「どうも皆さま、おはようございます。羽田愛でございます」
「おいおい、やけに礼儀正しいじゃねーか」
「だって4月になったし、年度が変わるんだし」
「そもそも、『皆さま』ってのは??」
「『読者の』皆さまよ。そんなことも分からないの」
「……」
「はい、アツマくん黙った」
「……ケッ」
「バカみたいな不貞腐(ふてくさ)れかたね。何歳になっても、おバカさんなんだから」
「お、おれはおバカさんじゃないっ」
「アツマくん。つべこべ言わないのよ。
理由は、今回は短縮版で、800字程度でおさめたいから」
× × ×
「4月初日の重要な日なのに、短縮版っておかしくね??」
「土曜日でしょ?」
「土曜日がどうした」
「あなた気づかないの!? 土曜日の記事って、だいたい相対的に文字数が少なくなってるでしょ」
「いや『記事』って」
「記事は記事なの。――重要なのはね、短縮版を週1程度挟むのが、ブログを持続させていくコツだってこと」
「でも持続させるのは、おまえじゃなくて、管理人だよな」
「アツマくん!!」
「こっコラッ、いきなり大声出すなや」
「このコーヒー飲み切ったら、わたし、電車に乗りに出ちゃうからね??」
「もう行くのか? 利比古の大学の入学式、そんなに早い時間帯だったか?」
「早い時間帯だとか関係ないっ。わたしの愛する弟の入学式なんだからっ」
「居ても立っても居られませんよ、と」
「あなたにしては良く分かってるじゃないの」
「それぐらい分かりますから、愛さん」
「突然敬語にならないで」
「はいはい」
「ほんとにもうっ。……留守番よろしくね、アツマくん」
「わーってる、わーってる」
「4月に入って社会人生活スタートなのに、今日が休みなのは、不可解だけど」
「おれが働き始めるのは、明後日から」
「それなら、この土日はしっかり休養して、英気を養ってよね……」
「言われなくとも」
× × ×
「あっ!」
「どうしたんだよ、読者の皆さまに付け足したいことでもあるんか?」
「あるのよ」
「なんだよ、言ってみろよ」
「言い忘れましたが、わたしとアツマくん、某東京23区のマンションで『ふたり暮らし』を始めましたので」
「ああ、そのことかぁ」
「そのこと。」
「『ふたり暮らし』編突入、ってこったな」
「カッコつけた言いかたしなくたって良いでしょ」
「いいや、カッコつける」
「……。
そろそろ、出かけるわ」
「行ってら~~」
「どうしてそんなにチャラチャラするわけ!?」