【愛の◯◯】思春期が約10年間

 

青島さやかです。

昨日まで3日間、ブログはお休みをいただきました。

今日から、完全復活です。

管理人さんのアレルギー性鼻炎が治ったかどうかは知りません。

花粉の季節だから、治っていないのかもしれません。

まあ、頑張って、鼻炎を治していただきたいと思ってます……。

 

× × ×

 

幸いにして花粉とは無縁のわたしだった。

今日は日曜日。全国的に休日、のはず。

部屋の窓から暖かい光が差し込んでいる。

わたしの部屋。

今は、母さんが来ていて、母娘(おやこ)でお喋りタイムだ。

 

不意に、母さんがこう言ってきた。

「あなたの親友の愛ちゃんやアカ子ちゃんには、彼氏さんがいるのよね?」

いるけど。

「いるけど」

「さやかは、そこんところ、どうなのかしら」

え。

ええぇ。

なに、それ。

「そこんところ、って、どんなところ」

アワアワと訊き返すが、

「――恋は、してないの?

ちょ、直球な。

直球すぎるよ、母さん。

佐々木朗希の速球みたいな……!!

返答できない。

母さんは、

「さやかって、同年代よりは、年上の男性(ひと)に憧れそうよね??

と、続けざまに豪速球ストレートを投げてくる。

「と、と……年上って。具体的には?!」

ニッコリ笑って、

学校の先生だとか」

と言う母さん。

……怖い。

問われるのが、怖い。

母さんは、わたしの「ほんとう」に迫っている。

なんでも知っていそうな母さん。

反抗するわけじゃないけど……レスポンスが、したくない。

ベッドにうつ伏せに寝そべって、顔を背ける。

母さんになんにも言えなくなるわたし。

 

× × ×

 

およそ10分、黙りこくっていた。

……さすがに、黙り続けていたら、母さんの機嫌を損ねてしまうかもしれないと思い、

「……ごめんなさい」

と謝る。

「ごめんなさい母さん。良くない態度取っちゃった」

とも。

ベッドに座り直す。

デスクの椅子に座っている母さんを見る。

母さんは柔らかな表情で、

「悪かったのは、わたしのほうだわ。ごめんね、さやか」

「そ、そんなこと無いよ」

「だけど、デリケートなところに、触れちゃったでしょ??」

「ん……」

「そっとしておくね」

ラチがあかず、目線を下げ、カーペットのあたりを見つめる。

また、コトバが上手く出てこなくなる。

見かねたのか、母さんは椅子から立ち上がり、わたしの眼の前に寄ってきて、

「なんだか中学入りたてのコドモみたいじゃないの、さやか」

と言い、わたしの左肩に優しく右手を置く。

少しくすぐったい。

だけど――こうやって慰められることも多かった。

それこそ、中学・高校と、出来事や問題が起こったとき、母さんは頭ごなしに怒るんじゃなくて、その反対――優しくいたわってくれた。

そう。いつもいつも優しくしてくれた。

いろいろ優しくしてくれた。

 

「母さん」

「なあに」

「甘えたい」

「あーら」

「大学生で、とっくにお酒も飲めるのに、思春期みたい、わたし」

 

自然と、母さんの上半身に抱きついている。

 

「思春期、終わらない……大学卒業するまで続きそう」

「長い思春期ね」

「長くなる。中学入学からカウントするなら、10年間ぐらい」

「いいじゃないの、さやか。ゆっくりオトナになっていけば」

嬉しいコトバを貰った。

嬉しくて、

「ありがとう母さん。今言ってくれたこと、大事にするね」

と感謝する。

抱くチカラを強める。

「よしよし」

という母さんの声。

 

× × ×

 

ベッドにふたり横並びで座る。

「さやかはモテそうなんだけどな~」

母さんの発言に、またドッキリ。

「わが娘ながら、イカしてるところが、いっぱいある」

イカしてる……かぁ」

「『さやかって格好いいね』とか、言われたりしない?」

「クール、だとか……サバサバしてる、だとか……。そんなふうに言われたことなら」

「ふぅん」

わたしを横目でチラと見て、

「たしかに、さやかは、そうよね」

と言うけど、それから、

「でも、実の母としては――さやかの『もう一方の面』も、いっぱい知ってるんだけど」

「は……話の雲行き、怪しくなってきてない??」

「あらら」

「……」

「恥ずかしそうね、さやか」

 

だって……。

当たり前でしょ、恥ずかしくなるのは。

 

ま、いっか……。