bakhtin19880823.hatenadiary.jp
(↑ のつづき)
アカちゃん「じゃあ、ポニーテールにしてみようかな」
わたし「あ、それいい!!!」
アツマくん「(狂喜した顔で)ポニーテール!!!!!!!!」
わたし「(頭をはたいて)いやらしい! 自重しなさいよ」
アカちゃん「(すてきな微笑を浮かべて)愛ちゃん、ヘアゴムある?」
わたし「ないわけないでしょ」
アカちゃん「じゃあ貸して♫」
わたし「貸さないわけないでしょーw」
しばらくのち、ポニーテールに結わえたアカちゃんが戻ってきた。
うん、似合ってる似合ってる。
それに引き換え、この戸部アツマって男は。
いやらしそうな眼でアカちゃんのポニテ姿を見て・・・
ひどい。
しつけなきゃ
アツマくん「そういえばさあ」
わたし「なに(-_-)」
アツマくん「藤村の後輩のハルくんが、おとといここに来たとき、落としものしちまった~って、連絡来てたじゃん」
わたし「( ゚д゚)ァッ! そうだった」
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↑このとき
アツマくん「今日あたり来るらしいよ、学校で藤村がそう言ってたから」
わたし「そっか。
アカちゃん、『ハルくん』っていうおもしろい男の子が、たぶんもうすぐここに来るよ、落としもの取りに」
アカちゃん「おもしろいって、どんなふうに……(; ^ω^)」
♪ピンポーン♪
アツマくん「お、言ってるそばから」
ハルくん「すみませんでした・・・orz」
アツマくん「気にすんな! もっと堂々としないと、試合で戦えないぞw」
ハルくん「ほんとそうですね」
アツマくん「これから『ハル』って呼び捨てにするから」
ハルくん「あ、もちろんオッケーですよ」
わたし「アカちゃん、彼が、サッカー部で藤村さんの後輩のハルくん。
わたしたちと同学年よ」
アカちゃん「ハルさん、初めまして、愛ちゃんと仲良くさせてもらってるアカ子と申します。どうぞよろしく。」
なぜか硬直するハルくん。
アカちゃんを見た瞬間だった。
ということは、まさか・・・( ̄▽ ̄)
ハルくん「えーっと、えーっと、ふたりは、同じ学校ですか?」
アカちゃん「ええ、そうですよ」
ハルくん「ものすごい名門ですよね……」
アカちゃん「通ってると、そういうこと、ぎゃくに意識しないんですよww」
ハルくん「そこらへんが名門です」
わたし「ハルくんもアカちゃんも、同学年なんだからタメグチで行こうよ」
ハルくん「そうだそうだ……。
アカ子さん、と呼べばいいかな?」
アカちゃん「なんでもいいわよ」
アツマくん「おい、肝心の落としものの件」
わたし・アカちゃん・そしてハルくん「あっ!!」
アツマくん「ハル、たぶんハルがサッカー始めたのって、この漫画の影響なんだろ」
ハルくん「そうなんですよ!!!
単行本1巻の初版が、ぼくの生まれた年と同じ年なんです」
わたし「ってことは・・・2002年?」
ハルくん「そうだよ、日韓ワールドカップの年」
アカちゃん「えっ、わたしたちが生まれた年に、日本でワールドカップがあったの?
初めて知った」
とうぜん、わたしとハルくんとアツマくんは、過去に前例のないぐらい驚愕してしまって、しばらくだれもなにも言えなかった。
ハルくん「め、名門校特有の、ジョークだよね、今のは?」
アカちゃん「ジョークじゃないわ」
わたし「い、いや、さすがに、お笑い芸人みたいにボケをかましたかと思ったよ…(^^;)」
アツマくん「でもすごいチョイスだよな。『キャプテン翼』じゃないんだもん。しかも、『翼』以外にも、『ORANGE(オレンジ)』以上に知名度があるサッカー漫画、いっぱいあるし。
おれも題名知ってるだけだわ。
不遇だよなあ、作品も、作者も」
わたし「てっきりサッカーゲームのデータが入ったメモリーカード落としたかと思ったよw」
アツマくん「おれもw」
ハルくん「大切な漫画本なので、忘れてきたってことに気づいたときは、泣きました・・・」
アツマくん「わかるわかる」
わたし「『漫画』ってすごいね。ひとの人生に影響を与えて、そういう大事な作品の単行本をなくしただけで、泣かせちゃうんだもん」
アツマくん「おまえにしては名言じゃないか」
わたし「『おまえにしては』ですって!? わたしのことなんだと思ってんの、バカバカ」
アツマくん「おれの大切な人!」
わたし「・・・・・・」
こんどは・・・・・・わたしが硬直してしまった。
アツマくんの言葉は、全盛期の藤川球児の、火の玉ストレートみたい。
ほら、ハルくんとアカちゃんも赤面してるし。
ハルくん「じゃあきょうはもう帰ります」
アツマくん「あれ? きょうの夜、さいたまスタジアムでウルグアイ戦だったよな? 日本代表の」
わたし「そうそう、テレ朝で中継するって、新聞にも書いてあったよ。
一緒に観戦しよ?」
アカちゃん「遅くなるから帰ります」
わたし「えっ、もう少しいいじゃん」
アカちゃん「ハルくん、わたしはジョークを言ったつもりは全然ないから。
それは覚えてて。
それじゃごきげんよう」
赤星憲広の全盛期のような走力で、アカちゃんは邸(やしき)から出て行ってしまった。
ハルくん「しょ、初対面で、名門女子校のお嬢様を怒らせちゃった・・・(;゚Д゚)」
わたし「大丈夫だよ、『消される』とか、そういうのはないから安心安心。
たぶん」
ハルくん「たぶん、ってなんだよ、怖い・・・(;゚Д゚)」
アツマくん「とりあえずおちけつ、ハル。
ハル、おまえ、好きなサッカー選手とか、いないのか?」
ハルくん「ぼくは・・・試合観るより、試合で走り回ってるほうが、好きですから」
わたし「へーっ、かっこいい! そう言い切れるの、かっこいいと思うよ!」
アツマくん「でも、珍しいよな。憧れの選手もいないし、テレビの試合中継もあまり観ないんだろ?」
ハルくん「そりゃ、チームメイトには、サッカーマニア、たくさんいますよ。毎日プレミアリーグの話ばかりロッカーでしてる先輩とか、FC東京の年度別得失点差をぜんぶ暗記してるJリーグマニアとか」
アツマくん「Jリーグマニアじゃなくて、FC東京マニアって言ったほうがいいと思うぞ、そいつは(; ^ω^)」
わたし「そっか、FC東京か。味の素スタジアム、近いものね」
ハルくん「味の素スタジアム、知ってるんだ」
わたし「あら、こう見えてもわたし、スポーツ観るのもやるのも大好きなのよ」
アツマくん「横浜は4位~」
わたし「最下位になって暗黒再来で監督がソッコーで辞める阪神よりはマシよ!!」
アツマくん「いや、球団名は出してやるなよ」
ハルくん「ほんとに詳しいんだね! サッカーでなく野球も」
わたし「いちばん得意なスポーツは水泳だけどね」
アツマくん「そういえば水泳っていったら、おれと池江璃花子(りかこ)って同学年だな」
わたし「どうしてここまで差がついたんだろうねw」
アツマくん「なんだとーっ」
ハルくん「アハハハ、仲の良いカップルって、いいですね」
恥ずかしさ(とうれしさ)で、わたしとアツマくんの頭は瞬時に沸点に達し、湯気が出るほどデレてしまったのでした。