「おねーさーん。わたしここ最近『出番』が少なくてつまんないです」
「ブログにもっと登場したいってコト? あすかちゃん」
「まさに」
「まあ気長に待ちなさいよ。もし5月が終わるまでに1回も出番が無かったりしたら、わたしがあすかちゃんの代わりにクレーム入れてあげるけど」
「万が一そうなったら是非お願いします」
「たぶんそんな事態にはならないと思うけどね」
「ところでおねーさん」
「? 他に話題あるの」
「あります。管理人さんへの不満だけ言って終わりでは無く」
「……あっ。もしかしたら」
「勘付きましたか?」
「うん。あなたと高校で同級生だった徳山さんと濱野くんがデートしたのよね? それを具(つぶさ)に報告したかったんじゃないの」
「わたしがデート現場に立ち会ったワケじゃ無いから『報告』ってのも変なんですけどね」
「教えてほしいわ。どんな場所でデートしてどんな場所で食事したのか」
「名画座に行ったそうです」
「名画座って、映画館?」
「ですよー」
「わたしとアツマくんだったら絶対あり得ないデートコースね」
「もう〜っ。おねーさんは映画嫌いなんだから〜〜」
「徳山さんは濱野くんの手を握りながら映画鑑賞してたんでしょうね」
「そんなに彼女って積極的なんですかね?」
「あら、あなた高校時代からの親友でしょ? 彼女のコトは良く理解してるはずよね」
「良く理解してるからこそ、です」
「なるほどね」
「ねえねえ。わたしの方からもあすかちゃんに振りたい話あるんだけど」
「なんですか?」
「徳山さんのフルネームは『徳山すなみ』で」
「ハイ、独特の下の名前ですよね。でも、フルネームが何か?」
「あなたそろそろ彼女のコトを『すなみちゃん』って呼んでも良いんじゃないの」
「んんっ……。」
「えっ!? どうしたのよ!? 急に目線が下向きに。ほっぺたは赤くなり始め。一気に戸惑ってるみたいになっちゃって」
「あの、その、おねーさん……」
「親友なんでしょう? 1度で良いから『すなみちゃん』って呼んであげたらどうよ」
「おねーさんは……」
「あすかちゃん??」
「勇気、出せるんですか」
「なんの勇気よ?」
「徳山さんを『すなみちゃん』って呼ぶ勇気。わたしにはそんな勇気はまだ無いです」
「ふーーーむ」
「どどどーしましたか、おねーさん!? 何か企みのあるようなポーズでわたしに顔を近付けてきて」
「あすかちゃん。もしあなたが、わたしのコトを『おねーさん』ではなく『愛さん』と呼ぶコトができたら……『すなみちゃん』と呼ぶ勇気も出てくるんじゃないかな?」
「む、ムチャクチャなコトを言わないで、おねーさんっ」
「ええーーっ」
「『おねーさん』は、『おねーさん』なんですっ!!!」