GW最終日……めずらしく、最終日まで学校の宿題が残っていて、全力で終わらせる羽目になった。
でも、本気出したらぜんぶ終わったので、ほっと一息。
× × ×
で、コーヒーでも飲もうかな~と階下(した)に降りたら、ソファに座っているアツマくんを発見したので、隣に腰を下ろした。
「宿題が終わったの」
「ふーん」
「褒めて」
「え、なんで」
「褒めてよ」
「……よくがんばりました」
思わず、クスッと笑ってしまう。
「なにがおかしい」
「なにもおかしくないから、勘違いしないで」
「ふーーん」
「なんなのよ、その反応」
「…愛は、宿題なんてGWの初日に終わらせるんだと思ってたけど」
「今回はいろいろあったのよ、察して」
「たしかに」
たしかに、じゃないっ。
「久々に宿題に本気出しちゃった」
「久々に?」
「久々に」
「そりゃーどうかなあ」
どうかなあ、じゃないでしょっ。
「あのね、アツマくん」
「久々に勉強に本気出したから、わたしちょっと疲れちゃって」
「…」
さりげなく、アツマくんの肩に、自分の肩をくっつける。
「わざとらしい」
「わざとらしくないっ」
「わざとらしいスキンシップは禁則事項だ」
「禁則事項!? なにそれ意味わかんない」
アツマくんが意味わかんないことを言うので、腕をつねってやろうか、とも思ったが、やっぱりやめた。
「――昔はね」
「唐突な過去話も禁則事項だ」
構わず、
「昔は、よく利比古に、こうしてたの」
「疲れたとき?」
「疲れたとき」
「利比古もいい迷惑だな」
「んなわけないでしょバカっ」
「――で、いつまでこうしてひっついてるつもりなんだ」
「利比古かあすかちゃんに目撃されるまで」
「目撃、って……」
「ねえあなた明日から大学始まるんでしょ」
「あいにくな」
「単位落とさないでよ」
「高校生には言われたくない」
「わかってるわよ…大学のことは自分でなんとかするって、あなたが言ったんだもんね」
「そうだ、だから自分でやる」
「でも……」
「でも??」
「がんばって。
がんばって、アツマくん」
「…………ありがと」
アツマくんの感謝をうけて、わたしはあらためて座り直した。
「――具体的に、なにをがんばるかも、自分次第だよな」
「わかってるじゃない」
「おまえもがんばれよ、なんでもいいから、がんばれ」
「たくさんあるよ…、がんばらなきゃいけないこと」
「あんまり抱え込むなよ。
抱え込んでる、と思ったら、おれに言え。
おれに言いにくかったら……おれじゃなくってもいいんだけど」
「『できれば、おれに言ってほしいな』」
「おれのことばを先取りするなよ」
「歯が浮くようなセリフは禁則事項ですよ、アツマくん」
「『禁則事項』もパクるな」
「いいじゃん」
「よくねーよ」
「どうせ『禁則事項』にも元ネタがあるんでしょ」
「なんでわかったんだ……」
「あーのーねーっ」