・音楽誌『開放弦』のバックナンバーより
「松任谷由実 90年代の3枚のヒットシングル」
圭二「『真夏の夜の夢』。いまではとんだ風評被害を食らってますが、93年発売でなんとシングルのリリース自体が4年ぶり……」
小鳥遊「アルバムは出してなかったんですか?」
圭二「いい質問だ、小鳥遊。
シングルを出していなかった時期も、ユーミンは毎年のようにアルバムを出していた。ベストじゃないぞ。オリジナルアルバムだ」
小鳥遊「エッそれってシングル曲がいっさい入ってないアルバムってことですよね」
圭二「それが200万枚売れるんだから、すごいよね」
小鳥遊「『真夏の夜の夢』か。『夏の夜の夢』っていうシェイクスピアの喜劇なら知ってるけど……」
圭二「え、そんな作品あったの」
副編集長「教養、っつーやつやろ、圭二。たぶん曲名もシェイクスピアのその喜劇からとったんやと思うで」
圭二「それ確定情報なんですか? 副編集長」
副編集長「しらん」
圭二「はぁあ…。
にしても小鳥遊、よくシェイクスピアの喜劇の名前が出てきたね」
小鳥遊「文学少女ですから♪」
圭二「『少女』……??」
小鳥遊「そ、そこにつっこまないでください」
副編集長「ええやないか、文学少女的編集者っちゅうのも」
小鳥遊「(救われたように)副編集長~!」
圭二「きみ、入社何年目だっけ」
小鳥遊「2年目です」
圭二「……」
小鳥遊「……」
副編集長「それはそうと『真夏の夜の夢』はドラマの主題歌やったろ?」
圭二「そうみたいですね」
副編集長「『誰にも言えない』っていうTBSドラマの主題歌だったはずや。実家に録画したVHSがあったのを、なぜか憶えとるんや…」
小鳥遊「ぶい、えっち、えす、???」
圭二「小鳥遊ちゃん、ビデオテープってわかる?」
小鳥遊「DVDみたいなものですよね?」
圭二「少女だ。」
副編集長「少女やな」
(きょとんとする小鳥遊。無理もない)
副編集長「たしか佐野史郎が出とったドラマや」
圭二「佐野史郎といえば…冬彦さん…『ずっとあなたが好きだった』…」
小鳥遊「あ、『冬彦さん』って、おぼえてるかも」
圭二「そうだ、『冬彦さん』現象の『ずっとあなたが好きだった』の主題歌が、サザンオールスターズの『涙のキッス』でーー」
小鳥遊「JPOP講座やってましたよね、わたしが入社前の研修中のときに」
副編集長「遠い昔のようやなぁ」
小鳥遊「でもわたしおぼえてましたよ」
圭二「おれもJPOP講座のことは、今でも『再開したい』って思ってるよ」
小鳥遊「だれの話でしたっけ」
圭二「そうだ、ほんらいユーミンの話だったのに」
副編集長「ユーミンとサザンがつながっとるやないかw」
・・・・・・・・・・
「ギンのばか、雑誌読みながら声出して笑わないでよ」
「ごめん、思わず声が出た」
「勉強中なんだからねっ、あたし!」
「おれも勉強しようかな」
「(眼を見開いて)ギン、あなただいじょうぶ……?」
「だいじょうぶだから勉強するんだろ?
せっかくルミナの部屋にも来たことだし」
「その『せっかく』って、いったいどういう意味があるの……」
「なんの記事読んでたの」
「『松任谷由実 90年代の3枚のヒットシングル』」
「ユーミンの『春よ、来い』って、いい曲よね」
「だな。今の季節にぴったりだ」
「ギンの春はいつ来るの」
「そりゃどういう意味ですかルミナさーん」
「だってw
年がら年中、春が遠そうにしてるじゃない、ギンww」