「利比古くん、今日は短縮版だよ」
「あーハイ」
「字数は、900字ぐらいまでで」
「……」
「なに?? その顔面は」
「……別に」
「むすーっ、としちゃってさ」
「イラツイてなんかいませんからっ」
「じゃあなんでそんな顔面なの」
「……」
「沈黙しないでよぉ。
せっかくのハンサムなルックスが、台無し――」
「あすかさん」
「?」
「ダイニングでコーヒーを飲んできていいですか。テンションが今ひとつ上がらないんで」
× × ×
「利比古くんって、そんなにコーヒー好(ず)きだった?」
「好(す)きですよー。姉ほどではないですけども」
「そりゃ、おねーさんは格が違うけど」
「まあそうですよね。
ところで――」
「え??」
「コーヒーをカラダに注入したら、テンションが上がって来ちゃって」
「そ、そうなんだ」
「出番が少ないことなんか、気にならなくなってきました♫」
「ま……まあね。
たしかに、今週は月曜から金曜まで、スポーツ新聞部シリーズだったみたいだし」
「そうみたいですね。あすかさんの母校の、あすかさんが部長だった、スポーツ新聞部の模様を――」
「――平日全部使ってお届けしました、と」
「ブログの中の人も大胆なことするんですね」
「来週のブログは……いったいなにが出てくるのかな、だれが出てくるのかな」
「なにが出るかな♫ だれが出るかな♫ ですか?」
「う、歌わなくたって」
「懐かしくないですか??」
「……『いいとも』のあとでやってた番組でしょ?」
「もちろん」
「大きいサイコロなんか……この邸(いえ)には無いよ。たぶん」
「ええ~っ」
「な、なんで、そんなに残念そうなの!??!」
「転がしたかったんですよ!? サイコロ。けっこう本気で」
「ご、ご◯げんようゴッコがしたかったの」
「面白そうですし」
「……」
「あすかさん、そんなにうつむかなくたって」
「……。
利比古くんの、フジっ子っ」
「いやいや、CXだけ好きとか、そういうわけじゃなく」