【愛の◯◯】サンタさんになったハルくんに会いに行くためにドタバタ!?

ーーびっくりしちゃった。

昨日の電話。

ハルくんの迫力。

『おれはアカ子とふたりであすかちゃんのギターを聴くんだっ!!』って。

 ハルくんーー、

まだ、草食系だと思っていたのにw

 

× × ×

 

ともあれ、クリスマス・イブに、ハルくんと、恋人らしいことをすることになったわけだ。

 

準備しなきゃ。

 

どんな服を着ていこうかしら。

美容室に行ったほうがいいのかしらーー。 

 

× × ×

 

「蜜柑、こっち来て」

「はい」

「(トップスを見せて)これとこれだったら、どっちを合わせたほうがいいと思う?」

「それは、こっちのほうがいいと思います」

「わかった。」

 

「でもなんでまたお嬢さま、こんなに服を引っぱりだして」

「(姿見を見つめて)……」

「……きいてますかぁ~」

「イブにね」

「イブに?」

「ちょっと出かけるから」

「ははぁ~ww」

「こっちは真剣なんだからねっ」

「ハルくんと何するんですか?」

「ライブに行くのよ」

「ライブって誰の?」

「あすかちゃんが入ったバンド」

「あすかさんってアツマさんの妹さんですよね?」

「そうよ。

 だから、愛ちゃんも、アツマさんも来る。

 でも、わたしはーー」

「?」

「わ、わたしは、

 わたしは、ね、

 ハルくんの、の、」

「ーー初々しいですね~ww」

「うるさいっっ、ハルくんが好きなのっわたし」

「直球」

「わるかったわね!」

 

「ふたりきりが、いいんですね」

「そういうことよ……」

 

あ、そうだ、

あとでお父さんかお母さんに、イブの夜に外出すること言っておかなきゃ。 

 

× × ×

 

階下(した)におりた

お父さんがいた

お母さんはいない

 

「お父さん?

 模型作りに熱中するのはいいけど、少しだけ手を止めてくれないかしら」

「サンタさんに来てほしくなったか?」

「何歳だと思ってるのっ!」

「そうだなぁもうアカ子も子どもでもないわな。

 彼氏のひとつやふたつもーー」

 

「な、な、な、

 なに言い出すのよ、唐突に」

 

「『自転車くん』と良い感じじゃないのかぁ?」

 

「いいかげん覚えてよ!!

 彼には『ハル』くんっていう立派な名前があるのよ!?」

 

「そうだった、そうだった、ハルくんだw

 そうかあ。

 アカ子のサンタさんは、ハルくんになったんだなぁ」

 

心拍数が上がるわたし。 

 

「あのねお父さん、

 24日の夜はわたし、外出しますから。

 いいですか?」

「サンタさんに会いに行くんだな」

「はあ?」

「ハルくんかっ……覚えたぜ!!」

「……(ポツリと)わたしは、もっとはやく覚えてほしかったわ」

「まあお父さんも忙しいんだ」

「じゃあ何で模型作ってるのよ」

「経営ビジョンの構築」

 

…頭痛がしてきた……

 

「では、イブの晩ごはん一緒に食べられないのは悪いけれど、そういうことですから」

外泊許可は?」

「何言ってんの!?

 家出するわよ、いっそ!!」