【愛の◯◯】「アツマにーちゃん」、見参

どうも戸部アツマでござんす。

 

いかがお過ごしですか? 

 

さて本日の東京はうららかに暖かく、春の訪れのようだった。

 

茶店のバイトもはかどるはかどる♫ 

 

おまけに店長さんに「早くあがっていいよー」と言われたので、

少し早くバイト終了。

 

葉山がいつもの時刻に来店しなかったのは気になったが、いい事が多い日だ!!

 

(^_^;)…けど、バイト早引けだったんで、時間を持て余してしまったな。

 

どうするか。

 

 

 

あ!

 

ピコーンと、ひらめいた、おれ。

 

・愛に電話

 

『もー、わたしが学校にいるときは、放課後でも極力電話しないで、って言わなかったっけ?』

「そうだったっけ」

『…まあいいわ。

 用件は?』

「えーと、2つある」

『最初に用件がいくつあるか伝える、いい心がけね』

 

「1つ目は、葉山がきょう『リュクサンブール』に来なくってさ。

 このところ毎日のように同じ時間帯に来てたから、ちょっと気になって」

『ああ、それは、キョウくんさんの入試につきっきりなのよ』

「あー、キョウくんの入試日だったのか」

『キョウくんさん昨日と今日が本命の入試なんだから』

「じゃあ葉山もつきっきりになるわな。

 それはそうと……、

 (^_^;)『キョウくんさん』って呼び方は、どう考えても不自然だから、やめような」

 

『(無言)』

 

「おまえらしくない日本語の乱れだと思うぞ」

 

『……わかったわよ。

 

 2つ目の用件は?』

 

「ああ、2つ目はな、バイトが早く終わって時間ができたから、

 児童文化センター、あるだろ?

 あそこに行ってみようと思って」

 

どういう風の吹き回しなの!?!?

 

「そんなびっくりせんでもいいだろー。

 

 大それた理由じゃねーよ。

 前に一度、おまえを迎えにセンターに入ったとき、

 オセロとか五目並べでガキんちょと遊んでさ、

 かなり楽しかったんだよ、じつは」

 

『………わたしはあなたがズケズケとセンターに入ってきてかなり恥ずかしかったけど、ね』

 

「知ってる。

 

 ーーだから、センターに行くときは、前もっておまえに許可を取っとかないといけないと思った。

 それで、いま電話したわけだ」

 

 

『………そういうこと。

 じゃあわたしは行かないからね。

 ひとりで行って、帰ってきて。』

 

徹底してるなーw 

 

『あと変なことは絶対にやらかさないでね』

 

「変なことってどんなことだよ」

 

じぶんでかんがえてよっっ

 

 

 

× × ×

 

やってきました

児童文化センター

 

 

いきなり職員のおばさんが話しかけてくるの巻。 

 

「ね、もしかして、羽田愛ちゃんのーー」

保護者です」

「(動じず)

 前に1回来てたよね?

 子どもたちによ~く馴染んでたじゃない。

 また来てくれたってことは」

「はい、子どもと遊んであげたくて」

「うれしい~~。

 

 惜しかったなー、

 愛ちゃんと一緒にね、ルミナちゃんって娘(こ)がよく子どもたちと遊んでくれて。

 ルミナちゃんはこのセンターで育って、このセンターで育て役になって、つまり産まれたときからずっとこのセンターに通い続けてるようなものなんだけど。

 でもルミナちゃん、大学休み期間だから、早く来てさっき帰っちゃって。ちょうどあなたと入れ違いみたいに」

「ルミナさんはおれの大学の先輩です」

「あら! 奇遇」

 

(^_^;)割とよくしゃべるオバサンだな。

 

 

× × ×

 

『おにーちゃん、『アツマにーちゃん』だろ? まえ、きてた』

「おーよくおぼえてるなー、

 そーだおれがアツマだ」

『アツマにーちゃん。

 アツマにーちゃん、ぼく、このコマがうまく回せないんだ。

 アツマにーちゃんなら、回せる?』

「まかせろ! こういうのは得意なんだ」

『てさきがきよーにはみえないけど』

「そんなことねーぞ。

 …ほれ」

『すげー!! そんなはやくコマのヒモってまけるんだ』

「見てろよ? …いくぞ。

 

 おりゃっ!(コマを投げる)」

 

すげーすげー!!! ぜんぜんコマのかいてんがとまらねー!! 

 ずっとまわってるよ!!

 

『ほんとだー!』

『こんなのはじめてだよ!』

『コマがまわるの、きれい~!!』

『にーちゃんがいちばんうまいよ!! アイねーちゃんもうまかったけど

 

おっw 

 

「そりゃそうだ、運動神経で愛はおれに勝てないからな!」

 

『…コマって、うんどーしんけーでまわすもんなの?』

 

「…しょ、しょーぎもオセロもあいつがおれに勝ったことは一度もないからなぁ!」

 

『そりゃそうだよ! アイねーちゃんよわすぎるもんw』

『それより、なんでアイねーちゃんのことそんなにものしりなの??』

『そんなにアイねーちゃんのことものしりなら、あそこのエレクトーンもひけるんじゃないの??』

『たぶんひけるよ! このおにーちゃんなんでもできそうだから』

 

(-_-;;)……………

 

子どもに…罪はない…… 

 

 

「ごめんな、できないんだ、楽器は」

 

『え~~~~』

 

「音楽で愛には一生勝てないよ」

 

『(おれの背中を叩いて)もっとがんばりなよ!

 

 

(-_-;)…………泣きそう。