【愛の◯◯】「未来が見えない」と落ち込む前に

葉山家

(今日も)おるすばん

 

・・・・・・、

豪雨。

 

 

わたしは、天気が悪くなると、

調子が悪くなるのが常だった。 

 

冷蔵庫に入っていた午◯の紅茶を飲み、

テーブルでぱらぱら、と本をめくる。 

 

 

千のプラトー 上 ---資本主義と分裂症 (河出文庫)

千のプラトー 上 ---資本主義と分裂症 (河出文庫)

 

 

「(-_-;)頭に入ってこない・・・」

 

「(-_-;;)それとも、単に『面白くない』・・・?」

 

 

(パタンと閉じられる『千のプラトー』)

 

そういや、フランス語の勉強、止まっちゃってる。 

 

 

頑張ってるんだろうなあ、

八重子やキョウくん。

 

 

 

勉強。 

 

 

「どうして……、

 どうしてわたしはこうなんだろっ」

 

「(自分で自分のあたまをポカポカ叩いて)

 ばかばかばかっ

 

ーー暴力で自分のあたまを刺激しても、

気が晴れるわけない。 

 

♫(雨音)ザーーーーーーーーーーーーーッ

 

 

 

未来が見えない…

 

 

 

× × ×

 

『もしもし? はーちゃん?』

「アン……」

 

たまらず、アンに電話したけど、

だめ、

すがっちゃ、だめ。 

 

「アン……」

『どしたー?

 わかった、こんな天気だから、調子悪いっしょ、はーちゃん、』

たすけて

 

 

× × ×

 

(-_-;;)あっさりアンが家に来た・・・。

 

「アン、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんな」

「(わたしのあたまをポーン、と叩いて)ほら、そこがむつみのよくないとこ。

 お母さんとかに言われない?」

「(肩をすくめて)たしかに、こんな天気のとき、お母さんを何度泣かせたかしら…」

 

「あのね、大学のフランス語の先生が言ってたんだけど」

「(コクン)」

語学は精神衛生上、良いんだって

「(コクン)」

「だから、いまから一緒にやんない? フランス語。

 

『未来が見えない』とか、考えてる前に、さ

 

どうしてわたしが思ってることわかるの……

 

 

激しい雷雨。

それと連動するかのように、

アンが、わたしをやさしく抱きしめ、

背中をゆっくりゆっくりとなでてくれた。 

 

「(・・;)おかあさんみたい、アン……!」

「なにが?w」

「おかあさんも、わたしがダメになってるとき、よくこうやって背中をなでてくれた」

「ほ~ら。

 むつみの大切な人は、むつみのいちばん近くにいるんだから」

 

 

 

雨が小ぶりになった

 

「(再度、わたしのあたまに手を置いて)ーーっと、ここまでが説教タイム」

「Σ(・・;)え!? 説教だったの!? いままでの」

「こ・ま・か・い・こ・と・は・き・に・し・な・い」

 

 

 

ゼロから始めるフランス語―文法中心

ゼロから始めるフランス語―文法中心

 

 「アン、わたし、おとうさんと一緒にこの本でフランス語復習してるの。アンは自分のテキストをやって」

「りょーかいっ! はーちゃん」

 

 

× × ×

 

「はーちゃん、今度ふたりでカラオケ行かない?」

「ちょ、長時間じゃなきゃいいけど」

「はーちゃん、歌上手いらしいじゃん❤❤」

「そ、それほどでも」