【愛の◯◯】わたしの誕生日を忘れていても◯◯

 

「葉山先輩、今日は短縮版ですよ」

「了解よ、羽田さん」

「えーっと」

「?」

「この前の記事であらかじめ告知はしたんですけど、もう1回。明日から3日間は、更新を休みます

「15日から17日ね」

「ハイそうです。ブログの3連休ですね」

「まあ、たまには『休憩』してもいいんじゃないの」

「ですね」

「ちなみに、羽田さんにはブログ管理人さんからどうやって連絡が届くの?」

「マンション暮らしになるまでは、お邸(やしき)の自分の部屋の窓に伝書鳩が来てたんですけど――」

「あら。わたしと同じだったのね」

「葉山先輩に連絡が来るときは、今でも伝書鳩なんですか?」

伝書鳩よ。実家暮らしだからね」

「いいですねー。味がある」

フィクションであるがゆえの柔軟性よね」

「こらこらセンパイ、そんなこと言わないの」

「それで、マンション暮らしになってからの『伝達方法』は?」

「ハガキが来ます。手書きで連絡事項が書かれてて」

「ブログ管理人さんの文字って――」

「ハッキリ言って、かろうじて読めるレベルですね」

「やっぱり辛口か~」

「でも、手書きなのは律儀でいいと思います」

 

× × ×

 

「ところで、ちょうど1ヶ月後は羽田さんの誕生日」

「てへへ」

「21歳? あなたも」

「まさに」

「……なにが『まさに』なのか、見当つかないけど。でも、当日はあなたを目一杯お祝いしてあげないとね」

「ハリキリ過ぎないようにしてくださいねー。わたしの誕生日の1週間後にはセンパイの誕生日も控えてるんですから!」

「その通りね」

「はい」

「戸部くんは、もちろん……」

「『ふたり暮らしの相方の誕生日を忘れてるわけがない』?」

「そう。そう言いたかったの」

「どうですかね~~」

「ちょちょっと!! 忘れてるほうが不自然でしょっ!!」

「アツマくんは、トボけたとこもあるんで」

「トボけたところがあるにしたって……!」

「あのですね」

「……??」

「トボけたとこも含めて、アツマくんなんですよ」

「ど、どーゆー意味!?」

「むしろ、大事なことをド忘れしちゃうのも引っくるめて、わたしは彼のことが大好きなんです」

「……マジで大好きそうな笑顔してるわね、あなた」