芥川さんが『1812年』を『馬鹿馬鹿しい曲』って『断定』してるとは思えないよ。

 行間を読む、って言うのかな? ぼく、国語はどちらかというと苦手科目だったし、本読むの得意じゃないけど、こういう言い回しが好きな音楽家の先生って、いるだろ?

 まあ、『まだ』青島さんには、そういう経験って少ないかもしれないけどーー」

 

 

顔じゅうが熱くなるのを自覚しながら、

わたしは我を忘れていた。 

 

 

『そういう経験』って…どういう経験ですかっ

「(^_^;)いや…ぼくが出た大学でまさにこういう言い回しが好きな教授がいたっていう……でも青島さんは、音楽家の先生とかに会う機会は『まだ』あんましないでしょ、ってことで……」

荒木先生はこの本の味方なんですねっ

「(;´Д`)ええ?! ひ、飛躍しすぎだよ、青島さん。冷静になりなよ、よく読み返したほうがいいよ」

(>_<;)この本先生にあげます! 

 さよなら! ごきげんよう! また来週!!

 

 

まちがってるのは、わたしのほうだったって、気づき始めた。

 

だから、小走りに、音楽準備室のある校舎から、脱走した…。 

 

【愛の◯◯】予備校生諸君!

わたし、八木八重子。

100%浪人生。

好きなハン◯ーハン◯ーの登場人物は、クラピカ。 

 

久しぶりに羽田さんの顔が見たくなって、

わがままを言って、

夕方、戸部くんのお邸(やしき)を訪れたのだった。

 

× × ×

 

「八木さん、受験勉強お疲れ様です。

 あ! 

 ついいつものクセで、コーヒー淹れちゃったんですけど、もしかして紅茶のほうが気持ちが落ち着きましたか!?

「(^_^;)大袈裟だねえ」

 

コーヒーを飲む羽田さんの顔を盗み見る。

 

羽田さん、また大人っぽくなって、

美人になった。

 

ーーやれやれ。

 

「あれ?

 珍しい。

 羽田さん、マンガ読んでるの?」

「なぜかそこらへんに文庫本が置いてあって、取ってみたら、漫画文庫だったんです」

「(^_^;)そこらへんってw」

「『生徒諸君!』って少女漫画なんですけど」

 

 

生徒諸君!(3) (講談社漫画文庫)

生徒諸君!(3) (講談社漫画文庫)

 

 

「あー、名前だけみたことある。というか今も続編やってたかも」

「相当古いマンガですね。わたしたちのお母さんの世代…なのかな?

 もしかすると、もうちょい上かも……」

 

「表紙の女の子が『ナッキー』ってあだ名で主人公なんです。ナッキーは中学3年で、『チビ』っていういわゆるお相手役の男子とか、同級生の仲間たちがいろいろいるんですけど、グループの名前が『悪たれ団』っていってw」

「いかにも2つ前の元号的ネーミングねw」

「まぁ、元号が2つ前だからって、絵やことばが古いからって、つまらなくなるわけでは全然ないんですけどね」

「それはそうね。70年代マンガとか80年代マンガとか、ほとんど読んだことないけど」

 

「で、ですね。重要なのは、説明でお分かりの通り、

 主人公のナッキーが通う中学ーー、

 共学なんです」

「そ、それはそうだよね」

共学なんです。

 男子バスケ部の応援したり、『学芸会』っていう行事でミスコンやったり、あ、ミスコンと同時にミスターコンテストも同時開催してた、とにかく共学ならではのイベントが次々に……。(ピキピキ)

 だってですねえ!!

 このページ見てくださいよ! 56ページのいちばん下のコマですけど、男子と女子で一緒にタコ焼き食べてるんですよ!!」

「あ、ほんとだ」

「青春云々以前に、共学!!

 

「(コーヒーを飲みながら)そ、そりゃわたしたち中高と男女別学なわけだからねえ、羽田さんがうらやむのも、理解できなくはない、よ?w」

まぶしすぎます!!

 おもしろいからいいけど!!

「(;ノ∀`)アチャー」

 

 

 

「(コーヒーカップを置いて、)でもねえ。

 よく考えてみれば、わたしーー、

 いま、共学の学校に通ってるんだった」

 

「ポポポポポ( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポカーン…」

「や、共学だけに驚愕、みたいな顔しないでねww」

「どういうことですか? 高校に入り直したんですか」

「お、落ち着いて、羽田さん。

 

 ーー予備校よ。」

「あ」

 

「たのしいよ、予備校。あえて大手じゃなくて規模の小さいとこ選んだんだけど。月謝が安かったから。

 うちの予備校共学だし、そんなに『生徒諸君!』の世界がまぶしいのなら、羽田さんも来たら?」

「(((((((( ;゚Д゚))))))))ふふふふきつなこといわないでください

 

「…(^_^;)ごめん、卑屈なこと言っちゃった。

 

 

 大丈夫だよ、羽田さんなら、どんな大学だって、現役で受かるから」

「(照れて)そ、そうですか?」

「それにあなたまだ若いんだから、受験のこと意識しなくてもいいの。高2でしょ?」

「(;・∀・)八木さん、老け込まないでください

【愛の〇〇】伊吹先生のエールと、あすかちゃんのエール

回想

きょうの放課後

茶店メルカド

わたし

伊吹先生

 

『はい! なんでも好きなスイーツおごるよ、羽田さん』

『別々でいいです』

『(._."Ⅱ)』

『ど、どうしてそんなしょげるんですか』

 

『伊吹先生』

『なーに?』

『わたしこの学校入って正解でした』

『気づくの遅くない?』

『前から気づいてましたけどっ。

 ……でも、伊吹先生みたいな、いい先生、ほかの学校だったら出会えなかったと思う』

『(-∀-`)あらー💓』

 

『話は変わりますが』

『なぁに羽田さん』

『( ^_^ ;)中間テストの、わたしの成績が…その、かんばしくなかったから、声をかけてメルカドに誘ったんですか』

『鋭いわね。他の科目の先生が、「ちょっと羽田心配だぞ?」って』

『(-  -;)はぁ…』

『でもさ』

『でもさ?』

『現代文のテストにしてもさー。

 あたし採点してて、ウッソー! って思ったもん。

 

 ふだんのあなたなら絶対間違えない問題で間違えてるんだもの』

『(ー"ー;)……、

 現代文は96点でした』

それが?

いじめないでください

 

『ねえ、はなしは変わるけど』

『なんですか? 先生』

『(少し声量を落として)羽田さん、戸部先生のおうちに住んでるのよね』

『(ビックリして)知ってるんですか、アツマくんのお父さんのこと』

『卒論の参考文献で戸部先生の本を使わせてもらったの。

 亡くなられたすぐ後のときだったかしら……、気の毒ね』

『元気ですよ。

 アツマくんも、あすかちゃんも、ふたりのおかあさんの明日美子さんも』

『あなたがそばにいてくれるのもいいのよ』

『そんな、わたし支えられて甘えてばっかりで、わたしほんとにタダの居候なんですっ』

『そんなことないよ』

『根拠……』

見つけられるよ、いつか、根拠。

 

 人生は、現代文のテストの問題文とはちょっとだけ違うけど、さ』

『先生……。

 

 

 先生、

笑点』の大喜利に出られそう』

『えw』

 

 

 

× × ×

『じゃあそろそろ帰ります』

『ちょっとだけ待って』

『はい?』

『これ。羽田さんにあげる』

 

『ファッション誌の切り抜き?』

『うん。武彦くん(←先生の旦那さん)の親戚の男の子が読んでたんだけど』

『ってことはメンズ向けじゃないですか。どうしてわたしに』

アツマくんに買ってあげる服の参考にして

 

『せ、せ、せんせい、もしかして、もしかして』

 

『知らないと思った? むしろ』

 

『降参です、先生』

『「どうしてわたしの気持ちがそんなにわかるんですか」とは言わないのね』

『(>_<;)……降参です、先生』

『おごってあげる♥』

 

 

 

回想終わり

わたしの部屋

 

「……(´Д` )ハァ、

 なにやってんだろ、わたし」

 

 

 

「(  -  -  *)ウトウト」

 

 

・・・・・・・・・

 

あれ?

 

わたしの肩に、「はらり」と薄い毛布みたいなものがかかった感覚。

 

「Σ(´□`;)ガバァ

 

 

 あ、あすかちゃん?」

 

あすかちゃんが、いつの間にかそばに立っている。

 

「(´∇`)ダメですよー冷えますよー、クーラーしたまま居眠りは」

「あ、ありがとう。

 冷えひえになったまま、朝を迎えるとこだった、」

「おねーさん。」

「?」

 

「( * ॑꒳ ॑*)۶"ナデナデ」

 

!?!?

 

無言で、

わたしの頭をなでてくれる、

あすかちゃん。

 

「……よしよし。

 おねーさんは、いつまでもしょげてないって、わたし、わかるから。

 

 ーー頼れる愛さんに、すぐ戻るから。

 わたしたちを支えてくれる、愛さんに」

 

「(゚д゚;)説教タイム……」

「説教じゃないです、激励です。」

 

 

「ーー説教も激励も、いまのわたし、一緒くたになって受け止めてしまったりする……、んだけどw

 

 ありがとう……。

 ありがとう……あすかちゃん」

 

あすかちゃん、えらいね。

ひとつ年下だけど、

わたしのおねえさんだ。

 

 

 

あっ、

わすれてた、

もうすぐあすかちゃんの誕生日。

ついでに、伊吹先生も誕生日だ。

【愛の◯◯】文芸部の3人にタジタジ

放課後

文芸部カツドウ。

 

川又さんは読書し、

香織センパイは原稿用紙に小説を書いている。

 

わたしはーー、

自習。

 

らしくないけど。

文芸部とは関係ないけど。

 

 

 

……成績が伸び悩むのが怖いの

 

香織センパイ「あれ? 羽田さんーー、」

わたし「( ºωº ;)はい! なんでしょうか」

香織センパイ「うふふ、大げさね。

 羽田さんアホ毛が一本立ってるって、気づいただけ」

 

(OдO`)

 

わたし「orz そんな……身だしなみには気をつけてるはずなのに」

香織センパイ「そういう羽田さんの意外におっちょこちょいなとこ、好きだよ

 (´∇`)」

 

川又さん「羽田センパイ」

わたし「なぁに?」

川又さん「服を買ったそうですね」

 

わたし「どこからそういう情報が漏洩するの……」

 

川又さん「漏洩って…w

 どこからともなく、でしたよ」

 

そこに伊吹先生がやってきた。

 

伊吹先生「羽田さん、オシャレに興味あったの?」

 

わたし「し、し、しつれいなっっ」

 

伊吹先生「ファッション雑誌読んだことなさそう」

 

図星……。

 

香織センパイ「(ボソリと)なんにもしなくても綺麗なんだから……うらやましい」

 

わたし「か、かおりせんぱい、お世辞はやめてもらえますか」

伊吹先生「(わたしの背中をポンポン叩き)謙遜しなくてもいいじゃん! かっわい〜い💓」

 

川又さん「そうですね、羽田センパイは自分に自信を持つべきですね」

 

わたし「いろいろありがとう、川又さん」

川又さん「いろいろ、?」

 

× × ×

 

伊吹先生「でも羽田さん割りとズボラなところあるよね」

わたし「なにがおっしゃりたいんですか先生」

伊吹先生「わたしが家庭訪問したとき、ブラジャーちゃんと留めてないまま出てきたことあったじゃん」

わたし「そ、そのはなしはやめてぇぇえええええ!!

 

 

 

絶叫したので当然伊吹先生ともども司書の先生に叱られてしまった。

 

 

× × ×

 

わたし「ファッション誌読まないのは認めます。

 でも服ぐらい買いますって!」

 

伊吹先生「でもそれ以上に本とCD買うでしょ。

 わたしこの前タワレコで羽田さんらしき女の子見たよ」

 

(--;)誰かさんと同じことを言う伊吹先生である。

 

orz それにしても目撃されちゃったのか、わたし……。

 

香織センパイ「自分の買うのもいいけどさ」

わたし「?」

香織センパイ「買ってあげないの?」

 

わたし「だ、だれに買ってあげるんですか、服を、わたしが」

 

伊吹先生「『どうして服を買ってあげたい人がいること知ってるの!?』って顔してるよ羽田さん」

 

 

ピンチ。

 

にしてもアツマくんとわたしのこと、伊吹先生、どんだけ知ってて言ってるんだろう。

 

× × ×

 

帰り道

 

川又さん「センパイ。」

わたし「ん?」

 

嫌な予感。

 

川又さん「センパイは、じぶんの服を買うより、だれかに服を買ってあげたいんですか?」

 

 

わたし「か、かわまたさんは、どうしてそんなに純粋なの……」

 

川又さん「……?

 わたし、気になります

 

わたし「よ、よねざわほのぶとか、よむんだぁ!!

 

川又さん「読みませんが。」

わたし「(   ºΔº )」

 

 

 

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わたし「そ、そうよね、川又さん髪長くないし

川又さん「? ますますわたしが気になること言うじゃないですか。」

 

 

 

 

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