「……あらためまして、こんにちは! 板東なぎさです。
期末テストも近いですが、残りの金曜日、がんばっていきましょう。
……期末、といえば。
『鬼滅の刃』が社会現象になって、アニメの続編も発表されましたが、
『鬼滅の刃』
と、
『期末のヤバさ』
って――、
なんだか、似てませんか?
――語呂的に。
『き・め・つ・の・や・い・ば』と、
『き・ま・つ・の・や・ば・さ』ですよ。
――どう思われますかね?
わたくしの、一発ギャグへの、忌憚(きたん)なきご意見は、随時募集しております。
というわけで――ここで、ひとまず1曲。
LiSAで『crossing field』」
× × ×
「はい。
『鬼滅』関連楽曲が流れると予想してたあなた、
甘いです。
『ソードアート・オンライン』っていうアニメのオープニングなんですけど、
『ソードアート・オンライン』の、原作本の、背表紙――、
あれは、何色って言えばいいんでしょうかね?
濃いピンク?
ピンクっぽい紫??
ちゃんと、あの背表紙の色にも名前があるんでしょうけど。
なにぶん、ラノベに疎(うと)いので……あっ、ライトノベルを『ラノベ』って略すと、どこからか石が飛んでくるんでしたっけ??
ライトノベルに詳しいかたの情報提供、随時募集しております。
どんな情報でもいいんで。それこそ、電撃文庫の背表紙に関する知識を教えてくれてもいいし。
もうじきアニメ化されそうなライトノベルはこれだ……とか。
わたしにライトノベルの知識……吹き込んでくれても、いいんだよっ?」
× × ×
「ひとくちにライトノベルといっても、いまは、範囲が広くなってると思うよ」
「……きょうの『ランチタイムメガミックス(仮)』のこと?」
「そうだけど……」
「範囲が広くなってるって、具体的には」
「ぼくにしたって、漠然としか知らないんだけど――たとえば、異世界転生系っていうのかな、それみたいな系統の――」
「やっぱ訊くのやめた」
「えっ、いいの」
「話がややこしくなってきそうだから」
「……たしかに」
「でしょ?
黒柳くん、ここはライトノベル同好会じゃないんだよ」
「……たしかに」
「わかってる?」
「うん…」
「…きょうは羽田くんが用事でいないし、黒柳くんにがんばってもらわないと」
「でも、がんばる、っていったってなあ…」
「しゃべるのをがんばってほしいな」
「……」
「ほら、変なタイミングで、口ごもる」
「……ごめん」
「ごめん、は無用。
コミュニケーションしようよ、もっと」
「コミュニケーション」
「そ、コミュニケーション。コミュニケーションがないと、時間、持て余しちゃう」
「……話し合いでも、する?」
「そのことば、待ってた」
「企画会議……とかさ」
「する、する」
「――企画会議って、そんなにウキウキするものかな」
「黒柳くんのテンションが低すぎるってことでしょ」
「……」
「……次はラジオ番組制作、だったよね」
「お、少しシャキンとなった」
「元気じゃないわけじゃ、ないから……」
「その調子で行こう」
「よし……、
どんなラジオ番組が、板東さんは作ってみたい?」
「――あきれた、わたしあきれちゃった」
「え、え、えっ」
「どうして、わたしの希望を先に訊こうとするの。
黒柳くん、ここまで主体性がなかったとは――」
「主体性」
「そうだよ主体性っ。
『ぼくはこんなラジオ番組が作ってみたい~』っていう自己主張を、まずそっちからしてほしかったんだよ、わたしは」
「自己主張……」
「黒柳くん自身の構想はないの? 構想は」
「構想……」
「――ぜったい適当に相づち打ってるでしょ」
「構想、と、言われても。
板東さんは知ってるかも、だけど……ぼく、テレビに比べてラジオの知識は、それほど――」
「あっきれたぁ」
「板東さん!?」
「何度わたしをあきれさせたら、気が済むの!?」
「お、おこらないでよ」
「せっかく、せっかく――、
羽田くんとふたりして、『放送オタクコンビ』だと思ってたのに」
「――そんな認識だったの!?」
「もっと勉強してよ、ウィキペディアで」
「えぇ…」
「テレビ番組だけじゃなく、ラジオ番組のウィキペディアもコンプリートしてよ」
「コンプリートって…トレーディングカードじゃあるまいし」
「ハンパな知識はわたしが許さない」
「で、でも……ウィキペディアだよ? 所詮」
「NGワード言った!! 黒柳くんがNGワード言った!! もう限界」
「……え??」
「『所詮』が、NG!!」
「あっ」
「『あっ』、じゃないっ!!
ウィキペディアなめるんじゃなくって、もっと真面目にネットサーフィンしなよ!!
ボーっとネットサーフィンしてんじゃないわよ!!!!」
「……叱られた」