「利比古くん、きょうは夏休み突入記念短縮版だよ」
「…はい」
「700文字程度でおさめたいよね」
「ななな700文字!?!?」
「え、なんでそんな突然ビックリするの」
「あすかさん……。700文字って記録的に少なくないですか?? 短縮版史上最短ですよね!? いったいどうして……」
「――それはね、夏休み突入記念だから」
「こ……答えになってないです」
「うろたえてるヒマなんかないよ利比古くん。700文字程度におさめるんだから、急がなきゃ」
「このブログの管理人さんは……なにがしたいんでしょうか」
「バカなこと言わないでよ利比古くんっ。お姉さん、怒っちゃうよ!?」
「……」
「エーッ、なんなの、その不満に満ちたような眼は」
「……いつの間に、あすかさんは、ぼくの『お姉さん』を気取るようになったんですか? 姉は、ひとりでじゅうぶんですっ」
「……なるへそ」
× × ×
「……姉といえば」
「なに?」
「ぼく、夏休みはできる限り、姉のそばに居てあげたいって……思ってるんです」
「おぉっ」
「少しでも早く、姉が、本調子を取り戻せるように……」
「――お姉さん孝行だね、利比古くんも」
「当たり前じゃないですか。血の繋がった弟ですから、ぼくは」
「姉弟愛で、家族愛か」
「そういうことです。……あすかさんにも手を貸してほしいんですが」
「貸す貸す、いくらでも。
……わたしは、おねーさんのホントの妹でもなんでもないけど、ね」
「……いつか。」
「え??」
「いつか、あすかさんが姉のほんとうの妹になる日が、やって来るのでは……」
「!? そ、そ、それって、どーゆーこと……!?」
「あすかさん」
「……」
「700字が見えてきました」
「……あっ」