「愛」
「なあにアツマくん」
「昨日は、このブログの管理人のしょっぱい『言い訳』を聞かされたわけだが」
「だから?」
「今日は、気を取り直して――」
「??」
「――おれが発掘した写真の話がしたい」
「しゃ、写真って。だれの!? いつの!?」
「なぜギョッとなる」
「だ……だって」
「ああ~~、なるへそ。
愛ちゃんよ。
おまえ、自分の10代の頃の写真を発掘されるのが、怖いんだな??」
「……どうしてわかるのよ」
「怖がる必要もない。女子校時代のおまえも、キラキラ輝いていて――」
「き、キラキラってなによ」
「だれがどう見たって美少女だったんだし」
「み……見かけだけよっ」
「――でな。
今回のメインテーマたる、女子校高等部時代のおまえが写ってる発掘写真なわけだが」
「わたしに渡してよ……アツマくん。焦(じ)らされるより、現物を早く見たいの。同じ恥ずかしい思いをするのならば……」
「そっか。
じゃ、手渡すぞ。
ほれ。」
「……や、やだっ、こんなわたしの写真、すぐに捨てちゃいたい!!」
「そんなに、か??」
「なんてモノ発掘するの、あなた。
これ、アツマくんと将棋を指して、わたしが将棋に弱すぎて、惨敗して、泣きベソかいてる写真よね!?」
「そのとおり。
ゲーム全般が大の苦手なおまえが、『せめて将棋だけでも苦手を克服したい』って言ってきて、そんで、将棋が得意でもなんでもないおれと対局することになって。おれが飛車と角を落としてやったのに、あえなく敗北しちまって」
「悔しさが……悔しさが、ぶり返して来そうだわ」
「――良かったじゃんか」
「い、いいことなんか、なんにもなかったわよっ」
「少なくとも――カワイイんだから」
「!?!?」
「泣きベソかいてる16歳のおまえの写真ほど――貴重なモノも無い」
「ばばばばばバカバカ、昼ごはんも晩ごはんも、作ってあげない!!」
「へへ」
「一生お腹を空かせてなさいよ……」
「泣くなよ♫」