さて、アカちゃんの家に行くことになったわけではあるが、
どうしたものか。
よくよく頭を冷やしたら、
わたしが「このこと」で出しゃばる筋合いはない気がする。
・・・「ハルくんの身近に、ハルくんを意識してそうな女の子がいる」なんて、アカちゃんの気持ちをかき乱すようなこと、言うもんじゃないし。
そもそも、あすかちゃんの・・・ハルくんに対する感情について、わたしの頭の中で、明確な認識が形作られていないんだし。
ーーけっきょく、そっとしておくのが、最善なんだろう。
でも、「きょうはどうしてウチに?」ってアカちゃんに理由を訊かれたら、
あーーーーーーっ、
わたしどうしよーっ……。
「きょうはどうしてウチに?」
(・・;)ほ、ほら、いきなり先制パンチ。
「え、え、え、えーっとね、蜜柑ちゃんの紅茶が、ほらたまには紅茶が飲みたいから、蜜柑ちゃんが淹れてくれる紅茶美味しいから、その美味しい紅茶飲みにきたのと、それと・・・この前のはなしを」
「この前、って?」
「ほ、ほら! ハルくんに服、買ってあげたんでしょ? なぜかアツマくんも同行して」
「蜜柑もいたわね」
「そ、そうなんだよねw」
「わたしがハルくんのTシャツ選んだんだけど」
「うん、うん、」
「ハルくんがTシャツ選んでくれて、ふたつ選んでくれて、わたしはそのうちのひとつが断然好みだったから、そのTシャツ選んだの」
「んっ?w」
「つまり、わたしがハルくんのTシャツ選んだんだけど、ハルくんもハルくんのTシャツ選んだの」
「(・・;)……」
「あのね」
「うん」
「ハルくん、去年より、すごく大人っぽくなった気がした」
「わかるの? どうして?」
「日焼けと…、
ことばと…、
あと、性格」
「へ、へぇ~」
「愛ちゃん」
「はい」
「あのね、」
「・・・・・・」
「あのね……」
「はい・・・」
「やっぱいいやw」
「」
アカちゃんの、ハルくんに対する感情、
ふたりが出会ったときと、
まるで正反対みたい。
× × ×
「蜜柑がね」
「蜜柑ちゃんが?」
「今度こそオムライス作ってくれるって」
「こ、今度こそ!?」
「この前、作ってくれるって言って、作ってくれなかったから」
「(・_・;)ど、どゆこと」
「わたしのワガママ」
「(@_@;)!?!?」
「オムライスもかわいそうね。
わたしのワガママで、作られたり、作られなかったりで」
「(@_@;)!?!?!?」
「でもーーうれしかった。
蜜柑もワガママだけど、わたしはもっとワガママ。
そんなわたしを蜜柑は受け入れてくれる。
オムライスもーー、
ハルくんも。」
ーーアカちゃんの言語センスが、
オムライスのせいで、すごいことになってる気がする…。