【愛の◯◯】桜子の悪いクセ発動… ハグって、沈黙。

どうも皆さんこんにちは。

瀬戸宏(せと こう)っていいます。

とある高校の2年生でして、

えー、もうお馴染みかもしれませんけれども、

「スポーツ新聞部」という部活に入っております。

 

同級生の一宮桜子(いちみや さくらこ)に、よく、

「瀬戸くんは『水(みず)』の競技の担当って言われるんですけれども、

水が関係する競技って、必ずしも競泳だけじゃなくって、

ほら、ボートなんかもそうですよね。

水泳にしても競泳のほかにも、飛び込みだったり水球だったりシンクロだったり…。

(ところで、あだち充の『ラフ』っていう漫画知りませんか? ヒロインが飛び込み競技の選手なんですけど。映画化もされたんだけど、ご存知ありませんかねえ。)

ま、さすがにウチの高校にはシンクロ部まではありませんが。

 

まあそれはともかくとしまして、きょうの放課後もゆるゆると活動教室に行って、ゆるゆると部活を始めていたわけなのです。 

 

@スポーツ新聞部の教室

 

・ヒマなので、後輩のあすかさんとダベり中

 

あすかさん「ノムさん野村克也監督)が亡くなりましたけど、ノムさんってたしか現役時代は『南海ホークス』の選手だったよねと思って、Wikipediaで『南海ホークス』で検索してみたら、『福岡ソフトバンクホークス』のページに飛ばされて」

おれ「つまり、南海とダイエーソフトバンクがひとまとまりになっているんだな」

あすかさん「そうなんです。球団の歴史も、南海時代からで。

 わたし、南海時代から現在までの記述をずーーーっと読んでいったんですけど、球団の歴史だけでもぜんぶ読むのに1時間以上かかって!!」

おれ「そりゃあなー。だって70年や80年っていう歴史でしょ?」

あすかさん「1938年からはじまってますからねーw

 

 南海ホークスって、鶴岡一人さんっていう監督の時代がすごく強かったみたいですね。ノムさんもそのころの中心選手で。大阪の球団だったけど、もとは阪神より人気があったとか」

おれ「パ・リーグだけど、阪神より人気してたのか」

あすかさん「サンテレビが開局する前のはなしですよ」

おれ「サンテレビ関係あるかなあw」

あすかさん「どうでしょうww

 デイリースポーツはもうあったと思いますよww」

 

 

桜子「あすかちゃん」

あすかさん「アッはい」

桜子「今回、むかしのホークスについて調べてわかったことを、記事にしたりはしないの?」

あすかさん「それはちょっと」

桜子「理由は?」

あすかさん「南海時代のこととか、福岡に行ってしばらく低迷してた時期の記述とか面白かったんですけど、

 Wikipediaですから。

 Wikipediaが出典なんじゃなくて、Wikipediaの記述にはソースがある、逆に言えば、ソースあってのWikipediaなんですから」

桜子「Wikipediaが『一次資料』にはなりえない、ってことね」

 

おれ「なるほどなぁ」

桜子「なるほどなぁ、じゃないわよ瀬戸くん」

おれ「へ」

桜子「瀬戸くんもそこんところ気をつけてよ」

おれ「でも…『一次資料』とか『二次資料』とか『出典』とかまどろっこしくないか」

桜子「…瀬戸くん、本、読む?」

おれ「雑誌や新聞は読むけど?」

 

桜子「瀬戸くん、もっと本、読んで……。

 ちゃんとした本を、読んで……。」

 

なんでそんなさみしそうなんだ。

 

おれ「なんでそんなさみしそうなんだ」

 

桜子「さ、さみしくていってるんじゃないの、瀬戸くんのことをしししし心配して、」 

 

おれ「それに、さっきまでの話の文脈と『ちゃんとした本を読むこと』と、どう関係があるんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

おれ「桜子ぉ~、そこで黙られたら、おれも困るんだよぉ」

 

あすかさん「マアマア、瀬戸さんもちょっと責めすぎじゃないですか」

おれ「だって」

あすかさん「兄が話してたんですけど、

 大学の講義で、先生が『レポートでもテストでも、ネットのコピペしたら単位あげないよ~』って言ってた、って。

 まあ常識的に考えたら単位もらえないのはあたりまえなんですけど、『一次資料』や『二次資料』や『出典』っていうのは、つまりそういうことで、要するに、情報の出どころを明確にしようってことで。

 引用するなら、引用元を明確にしなきゃいけないし。かといって、Wikipediaは情報の出どころ、引用元としてどうかなあ? ってことで。

 その点、ちゃんとした本だったらちゃんとした資料を出典にしているし、引用のしかたもちゃんとしてるはずで、

 そういうふうにして書かれた本のような、ちゃんとした文章の作りかたを、瀬戸さんに知ってほしかったから、桜子さんは瀬戸さんに『ちゃんとした本を読んで』って言ったんだと思いますよ。

 

 …『ちゃんとした』って、何回言いましたか、わたし?w」

 

おれ「5回…いや6回か、いややっぱ5回かもしれない。

 

 それはどうでもいいんだけど、

 あすかさん…かしこいな…きみは」

 

あすかさん「!? かしこくなんかないです」

 

 

・突然あすかさんに抱きつく桜子

 

 

あすかさん「!??!」

 

 

 

 

あすかさん「あの、桜子さん、抱きつくだけじゃ、なんの意思表示をしてるのかわかんないです……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おれ「やれやれ」

抱きつかれたあすかさん「せ、瀬戸さん、たすけてください桜子さんがなにも言ってくれません」

おれ「『わたしの思ってることを言ってくれて、ありがとう。』

 そう言いたいんだよ、桜子は。

 でも言えないから、それを言う代わりに、あすかさんへの感謝の気持ちをハグであらわしてるんだ。

 

 そうなんだろ? 桜子」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうなると、桜子はうんともすんとも言わない……。

 

(^_^;)う~む、桜子に「返事のしかた」を、どうやって学ばせるべきか??