えーどうもアツマです。
先日、ウチの愛が東京競馬場に招待されたわけですが。
今回は、愛の「談話」という形式で、当日の模様をお伝えしたいと思います。
愛のヤツ、終始嬉しそうに嬉しそうに語っておりました……。
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東京競馬場ってスゴいのね。
建物が現代的で、とても清潔なのよ。
空気もキレイで美味しかったし。
鉄火場のイメージとかけ離れてて、とってもクリーンだったわ。
『東洋一の競馬場』っていうキャッチコピーが昔からあるみたいだけど、東洋一どころじゃなくて『世界一』じゃないのかしら?
気に入っちゃった。
アツマくん、あなたも「パドック」がどんなトコロなのかぐらいは知ってるでしょ?
わたしを招待してくれた馬主さんに連れられて、第1レースのパドックに行ったのよ。
土曜日の朝だったから、いちばん前の場所に立って競走馬を見ることができたわ。
サラブレッドを至近距離で見るのは、もちろん初めて。
サラブレッドってスゴいのね。
競馬場もスゴいけど、サラブレッドもスゴいのよ。
カラダがピカピカ輝いてるの。
栗毛(くりげ)とか毛色の比較的薄い馬だと、輝きが金色に見えたわ。
大げさな表現じゃないのよ。
『未勝利戦の栗毛馬でこれだけ金ピカなんだから、例えばオルフェーヴルの馬体はどれだけ光り輝いていたのかしら!?』
そんなコト思っちゃった。
とにかく、磨き上げられた美しい彫刻作品みたいだったわ。
レースが始まる前から感動しちゃった。
「止まれ」っていう号令がかかって、騎手が出てきて騎乗するの。
騎手が乗った瞬間に、馬の雰囲気が変わるのよね。
騎手が乗ることで『キモチ』が変わったんだと思う。
そうね……。テンションが昂ぶるというよりも、レースに向けて精神面が『ととのう』というか。
そんなことに気づいたわ。
それで、早くしないと1レースが締め切られちゃうから、パドックの近くで馬券を買ったの。
わたしは2枠4番のカルネヴァーレっていう馬の単勝を買った。
パドックに向かう前に競馬新聞を見たとき、なぜだか内枠の馬のほうに眼が行ったのよ。
理由は不明。
なんだけど、たぶん「馬名」に惹きつけられたんだと思う。
「カルネヴァーレ」って名前にね。
カルネヴァーレの他にも、1枠1番の「ジェイエルジェティ」っていう馬名も面白いと思った。
実はカルネヴァーレとジェイエルジェティで迷ったのよ。どっちの単勝を買うか。
もしジェイエルジェティのほうを選んでたら、わたしすっごく悔しい思いをしてたと思うわ。
カルネヴァーレが1着で、ジェイエルジェティが2着だったのよ。
カルネヴァーレが勝ってくれたから、買ったお金が9倍になった。オッズが9倍ちょうどだったの。
自分が気になった馬のワンツーフィニッシュだったんだから、馬連でも当たってたんだけどね。
でもそれは結果論。
わたしは次のレースでも単勝で勝負したわ。
2枠3番のジョージテソーロの単勝。
そしたら、3馬身半差の圧勝。
もっとも、ジョージテソーロは断然の1番人気で、お金は1.7倍にしかならなかったんだけど、配当のことはどうでも良くって、わたしの選んだ馬が2連勝したんだから、もうテンションは上がりっぱなしだった。
3レースは外したけど、4レースの新馬戦で、また勝っちゃったのよ。
1枠2番のシークレットマター。単勝は1310円もついた。
あ、『1310円』っていうのは、100円買ったら1310円になりますよー、ってコトね。わたしはもちろん100円だけ買ったわけじゃないわよ。
4レースを終えて、『確信』のようなモノが芽生えたの。
『内枠の流れだ』って。
だって、1レース・2レース・4レースの勝ち馬はどれも1枠か2枠だったし、3レースでは、負けはしたけれど、わたしが単勝を買った1枠1番のアルシミストは2着に来ていた。
「内枠の馬が好走し続けてますよね??」
興奮しながら馬主さんに言ったら、
「『出目(でめ)』みたいなモノだな」
って言われた。
『出る』馬番の傾向を利用する馬券の買いかたを、『出目理論』とか『出目で買う』とか言うんだって。
昼休憩後の5レース。1枠2番のリアルファインドが気になった。
でもリアルファインドは超人気薄で、単勝を買うのは無謀かもしれないと思った。
迷ってたら、隣の馬主さんが、
「複勝もあるよ」
って言ってくれた。
そう。複勝だったら3着でもいいんだし、超人気薄だから配当もつく。
でね、複勝だけ買ったんだけど、リアルファインドはなんと1着になっちゃったの。
単勝6920円。
惜しいキモチもあった。
だけど、複勝は当たってリターンがあったんだし、割り切って切り替えて6レースの馬柱(うまばしら)を見た。
わたしは6レースも単勝を当てたわ。1枠2番のシュエルラウフェン。
えっ?
『なんでそんなに当たりまくるのか、ビギナーなのに』
ですって??
アツマくん。
あなた、『ビギナーズラック』ってコトバすら知らないのね。
知っておきなさいよー、それぐらい。
損するわよ。
わたしだって7レースと8レースは連続不的中だったわよ。
7レースで勝ったのは4枠の馬、8レースで勝ったのは5枠の馬。
ここで、わたしは『発想を変えなきゃ』って思ったのよ。
柔軟性の無い馬券勝負に勝利は無いわ。
7レースと8レース。急に内枠が勝たなくなった。
『今度は『外』なんじゃないかしら??』
そういう『ひらめき』があったのよ。
だから、9レースのフリージア賞では、外枠のほうに眼を向けた。
10頭立てで、6番と8番と9番の馬をピックアップした。内の馬は見なかった。
馬券の種類選びにも柔軟性を持たせて。
3連単って、3頭ボックスだと6点で済むのよ。
1点につき500円でも計3000円で済むの。
で、6番8番9番の3連単3頭ボックスを買ったら、見事にワンツースリーフィニッシュ。
万馬券じゃなかったけど、そうとう美味しかった。
10レースは外れちゃった。
『ま、そんなコトだってあるよね』って思って、京都競馬のメインレースのことを考え始めた。
その日わたしが買った京都競馬のレースは、この牝馬限定G3だけだった。
葉山先輩がね。
葉山先輩が、わたしに『入れ知恵』をしてくれていたの。
『メインレースのムルザバエフはとりあえず買っておきなさい』
って。
あのね。
ムルザバエフさんっていう外国人騎手が、その日は京都で騎乗していて。
それでもって、葉山先輩に言わせるならば、『重賞のような賞金の高いレースで大穴を開けてくれる騎手』なんだって。
その日のメインレースは京都牝馬ステークス、G3の重賞競走。
ムルザバエフさんが乗ってたのはコムストックロードちゃんっていう馬だった。
なんと締め切り後のオッズで単勝16番人気!!
16番人気の馬の単勝なんて、買うにはすっごくすっごく勇気がいる。
でも、複勝しか買わないで、万が一勝たれてしまったら……。
悩んでたの。
そしたら、近くを通りかかった見知らぬオジサンが、
『複勝を多めに買って、単勝も100円だけ押さえておくといいよ』
って、わたしに言ってくれたのよ。
福音(ふくいん)!!
あとから知ったんだけど、そのオジサンは割りと名のある競馬評論家だったんだって。
わたしのココロの中をどうして読めたのかしらね?
『結果オーライ』だったから、感謝のキモチしか無いんだけど。
コムストックロードちゃんは勝てなかった。
だけど3着には来てくれた。
ムルザバエフさん……。
日本で通年免許、取りませんか!?