【愛の○○】葉山先輩を、人肌とタメ口であたためる

卒業式の前日。

 

葉山先輩が電話してきて、

『調子が悪そうだ』と感じたわたしは、

半ば強引に、葉山先輩宅に押しかけた。

 

先輩のおへや

 

「卒業するのがさみしいというよりは、卒業したあとの先が見えなくて不安なんですよね、先輩」

「たぶん。

 お先真っ暗なのかな、

 なのかな、なのかな、

 センター試験とか、

 いやなことから逃げて、わたし、わたしーー」

いやなことから逃げたっていいじゃないですか。

「!」

 

・先輩にギューッと身を寄せるわたし

 

「(タメ口モード)なんてことないって。どうにかなるって、センパイ。

 自分を追い込んじゃだーめ。

 いま休まないと、明日の卒業式出れなくなっちゃうよ?

 卒業式出れなくても、いいの?

 明日のために現実逃避、って選択肢もあるんだから。

 

…はい、説教タイム終了」

「羽田さん…強くて、やさしくて、あったかくて、いいな」

「卒業しても、弱ったらいつでも呼んでくださいね。でも授業中はダーメ」

「戸部くんにもこうしてるの?」

「❗❓ こうしてる、ってのは」

「ほら、こうやって、人肌であたためるの」

「あ、これは、アツマくんが、わたしにしてくれたんです。

 夏休みに、調子が落ち込んだとき、いまわたしが葉山先輩にしてるみたいに、ギューッと身を寄せて、わたしをあっためて、いたわってくれて。

 

 アツマくんのからだ、大きくて、あったかくてーー」

もうそんなとこまでいったの?

「ちっちがうよっせせせセンパイのエッチ」

「wwwww」

 

「でも戸部くんも、大学生だからねえ今度は」

「もうしばらくプラトニックでいいよぉ」

「ーー温泉旅行とかしないの、ふたりで? 小泉と八木みたいにw」

「(完全スルー)そういえばアツマくんの誕生日記念デートの行き先決めてなかった」

「(^o^;強いねえ愛ちゃんは」

「デートの行き先! 越谷レイクタウンとか、どう思う、センパイ!?」

「(・_・  )それはやめときなさい。

 

【愛の◯◯】北関東の温泉旅館で野菜を食べる

某温泉旅館

 

『むくり』

 

八木「(・_・;)まだこんな時間」

 

八木「持ってきたCDでも聴こう」

 

 

La's

La's

 

 

♫There She Goes♫

 

八木「ぼーっ」

 

八木「(・ω・`)……」

 

 

 

女湯

 

八木「だれも…いないかあ」

 

\チャポーン/

 

八木(だれもいない露天風呂でひとりーー)

 

八木(こういうの、ちょっと憧れだったんだ)

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

回想

昨晩

 

小泉「ねえww八木wもっとこっちおいでよ」

八木「(・_・ )やだ」

小泉「月がきれいですねえ」

八木「夏目漱石のパクリ!?」

小泉「キレると血行によくないよ」

 

八木「わたしはここにいる」

小泉「そんな隅っこの方で浸からなくても。だれも見てないのに」

八木「(恨めしそうに岩壁にもたれかかっている小泉を見て)

 慶應!!

 

小泉「……こういう裸の付き合いですることといえば、恋バナかー」

 

<しゅるるるるる

 

ポカーン(桶が直撃する音)

 

 

ばんごはん

 

小泉「ね! 熱燗でも頼んじゃおっか」

八木「💢バカじゃないの未成年よ!? 卒業できなくなるじゃない」

小泉「じゃあタバk」

八木「( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン」

 

・小泉の皿から料理を強奪する八木

 

 

 

小泉「(真顔になって)……おいしい?

八木「(コクン)」

小泉「(コーラを飲み干して)……そりゃよかった」

 

八木「ねえ小泉それちょうだい」

小泉「野菜ばっか取ろうとして。タンパク質はどうしたの。

脂質も」

八木「脂質は余計だから。

 ーー最近、むしょうに野菜が食べたい気分なの」

 

 

ゲームコーナー

 

八木(浴衣姿の小泉、さまになってるなぁ。

 タハハ)

 

八木「ピンボール?」

小泉「卓球よりかこっちのほうがいい」

 

小泉「(ピンボールに興じながら)~♫♫」

 

八木「ねえ小泉。村上春樹の『1973年のピンボール』って小説、知ってる?」

小泉「(ピンボールを打ちながら)知らない」

 

 

1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年のピンボール (講談社文庫)

 

 

八木「あっそ。そんなにピンボールが好きなら、読むと面白いと思うわ」

小泉「好きなの」

八木「べつに

小泉「おいw」

 

小泉「(連コインしながら)本よりもさあ、八木、あんたには『自然』とのふれあいが必要だよ、『自然』との。

 きょうの昼間みたいに部屋でひっくり返ってるだけじゃーだめ」

八木「説教モード? こんな山奥まで来て」

小泉「すべての北関東民にあやまりなさい」

八木「イヤ!!

 

 

 

ーーーーーーーー

 

わたしはいまーー、

小泉がぐっすり寝ているのを尻目に、

日の出を眺めています。

 

いいなあ~

お日さまには、採点する人なんていないんだ。

足切りも2次試験もない。

わたしもお日さまに記念受験したい。

 

 

・・・・・・なーんてw

うそぴょーん

 

 

 

 

夕飯の席での、父さんの言葉が発端だった。

 

『八重子、さいきんおまえノイローゼ気味だろ』

『……あいにく。』

『友だちと一緒に卒業旅行でも行ってきなさい。お金は出してあげるから』

『(固まって)ぽかーん』

『なぜそこで固まるw』

 

 

・食後ーー

 

『八重子、おまえ受験料とか学費とかしきりに気にしていたろう? インターネットとにらめっこして。

 

 ーーそういうのは、心配しなくていいから』

 

『(泣いて)お父さん嘘ばっかり

『こらww背中が濡れちゃうじゃないかw八重子は甘えんぼさんだなーw

 

 

 

 …八重子は、おれのこどもだから

 

 

【愛の○○】一輪の花とアカ子

数学の先生「ずいぶん暖かくなったものだねえ…先生眠いよぉw

 よーし、この単元もほとんど終わってるようなもんだし、きょうは自習にしよう!」

 

『(^O^)わーーーい!!』

 

 

見晴らしのいい芝生ーー

 

アカ子「(一輪の花をしげしげと見つめながら)……はぁ。

 ( ´Д`)=3」

 

回想

にちよーび

 

 あ、アカ子さん…😨」

「(^_^)怯えなくてもいいじゃないの💢」

「よよよくこの公園には来るの!?」

「ええ。」

 

いつか見た光景のように、

アカ子はベンチ、

ハルは芝生に腰を下ろす

 

「きょうは本は読まないんだね」

「うん……」

 

 

 

 

 

ねぇっ

「どどうしたの」

「はじめて、戸部邸であなたと会ったとき、失礼な態度をわたしとってしまったじゃない? まだ謝ってないから、そ、その」

「誕生日と日韓ワールドカップが云々ってこと? やだなーw もう全然気にしてるわけないだろー?w」

「Σ(;・・)ほ、ほんと?」

「ーーなんでぼくの顔、真顔でみつめてるのさ」

 

 

 

 

(・_・`;)

(おもむろにイヤホンを耳に突っ込むアカ子)

 

「へぇー、きみもスマホで音楽聴いたりするんだね」

「( _・;)…20世紀に生きてるわけじゃないのよ」

「なんでソッポ向いてんの?w

 

    ぼくは音楽なんか全然聴かないからさー。

 そうだ、ペットショップ・ボーイズって知ってる?」

「( Д`;)音楽なんか全然聴かないひとが、なんでペットショップ・ボーイズを知ってるのかが不可解なんだけど…」

 

「( ∀・;)知ってるわよ、もちろん」

「😄やったあ」

「(-  -;)嬉しそうな顔ね」

「😄なんで目をつぶってるのに嬉しそうってわかるの?

「(カーッ)」

「あはははははっww」

 

 

 

わたしはーー、

ハルくんに怒ることができず、

むしろ、

 

からかわれて、うれしくて、これって変な気持ちよね!?

 

って、きのうの放課後、さやかさんをウチに招いて、紅茶のサシ飲みで問い迫ったら…………

 

(-_-;)爆笑された。

 

 

ふたたび、一輪の花を持つ、自習時間のアカ子

 

「・・・・・・😥」

 

『ピアノを弾いてあげたい男の子でもできた?』

 

はっ葉山先輩!?!?

「じゃーん」

「『じゃーん』じゃないですよ、しかも私服、ワンピースって。

 あと正直その帽子は似合ってないですよ」

「わたしに気づいてからあなた、冷や汗ダクダクよ? 大丈夫」

「がーーーん😨」

「これフロンターレの帽子」

「❓❓❓」

Jリーグ川崎フロンターレよ。知らない? 最近強くなって」

「ファンなんですか」

「ううん」

「❓❓❓」

「西日本のチームのほうが」

「それ不可解です。先輩」

 

 

「ところで……八木先輩について、よからぬ噂が。なんでもセンターで失敗して消息不明だとかーー」

「不明なわけ、ナイナイww

 

   八木はね、いま、小泉と、

 

 温 泉 旅 行

 

 行ってるよん」

 

 

 

「( ゚д゚)……正気ですか」

「うんw みんな正気」

 

 

 

【愛の◯◯】吉報。見透かされちゃったけども

放課後

 

「(*´ω`*)~♫」

 

『元気そうで何よりね、羽田さん』

 

「∑(*゚д゚*)ハッ!」

 

葉山先輩だ。 

 

「なんで私服なんですか」

「担任の先生に許可取ってあるから」

「(。・_・。)フーン」

「関心なさそうねw」

「(。・_・。;;)」

 

戸部くん、本命大学に受かったのね。おめでとう

 

( ゚д゚;)どどど、どうしてわかったんですか!?

 

あなたがすっごくウキウキワクワクな表情だったから

 

 

ーーやっぱり、葉山先輩はすごいや。 

 

というわけでーー、

 

見事に戸部アツマくん、第一志望の大学に合格しました!

 

 

【愛の◯◯】日欧母娘喧嘩発生

夕方

戸部邸

・自分の部屋からリビングに降りていくアツマだったが……

 

アツマ「♪~(´ε` )」

 

アツマ「んぅ!?」

 

アツマ「Σ(・o・;)ギョッ」

 

 

 

アツマ「妹よ、こりゃどういうことだ。

 愛が、母さんに怒られてるなんて、火星人でも攻めてくるんじゃないか」

あすか「バカじゃないの!? 怒られてるわけないじゃん💢」

アツマ「おまえが怒るな」

 

 

愛と、母さんが、サシ向かいで座っている。

が……、

 

 

アツマ「たしかに、母さんに怒られてるってわけじゃなさそうだな。

 母さん、ニコニコしてるし」

あすか「でしょ? 

 おねえさん(=愛)、電話でおねえさんのお母さんとケンカしちゃったらしくて」

アツマ「それいつ」

あすか「2時間くらい前。おねえさんが、帰ってくるなり」

アツマ「国際母娘ゲンカw」

あすか「笑うなバカ兄貴💢」

 

あすか「時差の関係で、あっちが、お母さんのほうが出勤間際でバタバタしてる時間帯でしょ? 話がすれ違ったまま、電話がぶつ切りになっちゃってーー、」

アツマ「(あすかの腕を引っ張って)見ろよ、あの様子だと、収拾がつかなくなるってことはなさそうだな

 

 

 

 

× × × × ×

 

ゆうごはん

 

アツマ「おれ、腕力には自信あるから、炒めものが得意なんだ」

 

愛(顔を真っ赤にしてひたすらパクパクとゆうごはんを口に運ぶ

 

アツマ(さすがに、『腕力とか物騒なこと言わないでよ!』みてーなツッコミする元気もないか)

 

愛(顔を真っ赤にしてひたすらパクパクとゆうごはんを口に運ぶ

 

お父さんとの距離は、近すぎるくらい近いけど、

お母さんとの距離は、もう少しだけ近づけたらいいんだけどな。

なあ、愛?

 

 

 愛(顔を真っ赤にしてひたすらパクパクとゆうごはんを口に運ぶ

 

 

× × × × ×

 

ゆーしょくご

 

愛(顔を真っ赤にしてひたすらゴリゴリとハンドルを回してコーヒー豆を挽く

 

× × × × ×

 

あいのへや

 

愛(顔を真っ赤にしてひたすら宿題を解く

 

× × × × ×

 

せんめんじょ

 

愛(顔を真っ赤にしてひたすらシャカシャカと歯を磨く

 

 

× × × × ×

 

ランドリー

 

愛(顔を真っ赤にしてひたすら洗濯機をry

 

 

× × × × ×

 

おふろば

 

愛(顔を真っ赤にして)「どこまでついてくんのよ!!!!!! バカ!!!!!!!!

 

 

愛「あ、あれ、だれもいない・・・・・・?

 きのせい?????

【愛の◯◯】米津玄師から遠く離れて

夕方

某・児童文化センター

 

 

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ーー11月中旬のあの一件以来、わたしにつっかかってきた小学4年(?)の男の子を、なぜか、探しに、ときどきこの児童文化センターに立ち寄っていた。

 

でも、なかなか逢えないまま――今週も平日が終わってしまいそう。

 

(゚.゚) あっ

 

!!!!!!!! 

 

「( ^o^)ねえ!! わたしのこと、わたしのこと、おぼえてるよね?

「(-_-;)うるさいよ、ねーちゃん」

 

「い、いけない、大声出ちゃった」

「おぼえてるよ、日本史の話をし出したら止まんなくなって、先生に怒られてたよな?」

 

伊吹先生に怒られたわけじゃないし💢

 

……心なしか、口ぶりが粗暴に……。

 

去年の秋はあんなにかわいかったのに 

 

「なあねーちゃん」

「わたし『愛』っていう名前があるんだけど」

「(困惑して)・・・・・・」

あ、ごごごめんごめんやっぱり『ねーちゃん』でいいから

 

「ねーちゃん、ここでまえにキーボード弾いてただろ」

「キーボードじゃなくて、エレクトーンね。」

「フ、フン」

「でもどうしてそのことーー」

「おれの学校で『すごい美人のJKのねーちゃんが文化センターにキーボード弾きに来てた』って大騒ぎになった」

 

(;-_-)ううっ 

 

「き、キーボードじゃなくてエレクトーンだからね。

 そうねえ……」

 

「なにキーボードとにらめっこしてんだよ」

「エレクトーンだっていってるでしょ💢」

 

「……なんか弾いてほしい曲あったら弾いてあげるけど」

「マジ!? ねーちゃん、米津玄師の『Lemon』弾いてくれよ

えーっ

は!?

「ーーわかったわよ、でもLemonのあとでもう一曲弾くから、黙って聴いてなさいよ。

 いい?」

「(・д・)チッ」

 

♫『Lemon』♫

 

 

ーーーーーー

 

♫?????♫

 

 

「なんだよこの曲」

「Lemonつながりでね――、

 XTCってバンド、知ってる?

「は!? (;´Д`)知ってるわけねーだろ」

「『Oranges & Lemons(オレンジズ・アンド・レモンズ)』ってアルバムがああるんだけれど」

「(;´Д`)こじつけかよ!!

 

 

オレンジズ&レモンズ

オレンジズ&レモンズ

 

 

「そのアルバムの『The Mayor of Simpleton』って曲を、適当にアレンジした」

「!?!?!?」

 

 

「ねえ」

「なんだよ」

「もう一曲だけ弾くね」

「あっそ」

 

 

 

 

 

「ーーなんか、せつないな」

「え、せつなくなんかないわよw」

「(スルーを覚えて)洋楽?」

「洋楽。

 イギリスのロックバンド。

 もう永遠に完全復活することはないけど」

「あ、クイーン!?」

ちがーうww

「(;'A`)じゃあなんだよ?!」

 

「……ふふっw」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Led Zeppelin - II - Deluxe Edition Remastered Doppel-Vinyl [Vinyl LP] (2 LP)

【愛の◯◯】チョコは笑顏で渡すもの

夕方

戸部邸・キッチン

 

鼻歌を歌いながら、冷蔵庫から野菜を出し、まな板で切り始める、エプロン姿の愛。 

 

愛「~♫」

 

 

トントントントントントントントントントントントントン…と、非常にリズミカルで気持ちの良い音がキッチンで演奏される……。 

 

愛「(まな板を洗おうとして)おっとっと。

  すっごく冷たい水出すところだった。

  お湯、お湯」

 

なぜか、シンクの近くにある鳩時計に、しきりにしきりに愛は眼を走らせる。 

 

愛「……まだかなあ……」

 

 

 

ただいまーっ

 

 

愛「ピクン!!

 

愛(元気な声だ。)

 

愛(「声」は元気だけど、「顔」は……どうなんだろう)

 

 

ダイニング

 

アツマ「おーっす。帰ったぞ」

 

愛「(うつむき加減に)おかえり。」

 

アツマ「なんだよ。下ばっか向いてると姿勢が悪くなるぞ」

 

愛「ほんとだね。」

 

ーーと言って、顔を上げる愛。

 

しかし、その顔は、不安混じりの顔だった。 

 

愛「あ、あのその、し、しけん、さ……どう……だったの?

 

 

 

アツマ「(満面の笑みで)難しかったな~!!

 

愛「ちょ、ちょっと!! ドヤ顔で不吉なこと言わないでよ」

 

アツマ「難しかったけどさ、納得はいってる!」

 

愛「(青ざめて)な、なっとく!? どういうことよ!?

 

アツマ「じぶんが決めたことに、ぜんぜん後悔してないっ!」

 

愛「(だんだん怒りっぽくなって)話がそれてるじゃない! わたしだって中学受験したから、試験の緊張感ぐらい知ってるわよぉ!!! 手応えは!? ねえ!!!!!!

 

アツマ「(座っている愛の目線になって)ばーかw

 難しかったけどさ、

 おれの決めた進路にも、

 おれの出した答案にも、

 納得行ってるよ。

 

 おととい、しこたまプールで泳いだのが、効果あったみたいd…っておい」

 

アツマの顔に手作りチョコレートを押しつける愛。

 

アツマ「ば、ばっきゃろ、袋に入ったままじゃ食えないだろが」

 

愛「――夕ご飯のあとで部屋に戻ってから食べてね

 

アツマ「ん~? よく聞こえんぞ~w」

 

すると、愛はアツマの手にチョコの袋をのせて、

にっこりと笑った。

 

アツマ「・・・・・・」

 

愛「・・・・・・」

 

アツマ「おまえは、いっつも、素直じゃねーなぁとか思いながら、つきあってきたけどさ」

 

愛「つきあう……

 

アツマ「(-_-;)う……なんか別の意味にとってないか……まあいいや、おれたち、つきあってるといえば、つきあってるんだろうな」

 

愛「意味が変わったw」

 

アツマ「るせー!!

 

 (深呼吸して)

 

 今まででいちばん素直に笑えてたよ、愛

 

 

30秒間固まる愛。

 

 

 

 

愛「は、ははは、それはよかった」

 

アツマ「そのセーター、さやかさんに選んでもらったんだろ」

 

愛「どうしてわかるの……」

 

アツマ「おまえはファッションセンス、あんましないから」

 

愛「ファッションより文学が好き、とか、気の利いたこと言えないのっ?」

 

アツマ「おれは好きだよ、そのセーター」

 

愛「ーー」

 

 

 

× × ×

 

アツマが自分の部屋に行き、ダイニングテーブルには愛だけになった。

 

 

 

愛「わたしもーー、

 がんばらなくっちゃ。」

 

『でもガンバリスギナイヨウニネー』

 

愛「Σ(*_*; )ギク」

 

ソファーからにゅ~っと現れた明日美子さん。

 

「(^o^)肩もんであげよーか?」

「……よろしくおねがいします。」

 

 

 

【新シリ(仮)】これまでのあらすじ 兼 総集編[2]

「自転車少年と哲学少年」

 

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「きょうは何読んでんだ……また岩波文庫の『青いやつ』か……ははぁ、またソクラテスの本だな?」

違う!!

「おおw」

ソクラテスは一冊も本を書いていない!! ( ー`дー´)キリッ」

 

 

いつも体育館裏のベンチで、難しそうな本を読んでいる、真島正志と同じクラスの笹川哲(ささがわ さとる)。真島は、笹川の存在が「おもしろい」と思って、体育館裏に足繁く通っていたら、笹川と親しくなっていた。

 

「マキ、心のむこうに、憧れのギタリスト」 

 

 

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「マキちゃんのさぁ」

「うん・・・・・・」

「尊敬するギタリストって、誰なの」

「(間髪入れず)カシオペア野呂一生さんと、T-SQUARE安藤まさひろさん

「ご、ごめん、知らなくって」

 

 

マキと次第に仲良くなるすずかは、いつの間にか「マキちゃん」と呼ぶようになっていた。

 

「夕方5時のチャイムが鳴る」

 

 

「マキは、どの曲がいちばん好き? わたしは『東京炎上』」

 

 

「『パッション・フルーツ』」

だと思った♥

 

 

マキのお母さんは、音楽関係のライターをしているようである。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「激安アイスコーヒーと鑑定団とビートルズ」~「ジョンに賭ける」

 

 

 

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コーヒー・紅茶 200円

 

「こ、ここは、最近オープンしたんですか?」

「もともと地下にスタジオがあったんだ」

「そうだったんですか!? てっきり廃墟みたいになっているとーー、

あ、すすすみません(^_^;)」

「いやいや。

 近年、商店街の『さびれ』が進んでいるだろう? 若い人を呼び込みたくてね。 

 まぁ、商工会の要請でもあるんだけど……。

 君みたいな若い子に来てほしかったんだ。

 それで、『Ticket to Ride』や『Yesterday』みたいな曲を覚えて帰ってくれたら、僕としては最高だねw

 そして『Ticket to Ride』や『Yesterday』がどのミュージシャンの曲か、も知ってくれて、そこから音楽の世界に入り込んでくれるのなら……。

 おっと、お待たせ、出血大サービスの200円アイスコーヒーだ」

 

あ!

「えっ(;´∀`)」

鑑定団!! 鑑定団!!

 土曜のお昼の!!!!!!」

 

「ああ、なるほど~。やっぱり君らみたいな世代だと、そんな認識になっちゃうのは仕方ないか~w」

「この曲、なんて曲ですか?」

『HELP!』

「歌ってるのは?」

「そりゃもう当然、ザ・ビートルズさ」

(゚д゚;)!?

 

 

 

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ジョンやポールの名前を覚えただけ、進歩なんじゃない?

 的場さん!? (゜o゜;)

 

「なんだ、マキちゃん、この子と知り合いだったんじゃないか」

いちおう

 

 

 

「クイズ。戸崎さん、この曲(Taxman)を作ったのは、ビートルズのメンバーなんだけど、いったい誰でしょう?」

「えーっと、ジョン・レノンポール・マッカートニーのどちらかで・・・・・・

ジョン!!

残念!!w

「えええええ、じゃ、じゃあ、ポール?

ジョージ・ハリスン

「えええええええええええ」

 

「的場さんーー」

「( ´д)プイッ」

「こ、この曲、いいね」

「(;´д)」

「英語だから歌詞はわからないけど」

「び、ビートルズの歌詞は、英語圏のロックバンドのほうでも、いちばん聴き取りやすいほうなんだから(;´д)

 中学に入ったころ、それこそ『赤盤』の曲をひたすら歌いながら練習してーー」

「『赤盤』って、さっきまでかかってた?」

「そう、ベストアルバム。

『青盤』っていう続きのベストアルバムとひとつながりになってるんだけど」

「(目を輝かせて)えっ! 

ビートルズって、これだけじゃないの!?(゚∀゚)

 

「・・・・・・ほんとになんにも知らないのね(ボソッ)」

「うっ(゚∀゚;)」

「マスター、『Tomorrow Never Knows』」

 

「『トゥモロー・ネバー・ノウズ』?

(首をかしげて)

 ミスチル

 

( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

 

 

 

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 「えーと、『イエスタデイ』がポールで、『ヘルプ!!』がジョンなのね」

「とうぜん」

「『イエスタデイ』の流れだったら、こういう革新的な曲を作るのは、ポールのほうな気がするけど」

「す、するけど?」

「あたし、『なんでも鑑定団』のオープニングで、無意識的に『ヘルプ!!』を聞いてきてて――それでも、曲の出だしが、『斬新』だとは思った」

 

「で、やっぱり『イエスタデイ』からの流れだったら、『Tomorrow Never Knows』もやっぱりポールの作品ーー」

 

と見せかけて、あたしは『あまのじゃく』だから、敢えて、『Tomorrow Never Knows』の作者はジョンだ、というほうに賭けてみる

 

 

!? どうしてわかるの……(゜o゜;

 

「へへ、野生の勘」

 

 

× × ×

 

「あ、もしかして、イントロの『ぱーらぱらぱらぱぱー♪ ぱーぱーらぱらぱらぱーぱー♪』ってとこ?」

 

「戸崎さん……」

「なに?」

よどみなく歌えるのね

「えっ、どういうことw」

「い、いや、リフ…ギターリフを正確に覚えていて、『ぱーらぱらぱらぱぱー』とか、ことばは適当だったけど、テンポは『Innocent World』のそれとほとんど同じだったよ」

もしかして褒めてくれてるの!?

「ウッ(-_-;)」

 

 

 

戸崎あかりの音楽センスを、褒めざるを得なくなった、的場マキ。

あかりとマキが歩み寄った先に、何が、待つーー?