某温泉旅館
『むくり』
八木「(・_・;)まだこんな時間」
八木「持ってきたCDでも聴こう」
♫There She Goes♫
八木「ぼーっ」
八木「(・ω・`)……」
女湯
八木「だれも…いないかあ」
\チャポーン/
八木(だれもいない露天風呂でひとりーー)
八木(こういうの、ちょっと憧れだったんだ)
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回想
昨晩
小泉「ねえww八木wもっとこっちおいでよ」
八木「(・_・ )やだ」
小泉「月がきれいですねえ」
八木「夏目漱石のパクリ!?」
小泉「キレると血行によくないよ」
八木「わたしはここにいる」
小泉「そんな隅っこの方で浸からなくても。だれも見てないのに」
八木「(恨めしそうに岩壁にもたれかかっている小泉を見て)
慶應!!」
小泉「……こういう裸の付き合いですることといえば、恋バナかー」
<しゅるるるるる
<ポカーン(桶が直撃する音)
ばんごはん
小泉「ね! 熱燗でも頼んじゃおっか」
八木「💢バカじゃないの未成年よ!? 卒業できなくなるじゃない」
小泉「じゃあタバk」
八木「( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン」
・小泉の皿から料理を強奪する八木
小泉「(真顔になって)……おいしい?」
八木「(コクン)」
小泉「(コーラを飲み干して)……そりゃよかった」
八木「ねえ小泉それちょうだい」
小泉「野菜ばっか取ろうとして。タンパク質はどうしたの。
脂質も」
八木「脂質は余計だから。
ーー最近、むしょうに野菜が食べたい気分なの」
ゲームコーナー
八木(浴衣姿の小泉、さまになってるなぁ。
タハハ)
八木「ピンボール?」
小泉「卓球よりかこっちのほうがいい」
小泉「(ピンボールに興じながら)~♫♫」
八木「ねえ小泉。村上春樹の『1973年のピンボール』って小説、知ってる?」
小泉「(ピンボールを打ちながら)知らない」
八木「あっそ。そんなにピンボールが好きなら、読むと面白いと思うわ」
小泉「好きなの」
八木「べつに」
小泉「おいw」
小泉「(連コインしながら)本よりもさあ、八木、あんたには『自然』とのふれあいが必要だよ、『自然』との。
きょうの昼間みたいに部屋でひっくり返ってるだけじゃーだめ」
八木「説教モード? こんな山奥まで来て」
小泉「すべての北関東民にあやまりなさい」
八木「イヤ!!」
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わたしはいまーー、
小泉がぐっすり寝ているのを尻目に、
日の出を眺めています。
いいなあ~
お日さまには、採点する人なんていないんだ。
足切りも2次試験もない。
わたしもお日さまに記念受験したい。
・・・・・・なーんてw
うそぴょーん
夕飯の席での、父さんの言葉が発端だった。
『八重子、さいきんおまえノイローゼ気味だろ』
『……あいにく。』
『友だちと一緒に卒業旅行でも行ってきなさい。お金は出してあげるから』
『(固まって)ぽかーん』
『なぜそこで固まるw』
・食後ーー
『八重子、おまえ受験料とか学費とかしきりに気にしていたろう? インターネットとにらめっこして。
ーーそういうのは、心配しなくていいから』
『(泣いて)お父さん嘘ばっかり』
『こらww背中が濡れちゃうじゃないかw八重子は甘えんぼさんだなーw
…八重子は、おれのこどもだから』