某児童文化センター
「え、戸部くん月曜にここ来たの!?」
× × ×
月曜、どうやらあたしがセンターから帰ったあとで、
戸部くんがやってきて、子どもたちと遊んでいたらしい。
あ、
どうもどうも。
茅野(かやの)ルミナです。
大学が、入試関係でロックアウト状態なのでして、
きほん、家で公務員試験の参考書とにらめっこしているのですが、
引きこもって勉強ばかりしているのもツラいわけです。
お外の空気が吸いたいのです。
で。
月曜同様、大学のオンシーズン(?)よりも早い時間帯に児童文化センターに来てみたら、
長いことお世話になっている職員の「松江(まつえ)さん」から、戸部アツマくんが月曜にうんぬん~といった話を聞かされて。
戸部くんといえば、大学休み期間に入ってから、夏休み同様またカフェの『リュクサンブール』でアルバイトを始めている、という情報がどこからともなく耳に入ってきているので。
耳に入ってきているので。
お昼ごはんもまだだし、あたしお腹がすいているので……w
@『リュクサンブール』
「いっいらっしゃいませ…」
「やってる? 戸部くん」
「やってるって、なにをですか」
「やだーにぶいねえ、『元気にやってる?』ってことだよ。」
「ご注文はーー」
「まだランチタイムだよねえ?」
「はい」
「じゃあねえ、
(メニューをしげしげと見て、)
へえ~ロコモコはじめたんだ」
「はい、新メニューでロコモコを」
「おいしいですか? ロコモコ」
「おいしいですよ、ロコモコ」
× × ×
・食後。戸部くんがお冷やを入れに来る
「ごちそうさま。
戸部くんのことばに、ウソはなかったよ☆」
「(;^_^)どうも。
あ、
葉山って、覚えてますか?」
「あ~覚えてる覚えてる~、愛ちゃんの先輩」
「あいつたぶんもうすぐここに来ますよ」
「常連なのね、葉山ちゃん」
♪カランカラン♪
「葉山、噂をすれば」
「おはよう戸部くん」
「おはようじゃないだろもう」
「疲れたから遅く起きたから」
「あー…なるほどな」
「葉山ちゃん!!」
「ルミナさん!!」
「なんですか、感動の再会みたいに」
「だってぇ~~感動の再会だよ、戸部くん」
「また逢えた……ルミナさんに(泣き真似)」
「はいはい、葉山はきょうはなに飲むんだ?」
「ロイヤルミルクティー。」
「あ、あたしもロイヤルミルクティー追加で」
「(;-_-)はいはい…」
× × ×
で、ロイヤルミルクティーを飲みながら、
同じテーブルで葉山ちゃんと話し込んだ、というわけ。
「そっか、葉山ちゃん、キョウくんっていう幼なじみがいるんだ」
「はい。それで日曜・月曜と、わたしが彼の受験の付き添いみたいになって」
「それはご苦労さま」
「……。
あのっ、キョウくんのこと、もっと知りたくないですか?」
「そりゃまた、どして?」
「すみません、ヘンな質問だったでしょうか」
「…余計なことは訊(き)かないよ、あたし。
安心してw
ただ、葉山ちゃん、あなたがもっと話したかったら、その話を聴いてあげるだけ」
「ありがとうございます、なんだか恥ずかしい」
「ーー、
あたしにも幼なじみの男子がいるんだ。
山田ギンっていうんだけど。
幼稚園から同じクラスでね。
腐れ縁って、まさにこういうこと」
葉山ちゃんにはキョウくんがいて、
あたしにはギンがいて、
葉山ちゃんのことが、ますます身近に感じられるようになって、よかった。
「共犯関係」っていうたとえは、ヘンかなあ?w
・葉山ちゃんが帰ったあと
「ルミナさんが大人でしたね」
「(うれしくて)えええほんとう!? 戸部くん」
「残念ながら聞こえてたんです、会話が。
キョウくんのくだりとか。
ほら、『余計なことは訊かない』ってルミナさん言ったじゃないですか。
あそこらへんのしゃべり方が、さすが歳上だけあるな~、大人だな~、って」
「『余計な詮索(せんさく)はしないであげてください』って言ったの、戸部くんじゃん」
「ああ、たしかに言ったおぼえあります。去年、ルミナさんと葉山が初対面したとき」
「でしょ?」
「でもーー。
さすがにルミナさんは90年代産まれですね。
大人です。」
「(むくれて)せっかく、戸部くん、おだてるのうまいと思ってたのにっ」
「?」