海の日!
…なんだけど、遊びに出かける用事なし。
あはは…。
× × ×
朝っぱらから、徳山さんとお電話。
「おはよー、徳山さん」
『おはよう、あすかさん』
「元気~?」
『元気よ。あなたには負けるけど』
タハー。
「…つらくない? 受験勉強」
『そんなに苦痛ではないわ』
「…強いね、やっぱ。
この調子なら、来年の春は、志望校に絶対合格してるよ、徳山さん」
『ありがとうあすかさん。そう言ってくれて、ほんとうに嬉しい』
「…小野田さんと二人三脚でがんばるんだよ」
『お…小野田さん!? 小野田さんと、二人三脚!?』
てへーっ。
イタズラ心が出ちゃった。
「――クラスいっしょなんでしょ? 小野田さんと」
『それは、そうだけど……』
「徳山さんって、小野田さんが嫌いなわけじゃないんでしょ??」
『……たしかに、嫌うとは、ちょっと違ってるけど』
「じゃあ、やっぱり、二人三脚だよ」
『……』
「ねえ、提案なんだけど――徳山さんと小野田さんのふたりで、わたしの邸(いえ)に来てみない?」
『え、えええ、なにそれ』
「わたし、3人で楽しいことがしたいなぁ」
『た、たとえば……』
「3人で、お風呂に入るとか」
『ななななに言い出すのよっっ』
「恥ずかしいかー」
『あ、あのねえ、あすかさん――』
「徳山さん、脱衣所の時点で、極度に恥ずかしがっちゃうもんね☆」
『ばばばバカッ、イヤな記憶が戻ってくるじゃないのっ!!』
徳山さんの思い出したくない脱衣所の過去は――過去ログで。
× × ×
『すこぶるテンション高いのね。夏だから?』
「夏休みが間近に迫ってるからかも~」
『――そう。いいわね。
ところで、話は大きく変わるけど』
?
徳山さんのほうから、話題転換?
『先週――渋谷駅前で、あすかさんと会ったじゃない?』
「あ~、そのことか。すっごい偶然だったよね~」
『そうね。わたし渋谷の近辺には、あまり行くことないし』
「じゃ、ホントに偶然の出会いだったんだね」
『――宮島くんも、あなたといっしょだったから、余計にビックリしたわ』
「大学のキャンパス近いんだよ、わたしとミヤジ。だから、よく出くわすの」
『――なるほど』
んっ。
『なるほど』?
いったい、徳山さんは、なにを納得しているのやら……?
『あすかさん言ってたわよね。タワーレコードに行った帰りだったって』
「そだよー。ミヤジに輸入盤のCDを買わせたの」
『……なるほどっ』
「な、なんで『なるほど』を繰り返すの…」
『……なるほど、なるほどねっ、』
「と、徳山さん!?」
『――ゴメンナサイ。自分勝手に面白がっちゃって』
「お、面白がる!?」
『――でもね。悪いけど、面白いのって、事実なの』
「面白いって……なにが……」
『それは。
あなたと宮島くんが――あまりにも、仲が良さそうだったから』
絶句。
『……絶句させちゃったか。』
「……」
『悪かったわね。からかって。しかも、男の子にまつわることで』
「……。
あ、
あのねっ、
み、ミヤジと、わたしって、たしかに、仲は、良いよ??
だ、
だけどさっ、
トモダチ、
トモダチ関係っていう、だけだから。
そ、そこをっ、
ごかい……、
誤解しないで、ほしいと、思うんだな……わたしと……しては」
『――ほんとうに、そうなの?』
!?
『だって。
トモダチなだけ、っていう認識なら――今みたいに、極度に動揺したりはしないでしょうに』
あ……。
『あすかさん。
あくまで、意見のひとつにすぎないけど――親友として、言うわ。
似合ってると思う。あなたと宮島くんのコンビ』