「葉山先輩、今日は短縮版ですよー」
「分かったわ、羽田さん。それにしても土曜日っていつも短縮版になるわよね」
「地の文無しでセリフだけって回が多いですよね。地の文あるときもあるけど」
「羽田さんは地の文が無いとやっぱり物足りない?」
「物足りないです」
「即答ね」
× × ×
「だけど、今回は地の文無しのオール会話文なのよね?」
「ハイ。『中の人』がいろいろ慌ただしいようで」
「慌ただしいぐらいがちょうどいいんじゃない?」
「あー、センパイの言う通りかも」
「わたしも、もうちょい忙しい人間になりたいわ」
「センパイは無理しちゃダメです」
「まあ確かにね」
× × ×
「『無理』……か」
「どうしたんですか? センパイ」
「『無理』つながりで、話を無理やりつなげるんだけど」
「?」
「ねえねえ羽田さん。わたしが今、母校の制服を着るって、『無理』があると思う?」
「母校? 母校っていうと――センパイとわたしの居た女子校の」
「当然その学校の制服よ」
「んーー」
「どうかしら?」
「結論から言いますけど」
「うん」
「全然オッケーでしょ。今着たって、センパイならバッチリ似合いますよ!」
「そ、そう?」
「どーして胸の前で腕を組むんですかね」
「恥ずかしいから……」
「もうすぐ23歳だから?」
「まさに」
「着たい想いがあるんでしょ? それなら年齢なんて関係無いじゃないの」
「でっでもっ、わたし着実にオバサンな年齢に近づいて……」
「バカ言わないでください」
「羽田さん……。」
「センパイだったら30歳になったって母校の制服似合いますから」
「ば、爆弾発言ね!?」
「半笑いですねセンパイ」
「ごっごめん」
「ちなみにわたしも母校の制服は保管してあるんですが」
「着るわけ?」
「……」
「ものすごいジト目で見るのね……流石は羽田さんだわ」