八木八重子の自宅(マンション)に行き、夕飯を作ってあげることにした。
「ハロー葉山」
「ハロー八重子。お父さんはーー」
「もう出かけちゃったよ」
「そっか。
じゃあ取り掛かりましょうか、晩ごはんに」
「ここに来るまでに疲れたでしょ。少し休みなよ」
「それもそうね。」
× × ×
「9月だね、八重子。」
「そうだね、葉山。」
「……」
「……」
「どうだった? 夏は」
「夏なんてなかった」
「えっ」
「ほとんど予備校に通う日々よ」
「あっw」
わたしの夏は、どうだったかな。
わたしの夏も、あってないようなものだったのかも。
わたしは何もしなかった、
八重子のほうが、圧倒的に頑張ってる。
「ーーこのままで、いいのかな。」
「葉山?」
「わたしの夏、カラッポだった気がする。
ずっと怠けてた感じで。」
「焦っちゃだめだよ、葉山。
それにさ、戸部くんにバイトを教えてあげたの、あんたじゃん、葉山。
ひとのためになってんじゃん。
葉山が何もしていないわけじゃないと思うよ」
「でも、怠け者だよ、わたし。
ぜったいハタから見たら、怠けてるって思われる。
それで、『おまえは怠けてるだけだ』って、言われて、言われてーー」
「だれが言うの? そんなこと」
「……」
「そんなこと言う人、葉山の周りにはいないよ。
ちょっと誇大妄想入っちゃってるなー。
それに。
もし、そんな酷いこと言うヤツが出てきたら、わたしそんなヤツ、ぶんなぐってやるよ。
わたしが葉山を守るから。」
「…はは、八重子も大げさだなあ」
「わたしは葉山のお母さんだから」
「はい!?」
「まちがえたw
わたし『も』葉山のお母さんだから」
「大げさだなあ…w」
× × ×
「すごーい!!
葉山って、こんな手のこんだ魚料理も作れるのね!
尊敬しちゃう」
「そうかなあ」
「そうだよ!」
「ありがとう、元気出るよ。」
「すごーい!!
このサラダ、すっごい、すごーい!!」
「八重子、
(^_^;)国語の偏差値、下がってない? だいじょうぶ?」
「ヤサイおかわり」