【愛の◯◯】ミヤジをいじくるのが面白すぎて国語の勉強を教えてあげたくなってきた☆

 

放課後。

いまだ部長であるスポーツ新聞部の活動教室に、まっしぐらに向かっていく。

 

加賀くんを軽くおちょくってから、取材へ。

 

× × ×

 

さて。

ふたたび外に出たはいいものの。

 

「…どの運動部を取材しよっかな」

 

5分間考えた。

 

「…バドだ。バドにしよう。バドミントン部に行ってみよう」

 

決めて、体育館へ。

 

× × ×

 

寒空の下を、体育館へと向かってわたしは歩く。

 

体育館が近づいてきたときだった。

 

前方に、わたしをさえぎるようにして、男子生徒の立ち姿。

 

……本人に、わたしをさえぎる意図はなかったにしても、『やっかいな男子に出会ってしまったセンサー』が、過敏に反応しまくっているという事実は否定できない。

 

渡り廊下の柱に……児島くんが、背中を預けている。

 

「なんでここにいるの。児島くん」

「……あすかこそ。」

「わたしはバド部に取材に行くの」

「……おまえ、まだ部活やめてなかったのかよ」

「悪い?」

 

「悪い?」とトゲトゲしく言って、トゲトゲしく児島くんを見る。

 

すると、

「……自由だな、おまえは」

とやや意外な反応。

 

「よっぽど児島くんのほうが自由でしょ」

と言ってみると、

「んなことねーよ……」

と否定。

 

なんか、ヘンだ。

停学処分前のおちゃらけたテンションは、どこに行っちゃったのか。

 

「なんだか、沈んでるみたいだね、児島くん」

彼は黙って下を向いた。

「停学処分が、まだこたえてるの?」

「……」

「あのさぁ」

「……」

「わたし、児島くんのこれからのこと、ほんのちょっとだけ心配してるんだけど」

「……」

「これからどうするの? 大学、受けるの?」

「……」

視線を逸らし気味に、

「ごめん。……答えられない」

 

× × ×

 

答え「られない」のか、答え「たくない」のか。

ハッキリしてほしかった気もあったけど、問い詰めたりはしなかった。

 

彼、4月から、どうするのかな……マジで。

 

× × ×

 

児島くんの今後のことをあたまの片隅に置きつつ、バド部にインタビューをした。

 

体育館を出る。

活動教室に戻ろうと、歩いていく。

 

その道中。

図書館がある方角から、ひとりの男子生徒が、こちらに向かって歩いてくる。

またもや、見覚えのある男子。

 

「――ミヤジじゃん!」

 

呼びかけるわたし。

立ち止まるミヤジ。

 

『うげ』と言っているような口の動きに見えたのは、見逃してあげよう。

 

「児島くんとエンカウントしたのが気にならなくなってきたと思ったら、こんどはミヤジとエンカウントしちゃった」

「エンカウントエンカウントって、口ぐせか? あすかの」

「――そんなにしょっちゅうエンカウントって言ってる?」

「そんな気もしてる」

「ふーーーん」

ミヤジのカバンを凝視しまくるわたし。

「双眼鏡は? 双眼鏡は持ってきてないの、きょうは」

コクンと首を縦に振るミヤジ。

「なんで?? 野鳥がキライになっちゃったの??」

「んなわけあるかっ」

即座に否定し、

「受験が近いから、バードウォッチングは自粛中なんだっ」

 

マジっ

 

「……なんでそんな大げさにビックリするんだよ。両手を上げなくたっていいだろ……」

「ゴメンゴメン、バンザイポーズは、やりすぎだった」

「推薦合格組の余裕のあらわれか」

「そうともいう」

「僕が温厚なタチでよかったな」

「ほんとにねえ」

「――僕だって、そこそこ入試対策がんばらないといけないんだよっ。あんまり難易度は高くないにしても…」

「二流大学だよね。ハッキリ言って」

ハッキリ言いすぎだっ!!

「ゴメンってばあ」

「…人によっては、暴れてるところだぞ」

「あのね、」

「…?」

「わたし、ミヤジとなかよしだから。だから、あえて、『二流大学』なんていう言いかたをしたの」

「理屈もなにもないよな……? それ」

「えへへへん」

「あすか……おまえは、もう少しロジカルな人間だと思ってたのに」

「お、『ロジカル』なんてことば、知ってたんだね。超意外」

「超をつけるな」

 

――楽しくなってきちゃって、

「ねえねえ、さっきまで、図書館で勉強してたんでしょ?」

「してたよ?」

楽しい楽しい含み笑いで……わたしは、

延長戦

というワードを……ぶつけてみる。

「はあ??」

「勉強の、延長戦だよ、ミヤジくんっ!!」

「そ、それ、どういう……」

「1時間後に、図書館の入り口に来て」

「???」

「どっかのお店で、わたしといっしょに勉強しよーよ☆」

「!?!?」

「なに混乱してんの!! わたし、国語教えてあげようと思ってるのに。国語の偏差値、15は上がると思うよ!?」

「へ……偏差値が上がる上がらない以前の問題だぁっ」

 

あー。

 

「まあ、わたしとミヤジで勉強してる光景は、傍(ハタ)から見れば、彼女彼氏な光景に見えちゃうのかもねえ」

「誤解…されないほうが…おかしいまで…あると思わないか!?」

ダイジョーブ博士だよ。わたし、そんな気ぜんぜんないから☆

 

「あすか……」

「なぁに」

「女子の冷酷さって、すごいんだな」

「いまさらだねーっ」

 

 

 

 

 

【愛の◯◯】どーしたよ、愛。

 

なんだか、愛が、低空飛行だ。

きのう、大学から帰ってきたあたりから、様子がおかしい。

ずっと下ばっか向いてる感じがする。

 

× × ×

 

微妙な変化は、あいつが作る料理のクオリティにも反映されるから、恐ろしいものだ。

 

きのうの夕食当番は、あいつだった。

きょうの朝食当番も、あいつだった。

 

みんな、文句のひとつも出さないのは、当たり前として。

 

――それでも。

長年あいつの料理を食べてきている人間であるおれとしては、味の微妙な『ゆらぎ』が…見過ごせなかった。

 

いつものあいつの料理偏差値が80だとして。

 

きのうの夕食は73、

きょうの朝食は71、

 

――そんなところじゃないか、と、おれは思った。

 

もちろん、料理偏差値47とかのおれが、とやかく言う必要もない、というのもまた、真理だが。

 

だけどなあー。

 

× × ×

 

午前10時過ぎ。

 

愛が、台所掃除をしている。

 

 

――思い切って、後ろから、肩を叩いてみる。

 

ふわあっ

 

――おかしなリアクションしやがって。

 

「な、な、なんなのよ、ビックリする……」

「愛さーん」

「だから、なに!」

「手伝いたいんですけど。」

「え……」

きっぱりとおれは言う、

「元気が出ないのに、台所キレイにしようとしても、能率は上がらんぞー」

 

「どうしてわかるの……。

 どうしてわかるの、わたしが、元気、ないって……」

 

「どアホ」

 

左の握りこぶしで、優しく、軽く、愛のオデコをとん、と突く。

 

「アツマくん……」

 

顔面が発熱を開始し、ドギマギ。

 

「16時間前からわかってんだよ。おまえの不調ぐらい」

シンクをがしがし洗っていきながら、

「いったいぜんたい、どーしたってんだ??」

 

台所を磨きまくるおれ。

愛の出る幕がなくなっていく。

 

「そ…そんなに前からわかっていたなら、どうしてもっと早く言ってくれなかったの」

「それはこっちの落ち度だ。謝る」

 

そうだよな。

もっと早く言えばよかったんだよな。

 

「すまんかった。おまえの作った朝飯を食うまで、言ってやる決心がつかんかったんだ」

「朝ごはんが、どうかしたの?」

「……」

「ね、ねえっ」

「愛よ。

 立ち続けてるのも……けっこうツラいものがあるだろ。

 座って、おれの仕事ぶりでも、観てろよな」

 

× × ×

 

ピカピカになった台所を見て、じぶんの無力さにダメージを受けたのか、愛は、からだを小さくして、うつむきまくっている。

 

意外な一面だなあ!

 

弱々な声で、

「意外な一面って……、なにが」

「弱りきってるおまえの姿」

「し、しかたないじゃない、モヤモヤしてるんだから……」

「モヤモヤしてるおまえも、かわいいぞ

「!?」

「気が済むまでモヤモヤし続けるっていう手も、あるっちゃあるが……」

「……」

「それもまた、過酷の極みなわけだ」

「……」

「愛。おれはおまえを、いくらでも受け止めてやるから」

 

ピク、と反応があり、

少しだけ、目線が上がる。

 

すかさず愛のあたまに手のひらを乗っける――おれ。

 

カウンセリングの手始めだ。

 

「……」

なにも言えなくなってしまった愛。

 

 

 

ときおり、あたまをさすってやりつつ……10分、待った。

 

なんとも言えないほど、弱って、困って、ピンチな表情で、

たすけて

と、やっとのことで口を開いてくれた。

 

「よっしゃ。助けちゃる。

 おれの部屋に、移動だな」

 

× × ×

 

泣きたい

「泣けよ。だれも見てない」

「…部屋、入ってから」

「意地っ張りが」

「ごめんね…意地っ張りで」

「……反発なしかよ」

 

 

 

 

【愛の◯◯】確執、大爆発。

 

サークル部屋に入ったら、大井町さんひとりだけ。

訊けば、先輩が何人か来ていたが、全員帰ってしまったらしい。

ふたりきり。

 

「――日曜以来ね」

笑いかけつつ、言うわたし。

「ええ、そうね。」

そっけなく答える大井町さん。

 

わたしと視線を合わせることなく、スケッチブックに鉛筆を走らせる。

デッサン、か。

 

「デッサン中なのね」

訊いてみる。

「…見れば、わからない?」

 

あー。

突っぱねるように言われちゃったー。

 

大井町さんらしい反応といえば、反応。

 

――どうしよっかな。

デッサンのジャマをしたら、怒られちゃいそう。

水島新司先生追悼の意もこめて、まだ読んでいないドカベンシリーズや『あぶさん』や『野球狂の詩』の単行本でも読もうかしら……。

なにしろ、手塚漫画に匹敵するぐらい水島漫画が充実しているんだもんね、このお部屋の漫画棚。

 

× × ×

 

田淵がダイエーホークスの監督だった時代の『あぶさん』を読んでいたら、大井町さんがデッサンの手を止め、鉛筆を置いた。

 

頬杖をつき、わたしを見ている。

ちょっとコワい。

 

「どうしたの?」

「なんでもない」

「…ほんとに、なんでもないの?」

 

プイ、と眼を背ける。

あまり可愛げのない仕草…。

 

……話せば、わかってくれるんじゃないか。

そう思った。

根拠は薄弱。

彼女がなにを『わかってくれる』のかも、判然としない。

それでも、それでも……彼女とのコミュニケーションを、増やしていかねば。

なにより、このサークルの1年女子は、わたしと彼女のふたりしかいないんだから。

 

「……ねえ、大井町さん。こっち向いて」

「……」

「横目で見るだけでも……いいから」

 

振り向く彼女。

横目どころか、まっすぐに向き合うように、視線を当ててくる。

 

「横目は卑怯だと思ったから、からだごとあなたに向けてあげた。満足? 羽田さん」

挑発混じりの声。

ちょっと、イヤな気持ち。

 

…わたしは我慢して、

「ありがとう、見てくれて、わたしの顔。

 大井町さん。

 せっかく、だれも来る気配なくて、いい機会だから。

 マンツーマンで、相談したいことがあるの」

 

「……相談? なにを??」

 

『4月から、ひとり暮らしをしようかどうか、悩んでいるの。自活中の大井町さんから、なにかアドバイスはある?』と言おうとした。

 

しかし――わたしが口を開く前に、

とんでもないことを、彼女が言ってきた。

 

「もしかして、

 いまの彼氏が満足できないとかじゃ、ないわよね…」

 

 

カチン。

 

 

さすがに、

さすがに、怒るわよ!? 大井町さんッ。

 

 

「……バカ言わないでよっ。そんなこと相談するわけありえないじゃないっ。なにを考えてんの!? 大井町さん

 

 

どういうわけか、口元を緩める彼女。

わ、

わ、

わらうんじゃないわよ!!

 

 

「相談を持ちかけるからには、もっと真面目なことを言うに決まってんじゃない!!

 ……アツマくんと、うまくいってないわけなんかないし」

 

微笑み続けの彼女は、

「満足、できてるんだ。…よかったこと」

 

そ、

その口ぶりも、ありえないっ!!!

 

わたしがそーだんしたかったことをいわせてよっ!!!

 

さすがに、『あぶさん』の単行本をブン投げたりは、しなかった。

でも、そんなような勢いで、キレていた……。

 

「――ひとり暮らしの、ことよ。相談ごとってのは」

 

「はあ??」

 

首をかしげるなっ。

 

「もう一度言うわよ!? わたし! ひとり暮らしをするつもりも、あったりするのっ!!」

 

まさにまさに『意味がわからない』といまにも言わんとしてるような、顔。

そんな眼で見てくるなっ!

 

心拍数が急激に上がってきて、

大声を出すのがキツくなってくる。

 

「…………ほんとにもう。

 大井町さん、あなたに、いいアドバイスがもらえると思って、相談しようとしたんだよ?? わたし。

 台無し。」

 

「台無し、って」

 

「あ、あなたが、いまの彼氏がどう…とかふっかけるから、ぜんぶオジャンになっちゃったじゃない!!」

 

「――確認するけれど」

 

「な、なにをよ」

 

「羽田さんは、ひとり暮らしを始める気があるわけ?」

 

「あ…あるわよ。確定では、ないけど」

 

――冷たく、

 

甘いわ。やめときなさい

 

と、断定してきた、大井町さん。

 

 

わたしの理性が喪われるのに……さほど時間は、かからず。

 

 

 

 

 

【愛の◯◯】持たない妬みが加速していく

 

羽田さんに出くわした。

 

出くわしたのは、新宿。

画材店で買い物をして、デッサンの練習がやりたくて、デッサンをする場所を探しに、スケッチブックを小脇に抱えて歩いていた。

 

歩いていたら――見てしまった。

羽田さんが、背の高い男の人と、寄り添いながら歩いているのを――。

 

ときどきサークル内で話題にのぼる、『アツマさん』その人だった。

紛れもない、羽田さんの、年上の、彼氏。

 

 

羽田さんとアツマさんのふたりとは、立ち話だけで別れた。

『これからふたりで喫茶店でホットケーキを食べる』という、不要すぎるぐらい不要な情報だけを得て、わたしはあのふたりから、離れた。

 

逃げ、だったんだろうか。

仲睦まじい男女…しかも、羽田さんとその彼氏という組み合わせの姿を、あまり長い時間見たくなくて。

それは、つまり……逃げ、だったのかもしれない。

 

あるいは、本能的に、避けた。

あのふたりを。

とくに、羽田さんを、避けた。

 

……なんでも、持っている。

羽田さんは、彼女は、なんでも持っている。

寄り添い、愛する、男の人だって持っている。

 

現実を目の当たりにすると、

こころはしばらく落ち着くことはない。

 

 

× × ×

 

なかば放心状態で西武新宿線に乗り込んだ。

 

下車して、徒歩15分以上かかるアパートまで、ゆらゆらと歩いた。

 

行水(ぎょうずい)のようなシャワーを浴び、上下ジャージになる。

ベッドに、うつ伏せに飛び込む。

きしむベッドの音に…不快になる。

 

 

羽田さんは。

彼女は。

 

……彼女は、愛する男の人のために、料理を作ってあげられる。

……彼女は、愛する男の人のために、ピアノを弾いてあげられる。

 

ほかにも……。ほかにも……。

 

ほかにも……っ!!

 

 

じぶんひとりで生きているのが、バカバカしくなる。

諦念?

絶望?

これは、どんな感情?

 

やがて、

やがて……、

黒々とした感情が、

嫉妬』というしかない激しい情動に、成り変わっていく。

 

なんであの娘はなんでも持ってるの。

なんでわたしはなんにも持ってないの。

 

環境なんか。

環境なんか、恨みたくない。

 

わたしは、近ごろ流行りの、『親ガチャ』なんていうことばを濫用して自分勝手に嘆いている連中の、真逆だ。

 

わたしは、嘘偽りなく、家族を尊敬している。

身近な、大事なものを、恨まない。ぜったいに恨みたくない。

 

……それでいて。

それでいて、羽田さんという娘に対する嫉妬を抑えきれない。

彼女の境遇を恨む気持ちがどんどん高まっていく。

 

自炊も、身の回りのこともほったらかしのまま、夜を迎えた。

大学入学とともにアパート暮らしを始めてから、こんなのは、初めて。

 

× × ×

 

晩ごはんを作れなかった。食べられなかった。

 

長い時間眠っていた。

夢の存在しない眠りだった。

 

 

最寄り駅へ向かう道中。

きのうの激しい嫉妬を、がんばって抑え込もうとして、切り替えていこうとして、いつもよりもだいぶ緩い速度で、歩きつつ……、思考をめぐらせた。

 

 

わたしが、

羽田さんに、

勝っていること。

 

それは、

ひとりで生きられている、

ということ。

 

生活を、ひとりでがんばっているということ。

 

学業と、(掛け持ちの)バイトを両立して。

生活費を、じぶんで稼いで。

 

――例えば、こういう境遇に、羽田さんが、なったとしたら?

 

たぶん、

たぶん――、耐えられない。

耐えられないはず。

 

彼女は、ひとりで生きていけない。

わたしは、ひとりで生きていけている。

 

…各駅停車を待つホームに立っていると、笑いがこみ上げて、大変だった。

変な目で見られたくないから、噛み潰した。

 

テンションが正常じゃないのかもしれない。

でも、まだ大丈夫。

 

× × ×

 

第二文学部の講義までの時間を、サークル部屋で過ごそうとした。

入室したら、新田くんがいた。

 

羽田さんは不在だけど、新田くんの存在のせいで、ストレスがぶり返す。

 

羽田さんと新田くんさえいなければ、完璧なコミュニティなんだけど。

 

……悪い女だな、わたし。

 

 

 

 

【愛の◯◯】ホットケーキとジーンズ

 

朝5時ちょうどに目が覚めた。

よし。

バッチリ。

彼は…アツマくんは、まだグーグー爆睡中のはず。

 

× × ×

 

「予想通り遅く起きてきたわね」

「まあ、日曜でもあるし」

「マグレだったのかしら、きのうの早起きは」

「うっせーなー、誕生日の本気だよっ! きのうのは」

「ウフフ」

「愛!! おれは朝飯食う」

「わたしもつきあってあげる」

「…食べたろ? おまえはもう」

「食べたよ。食べたけど、いっしょに行く、ダイニング」

アツマくんの左手を軽く握りながら、

「あなたといっしょにいたいもん♫」

「…ちょい恥ずい」

 

× × ×

 

朝食をがっつくアツマくんを観ていた。

 

「はい、お茶」

食べ終えた彼に、湯呑みを差し出す。

「気が利くな」

「ありがとう」

――わたしは右腕で頬杖をつきつつ、

「あなた、きのうの夜は、ずいぶんお酒を飲んでたんだってね」

「つきあわされたんだっ」

「――盛り上がりたくもなるわよ、明日美子さんも、流さんも。なんたってあなたの誕生日なんだもの」

「バースデーケーキの代わりが、酒になった感じだった」

「ごめんなさいね。バースデーケーキ、作る余裕なかったの」

「べつにいいって。おまえに過度に負担をかけたくない」

 

優しい。

 

「あすかまで乱入してきて、カオスな飲みになっちまった」

「あすかちゃんも飲んだの?」

「ばばバッキャロ!!! 飲ませるわけねーだろ、未成年に」

「知ってるわよ、冗談よ」

「危なっかしい発言を、朝っぱらから…」

「スリルがあっていいじゃないの」

よくねえ!!

 

× × ×

 

「…1日遅れだけど、バースデーケーキ、買いに行く? 吉祥寺に穴場のケーキ屋さんがあるのよ。わたしのお金で買ってあげるけど」

「そこまで気を遣ってほしくない」

「ま、あなたはそもそも、ケーキ大好きってわけでもないものね」

「そうだ。だから、わざわざ吉祥寺まで買いに行かなくたっていい」

「だけど、ホットケーキは、大好物」

「……」

「わたしが作ってあげたホットケーキに、いつもあなたは眼を輝かせるんだもの」

「……」

「否定できないのね」

 

× × ×

 

あ! ひらめいた

「と、唐突な叫び声は自重」

「ごめんごめん、たしかに唐突だったわ」

「いったいぜんたい、なにをひらめいたのか」

「ホットケーキよホットケーキ」

「はあぁ??」

「新宿」

「新宿がどーした」

新宿駅から徒歩20分ぐらい離れたところに、ホットケーキの美味しさが評判のカフェがあるらしいのよ」

「…行きたいんだな」

「行きましょ。きょうがいいわ。せっかく日曜だし」

「徒歩20分…か」

「なに? そこが懸念材料なの? アツマくんだったら30分だって40分だって歩いて行けるでしょ」

「おれの脚力を過大評価してねーか」

「ぜんぜん過大評価じゃないから。どーしてそんなこと言うのかなあ」

「…」

「むしろ、アツマくんより脚力があるひとなんているの??」

「ばっばかいうな」

「……半分は、冗談でした」

「半分って、おい」

 

× × ×

 

そんなこんなで、新宿まで出てきたわたしと彼。

 

てくてく歩く。

ぴったりついてくる彼。

10分歩いても15分歩いても、彼は少しも離れずについてきてくれる。

アツマくんのそういうところ…好きだよ、わたし。

 

「…で、カフェは、どこ?」

「もうすぐ見えてくるはずよ」

「混雑してねーだろーな」

「まあ五分五分ね」

「もし、行列なんかできてたら…」

「あきらめる、なんて言わせないわよ。あなただって、ホットケーキ大好き人間なんでしょ!?」

 

もうちょっとで、お店が見えるはず。

 

 

――おや?

前方に、知り合いのような姿が…。

 

女の子。

肩までの、黒髪ストレート。

ぴっちりとしたジーンズ。

 

…そのジーンズに、非常に見覚えがあって。

 

わたしより、少し脚が長くて、

履いているのは、いつもジーンズ。

 

――やっぱりだ。

 

スケッチブックを、小脇に抱えている、ということは――!

 

 

 

 

【愛の◯◯】愛を起こす。祝福されて、愛情を向けられる。

 

愛より早く起きることに決めていた。

 

目覚まし時計のアラームをセットした。

前回、アラームをセットしたのは、大学受験のとき。

だから……およそ3年ぶりのアラームか。

 

× × ×

 

けたたましいアラームが鳴った。

覚悟を決めて、ガバリと上体を起こした。

勢いで、掛け布団がベッドからずり落ちた。

寒い。

寒いが……寒さに震えているヒマなどない。

 

スマホの動画を参考にしつつ、ラジオ体操。

もちろん、第一も第二も。

第二までやり遂げると、いい具合にからだがあったまってくる。

 

ウダウダやってるヒマは皆無。

行動を開始しないと、愛が起きてきてしまう。

 

× × ×

 

そっと、愛の部屋のドアを開ける。

 

よかった。

愛はベッドで熟睡中だった。

 

――おれの、勝ちだ。

 

いや。

勝ちとか負けとか、そういう話では、本来、ないんだが。

それでも――愛より先に起きて、愛の寝顔を見ることができて、『やった!!』という感情を抑えきれない。

 

あぐらをかいて、愛の熟睡を観察する。

 

観察も、そこそこに――時計を確かめる。

 

時計の針が示すのは、午前5時25分。

 

……さっさとやっちまうか。

 

音を立てすぎないように立ち上がる。

幸せそうな愛の寝顔を見下ろす。

見下ろすのは、ほんの少しだけ。

ベッドの端に静かに腰を下ろす。

すぐそばに、眠っている愛。

夢の世界に浸っているんだろう。

 

ごめんよ、愛。

夢から、覚めさせてしまって。

 

肩を優しく、2度叩く。

すぐには目覚めず、おれ側に寝返りを打ってくる。

おれの右手を、愛の右肩にくっつけて、さすってみる。

 

ムニャムニャ…とうわ言を言うように口を動かしたかと思うと、徐々に、眼を開けていく。

 

間近のおれの存在に、気づく。

 

とたんにバァッ!! と跳ね起きる。

 

……!

 

びっくりする愛。

まあ、そうだよな。

 

「おはようさん」と、愛に顔を向けて言う。

からだ半分掛け布団に包まれて、愛はおれの顔をまじまじと見る。

 

「どうしたよ」

「どういうことなの……これ」

「起こしに来た」

「信じられない……あなたがわたしより早く起きて、わたしの部屋まで起こしに来るなんて」

「まだ、現実味、ないんか?」

「夢じゃないのよね。現実なのよね」

「おまえの腕をつねって、現実なことを思い知らせてやろうか」

「……お断り」

 

顔を背けてしまう愛。

壁掛けのカレンダーを、眺めているようだ。

 

もちろん、カレンダーの1月22日には、でっかい花マルがしてある。

 

顔を背けたまま、

「アツマくん」

「うむ」

「まず、わたしを起こしてくれて、ありがとう」

「おう」

「起こされて、悔しくもあるけど……とにかく、ありがとう」

「おう」

「それから、それから……」

ここでいったん息継ぎをして、

「あなたの、誕生日が、来たわね……おめでとう」

 

ったく。

 

「それで、祝福したつもりかぁ??」

軽~い口調で、愛の背中めがけて、ことばを投げかける。

 

「……あなたがベッドに座ってると、祝福がしにくい」

「なんじゃそりゃ」

「と、とにかくっ、こういうシチュエーションは…ダメだと思うのっ」

 

掛け布団から抜け出し、床に立つ。

おれに背を向けたまま、手ぐしでじぶんの寝グセを直す。

そしてようやく、おれの方向に振り向いてくれる。

 

おれもベッドから立ち上がっている。

 

お互い、近づく。

 

160.5センチの愛を、正面から見下ろす。

 

なぜか、吹き出しそうになってしまう。

 

「……なにがおかしいわけ!?」

「す、すまんすまん」

お笑い番組のコントじゃないでしょーがっ」

「すまん、わかってる、わかってるから」

「そんなニヤついた顔で謝んないでよ…」

「かわいいな」

「!?」

「朝から、愛が、愛らしさ、全開だ」

「ぎゃ、ギャグで言ってんじゃないでしょーね!?!?」

 

――顔を真っ赤に、しながらも。

 

「……諸々(もろもろ)、許してあげる」

「お」

「エキサイティングすぎる土曜の朝だけど……」

「お?」

「ぜんぶ、わたしは、受け容れてあげる。……感謝してよね?」

「おー」

「……。

 あらためて。

 お誕生日おめでとうございます、アツマくん。

 

「――やたら丁寧に祝ったな」

 

「……丁寧じゃ、ダメ?」

 

「ダメじゃないよ。」

 

「……おはよう、って言うの、忘れてた」

 

「いまさらかいな」

 

――けっきょく、ぽすっ、と、おれの胸に抱きつきながら、

おはよう。大好き

と言って、愛は、愛を、傾けてくるのである。

 

 

 

 

【愛の◯◯】良馬さんが息づいている場所

 

目覚まし時計なしで目が覚めた。

5時半を少し過ぎたところ。

よし。

起きよう。

お布団の温もりは、捨てがたいけれど……。

 

寒い朝にも強いわたし。

パッ、とベッドから脱出できる。

軽く背伸び。

カーテンを開ける。

 

…カレンダーが、眼に留まる。

きょうは、1月21日。

その右横の1月22日に、大きな花マルがしてある。

 

…1月22日は、アツマくんの誕生日なのだ。

 

× × ×

 

「またきょうも遅起きだったわね、アツマくん」

「フン」

「あなたは、本気を出せば、早起きできると思うんだけどなー」

「……たまには、出してみるか、本気を」

「おっ? その気?」

「あしたは、おれの誕生日だし」

「そーよね。誕生日に早起き! ってのは、いいわよね」

「おまえより早く起きてやろうか」

「できるの」

「できるかもしれん」

「寝起きのお布団はあったかいわよ~?」

「布団なんかに負けてられっか」

「意気込みだけはじゅうぶんね」

「フンッ」

 

「とうとうあなたも21歳になるのね」

「ああ。愛、おまえと1歳差だったのが、あしたで2歳差になる」

「早生まれって、どう?」

「どうと言われても」

「ほら、葉山先輩に、『わたしのほうがおねえさんだよね~~』ってマウント取られたりするじゃない? 葉山先輩のほうが、誕生日2ヶ月早いから」

「べつに、葉山にマウント取られるとか、気にしてねぇよ」

「そう?」

「あいつは、おれに対して、おねえさん面(づら)することあるけど……むしろ、葉山のほうが、妹に見える」

「へー」

「……」

「アツマくんには、妹的な存在が多いのね」

「……まあな」

「おもしろ~い」

「おもしろがり過ぎんなよな」

「そうね。茶化してるヒマなんてなかった。大学にレポート出しに行かなきゃ」

「はやくいけ」

いってきます!

「その敬礼ポーズに意味はあるんか……」

 

× × ×

 

昼過ぎに大学から帰ってきた。

 

リビングのソファでゴロ寝の明日美子さんを発見。

 

「ただいま帰りました!」

「おかえりなさ~い、愛ちゃん~」

「アツマくん、大学に行きましたか?」

「さっき出たわよ。レポート提出せねば、って」

「入れ替わりみたいになったかー」

 

明日美子さんが、

「ねえ愛ちゃん、わたしといっしょにコーヒーでも飲まない?」

と言うけれど、

「コーヒーもいいんですけど――その前に、したいことがあって」

と、わたしは、地下書庫の入り口の方角を向く。

「あ、書庫に行きたいのね」

「はい。オッケーですよね? 明日美子さん」

彼女はクスクスと笑いつつ、

「許可なんか取らなくたっていいのにぃ」

「いいえ取ります」

「――なんで?」

「――敬意、かな」

「敬意?」

「書庫に……いっぱい本を遺してくれた、良馬さんへの」

 

「あら……」

 

「そしてもちろん、明日美子さんへの……感謝の気持ちも」

 

× × ×

 

良馬さん。

アツマくんとあすかちゃんの、亡くなったお父さん。

 

× × ×

 

大学教授だった良馬さんは、若くして病気で亡くなってしまった。

良馬さんが所有していた本は、すべてお邸(やしき)の地下書庫に納められている。

地下書庫にある、良馬さんが遺してくれた大量の蔵書のおかげで、わたしは何不自由なく読書ができる。

 

地下書庫から借りて読んだ本を、わたしは小型ノートにすべて記録している。

何百冊借りたかわからない。

ものすごく地下書庫の恩恵を受けている。

良馬さんには、感謝してもしきれない。

 

 

……書庫に入るたび、良馬さんの『魂』が、書庫のなかに宿っているような、そんな気持ちになる。

書庫の本のひとつひとつに……良馬さんが、息づいている。

 

× × ×

 

良馬さんの専門だった日本史の関連書籍が詰まった書棚の前で、立ち止まる。

 

あしたは、アツマくんの誕生日。

 

だから。

 

だからわたしは、

 

「……良馬さん。

 あなたの息子のアツマくんが、21歳の誕生日を迎えます。

 アツマくんは、立派に成長していますよ。

 邸(いえ)のみんなの、支えになって……。

 頼もしいです。

 頼もしいアツマくんが、わたしは、大好きです。

 

 これからも……この場所でずっと、わたしたちを見守っていてくださいね。

 よろしくおねがいします。」

 

こんな、メッセージを、

書棚に向かって、声に出して、伝える。

 

「よし……。きっと、伝わってる。」

 

ひとりごちて、借りた本を携えて、階段に向かっていく。

 

× × ×

 

リビングに戻ったら、明日美子さんに、寄り添ってあげよう。

 

良馬さんのお仏壇にも、行ってみよう。

 

 

――階段を上りながら、わたしはわたしのこころに誓う。

 

 

 

 

【愛の◯◯】リクエストと早押しのお時間

 

昼下がり。

 

「ほれ、きのう読まされた本の感想文を書いたぞ、愛」

そう言って、おれは愛にA41枚の感想文プリントを手渡す。

「約束を守ってくれてありがとう」

そう言ったあとで、愛はプリントに眼を通し始める。

素早くプリントに眼を走らせたかと思うと、

「ひとつ、言わせて」

 

? なにを。

 

「あなたって……講義で提出するレポートでも、こんな文章を書いているの?」

 

はいっ??

 

留年しないのが奇跡なレベルね

 

なあっ……。

 

× × ×

 

「あなたの文章力には眼の前が真っ暗になりそうだったけど、感想文を書いてきてくれたことは事実なんだし、お礼にグランドピアノでなにか弾いてあげるわ」

愛はそう言ってリビングのソファから立ち上がった。

 

× × ×

 

…で、グランドピアノのお部屋。

 

「アツマくん。3時のおやつを作ってあげる代わりよ。いいわよね?」

「おうよ」

「じゃ、さっそくリクエストをちょうだい」

「――なら、きのうおまえの部屋で聴いたジャズのアルバムから……」

 

曲名を告げるおれ。

 

「し、シブいわね。まるでハタチじゃなくて30代のチョイス……」

おれは微笑みながら、

「うるさい。

 …リクエストしたんだから、弾いてくれ?」

 

愛は鍵盤に目線を下ろしつつ、

「…わかった。」

 

× × ×

 

いい演奏だった。さすがは愛だ。

 

「ぱちぱちぱち」

「拍手を声に出さなくたって…」

「いいや。出す」

「…次のリクエスト、ちょうだい?」

 

どーしよっかなあ。

なーにがいいかなっ。

 

よし。

 

キャノンボール・アダレイを弾いてくれないか」

「えええっ!? またジャズ!? しかも、レトロな…」

「愛さんよぉ。

 レトロとか、言うけどさあ。

 そもそも音楽に、古いも新しいもあるかい?」

「…それを議論してたら、いくら時間があっても足りない」

「レトロとか古臭いとか、むやみに言うもんじゃない」

「古臭いなんて言わないわよ……わたし」

 

そうでありますか。

 

キャノンボール・アダレイ。できれば、『サムシン・エルス』から」

「……わかった。」

 

リクエストに応え、弾き始める愛。

 

うん。いい音だ。さすがさすが。

 

窓辺から、淡い光が差し込んでくる。

差し込んだ光で、愛の栗色の長い髪が、キラキラと映える。

 

× × ×

 

「ピアノ、お疲れさん」

「ぜんぜん疲れてないわ」

「スタミナお化けか」

「心外ね。スタミナお化けとか…」

「おー、すまん」

「スタミナ無尽蔵はあなたでしょっ」

「そーともいう」

「…どうやったら、あなたをクタクタに疲れさせられるのかしら」

 

グランドピアノのお部屋からリビングに戻る道中。

 

――いきなりピタ、と立ち止まった愛。

 

「なんじゃあ?」

「――ひらめいたのよ」

「ひらめいたぁ??」

「アツマくん。

 わたしと頭脳バトルをしましょう」

 

頭脳バトル??

もしや。

 

「早押しクイズが、したいってか」

「わかるのね。」

「去年の秋、さやかさんとおまえで早押しクイズバトルをやったことがあったが」

「それ、それ。こんどは、アツマくんと、早押しクイズバトル」

「――それ、ハンデが必要じゃね?」

「ハンデぇ!?」

「知力でおれがおまえにかなうわけないだろ。5ポイントぐらいのハンデがほしい」

「……。まあそうかも。冷静になって考えれば」

「あと、出題者はどーすんだ?」

「明日美子さんにお願いするとか」

「母さんは9割5分昼寝中だぞ」

「昼寝中だったら、流(ながる)さん」

「流さん、いま、邸(いえ)に居るか?」

「居るわよ!! なにを言ってるの、バカじゃないのあなた」

「なぬ…」

「どこまで流さんを空気扱いするのよ」

してねーよ

 

× × ×

 

出題者として、流さんがクイズ問題集を読み上げる。

 

スコットランドの首都はどこでしょう?」

 

ピンポーン!!

 

華麗な手さばきで早押しボタンを押し、愛が、解答権を得る。

 

エディンバラ!!」

 

「正解。これで、愛ちゃんが5ポイント到達。アツマと同点」

 

「あっという間に抜かれそうねアツマくん。あなたまだ1回もボタン押せてないし」

「こっからだ」

「根拠のない自信に溢れちゃってぇ」

「なめるなよ」

 

バカにするような眼で見る愛。

 

見てろよっ。

 

「――問題。日本における臨済宗の開祖である栄西が執筆した、茶に関する書としては日本最古と言われる――」

 

ピンポーン!!!

 

流さんが問題を読み上げ終わる前に、素早く早押しボタンを押したのは――おれのほうだった。

 

すかさず、

喫茶養生記!!!

と絶叫する、おれ。

 

「正解」と、流さんは言ってくれる。

 

 

「え……どうしてわかるの!? アツマくん」

「むしろ、おまえはなぜわからない?? 愛」

「わからなかった……!」

「バッカだなあ」

「む、ムカつくっ」

「おいおい。

 ……きのう、仏教に関する本をおれに押しつけて、感想文を書かせたのは、どこのどいつだっ??」

 

打ちひしがれる愛。

ショックなんだな。

 

……この調子だ。

この調子で、愛を負かしてやるぜっ。