【愛の◯◯】人事の季節の校内放送

 

「せーのっ。

 ランチタイムぅぅぅ~~、

 メガミックスぅぅぅ~~~!!!

 

 ……はい。

 こういった意味のあまり無い掛け声で始まりました、桐原高校お昼の校内放送番組『ランチタイムメガミックス』。

 金曜日のパーソナリティも、放送部永遠の2番手たる高津(たかつ)かがみがお送りしたいと思います。

 

 最初に1曲。

 東京事変で、『キラーチューン』」

 

× × ×

 

「んっと、1曲聴いて頂いたところで、フリートークを軽く。

 週刊少年マガジンって雑誌、あるでしょ。

 週刊少年マガジン誌上で、『真夜中ハートチューン』っていう漫画が始まったんですよ。

 アニメ化された『川柳少女』の作者でもある五十嵐正邦先生の新作なんだけど。

 なんと! 放送部が舞台の漫画なんですよ、コレ。

 放送部所属の4人の美少女をめぐるラブコメディ漫画なんです。

 なにせ『放送部』なんだから、気にならないワケには行かなくって。

 放送部が舞台の漫画作品は他にあるとしても、なんといっても天下の週刊少年マガジンですからねえ。注目するよ、するする。

 

 え?

『女子だけど、マガジンとか読むんですね』とか、だれか言った??

 

 なーんにも分かってなーい。

 女子だけど、週刊少年マガジン読む子は、読むよ!!

 ジャンプほどじゃないかもしれないけど。

 

 ところで、マガジンじゃないけど、週刊少年チャンピオンの漫画で、『吸血鬼すぐ死ぬ』っていうギャグ漫画があるよね? 今は作者の体調不良とかで休載してるけど、2回アニメ化されてるから、知ってる人も多いはず。

 名前は伏せるけど、ウチら放送部の子で、『吸血鬼すぐ死ぬ』の熱烈なファンが居るんです。

 もちろん女の子よ。」

 

× × ×

 

「さてー、お便りターイム!!

 おたよりっ♫ おたよりっ♫

 

 ……これ、読もっかあ。

 

 ラジオネーム『スカイツリーの頂上から目薬』さんから。

 また不可解なラジオネームの人からお便りが来ちゃったねえ。

 まあいいんだけど。自由なんだけど。

 

 卑猥なのはダメよ。

 

 えー、お便り本文!

『ぼくは放送部の『人事』が気になります。具体的には、次期の部長と副部長がだれになるのか等(とう)。今の部長である若松さんや、副部長である高津さんは、どうお考えなのでしょうか。』

 

 うおー、コレ、突っ込んできてるねー。

 ストライクゾーンの内角ギリギリいっぱいに投げられた直球みたいなお便りだ。

 分かりにくい比喩だったかもしれないけど、そういう感じのお便り。

 

 あのね。

 あのね、あのね。

 あのねのね

 

 実を言うと……引き継ぎのこと、全然考えてないんだ☆

 

 ――顧問の先生に叱られちゃうかな。

 2週間に1度しか部に顔を出さない先生なんだけど。

 ウーム、どうしよ。

 

 そうだ、2曲めを流してる間に、ちょっとだけ考えてみるわ。

 Coccoの『強く儚い者たち』って曲。

 コレね、わたしらが産まれる前の楽曲なんだけど……スゴくいいの。」