【愛の◯◯】短縮版 予定忘るべからず

 

「アツマくん」

「はい」

「明日以降の予定について話すわよ」

「はい」

「生返事はやめてね」

「はい」

「……」

 

× × ×

 

「明日の日曜日は侑(ゆう)とバッティングセンター行きよ? 頭に叩き込んでるわよね?」

「アッそうだった」

「ま、まさか、忘れてたとか言わないわよね!?」

「愛。素直におれは負けを認める」

「負けって何、負けって」

「わすれてたから」

「あ、あ、あしたのよていを、わすれないで」

「くるしゅうない」

「予定をあなたの頭に叩き込むんじゃなくて、あなたの頭自体を叩くわよ!?」

 

× × ×

 

「すまんかった。明日はちゃんとやる。バッセンでおまえと侑ちゃんに打撃指導してやる」

「お願いね」

「あたぼうよ」

「……ねえアツマくん。わたしの話し方も、『若いのに昭和の女性の話し方みたいだ』って、各方面からツッコミを入れられるんだけど。あなたの話し方も、ちょっと気になるトコロがあるわよ?」

「どこが〜?」

「『あたぼうよ』とか」

「そこに注目するのか〜」

「するのよ」

「光栄だ」

「光栄に思わないで」

「なんでやねん」

「関西弁禁止!!」

「んなアホなー」

「『愛ポイント』システムってあったでしょ? あなたがわたしに良いコトをしてくれたら、『愛ポイント』が貯まっていくシステム。エセ関西弁ばっかり言ってるようだったら、せっかく貯まってた『愛ポイント』を減らしちゃうわよ!?」

「その設定まだ生きてたんか」

「……次に、8月7日だけどっ!!」

「ウォーッ、バッセンの件からアクロバティックに話題を移行」

「言うまでもなく、8月7日はさやかの誕生日で」

「そらそうよ」

「どうして阪神タイガースの監督のモノマネするのよ!? 信じられないほどムカつくんですけど!!」