「愛、今日は短縮版だ」
「ハイOK」
× × ×
「8月に入った。夏真っ盛りって感じがしないか、愛よ?」
「するする、アツマくん」
「おれの職場の店でも、夏季限定メニューをいろいろと出してる」
「――かき氷とか??」
「よ、よくわかったな」
「あなたが働いてるお店のことなんだし」
「で、でもよ。おまえ、『リュクサンブール』に来店したこと、今までで1回しか……」
「1回しかないのが、どーかしたの?」
「……おまえにはかなわないよ」
× × ×
「かき氷の食べ過ぎで頭が痛くなったかのような雰囲気を醸し出すのは良くないわよ、アツマくーん」
「そりゃどーゆう喩えだ」
「と・こ・ろ・で」
「!?」
「あなた、明後日が、なんの日か知ってる??」
「明後日? 8月7日??」
「そーよ」
「……だれかの誕生日か?」
「そーなのよ」
「……さやかさん?」
「ピンポーン」
× × ×
「でも、よく正解できたわね」
「おぼろげに記憶にあったから。『確か、8月7日は……』って」
「割りとあなたも、さやかのことをよく理解してるのね」
「おまえの……親友だから」
「ホホーッ」
「な、なんぞ、その間の抜けたリアクションは」
「間が抜けてなんかないわよ」
「……」
「ねぇ」
「……なんだ?」
「あなた、さやかにもう一度、自分の妹役になってもらったら?」
「は、ハァ!?!?」
「あったじゃない、過去に一度だけ、そーゆーことが」
「いつのこと言ってんだよおまえ」
「実のお兄さんとケンカしたさやかが、あなたに甘えてきたのよね」
「……」
「あれは面白かったわ」
「……」
「詳細を知りたいひとは、過去ログを」
「……アホ」