「アツマくん、今日は短縮版よ」
「りょーかいー」
「ちょっとぉ、アツマくん」
「なにかなー、愛さん」
「やる気がないわけ??」
「やる気ってなんだよ。短縮版でやる気を出してどーする」
「ハァ……。これだからアツマくんは」
「『これだから◯◯』構文は、やめてくださらぬか」
「ふざけすぎ」
× × ×
「ねぇ、あなた……眠いの? もしかして」
「土曜の朝は、どうもシャッキリしないんだよな。働き疲れというやつだろうか」
「社会人1年目からそんなので大丈夫なのかしら」
「お、心配してくれてるんか?」
「心配というよりも……なんというか……」
「大丈夫だよ、愛。昼になるまでゴロゴロにゃ~んしてたら直る」
「……」
「おいおい、『先が思いやられる』的なリアクションも程々にしてくれよ」
「だって」
「平気、平気」
「ほんと?」
「食欲はバリバリあるからさ」
「食欲……」
「さっき、朝飯で食パンを何枚食ったと思う?」
「あなたが?」
「おれが」
「……5枚」
「うおっ、大正解!!」
× × ×
「あふれるほどに食欲があるんでしょう? 『シャッキリしない』っていうのと、なんだか矛盾がある気がするんだけど?」
「そうかもしれんなあ。愛の指摘もするどい」
「ちょ、ちょっとアツマくんっ。そんなんじゃ困るんですけど」
「仕方がなかろう」
「……どういう意味合いよ」
「さーーて、」
「?」
「ここで1つ、疑問がある」
「はい??」
「――食パンの数えかたは、1『枚』2『枚』……で良かったのかどうか!? 『枚』ではない別の数える単位があった気もするのだが!?」
「く、く、くだらないわねっ、いったいなにを食べたら、そんな些細な疑問が――」
「食パンを食べたから」
「……お昼ごはんは、軽めでいいわよね」