【愛の◯◯】実感するから大好きになる

 

昨日は夕食のレストランをアツマくんが予約してくれていた。

ふたりで向かったレストランはカジュアルな雰囲気で、お料理もかなりの高水準のお味だった。

それにしても、アツマくんもやるわねえ。わたしに秘密でレストランを手配してくれてただなんて。

 

「――今、こんなにダラけてお昼寝してるのは、ちょっと感心できないけどね」

土曜の昼下がり。

昼食をお腹に詰め込んだ途端に、アツマくんはソファに直行してダラ~~ンとなって、すぐに眠りの世界に入り込んで行ってしまった。

感心はできない。

だけど、彼の午睡(ごすい)を許してあげたい気持ちも確かに在(あ)る。

だって、働き詰めだったんだものね。

働き詰めで、やっと昨日の祝日は休めた。

でもわたしが、彼の貴重な休みだというのに、街で彼をブンブンと振り回しちゃって。

疲れて午睡もしたくなるわよ。

わたしに自責の念。

コーヒーを飲みながら『ひとり反省会』でもするべきかしら……といったん思った。

でもコーヒーも反省会もやめた。

それでどうしたかというと、ぐんぐん彼のお昼寝ソファに足を運んでいって。

あっという間に彼のカラダにわたしのカラダを引っ付けて。

 

× × ×

 

彼の胸板のあたりにぐいぐい後頭部を押し付けて、左手と左手を重ね合わせ、わたしも眠りの国に落ちていった。

 

先に目覚め、良い夢が見られたことをありがたく思って、一緒にお昼寝してくれたアツマくんの寝顔を眺める。

アツマくんのカラダって、わたしのカラダと全然違うのね。

そりゃあだれだって、『全然違うに決まってんだろが!!』ってツッコむでしょうけど。

だけどホントに違うのよ。

『男らしさ』のひとことでは言い表せない厚みだとか重みだとかがあって。アツマくんの厚みや重みを肌で感じると、「強さ」や「たくましさ」、それから「優しさ」がジカに伝わってくるの。

パートナーだから、わたしには、特に。特に、伝わる。

強さ。

たくましさ。

優しさ。

……その他(ほか)にも。

伝わって、彼のことを全身で実感することができると、もっと大好きになっちゃう。

だからわたしは。

自分勝手に、絶賛お昼寝継続中の彼の胸板に、わたしの栗色のロングな髪をふぁさっ、と添わせて。

わたしだけ目覚めながらも、再びジカに寄り添って。

それから、

『あと2時間か3時間は、彼の暖かいカラダを独り占めに味わうんだ』

とココロに決めて……寝息に聞き耳を立て始める。