マキ、心のむこうに

高校の近くの某スタジオ

 

スーパーカーの『Lucky』のリフを弾く的場マキ。

 

 

スリーアウトチェンジ

スリーアウトチェンジ

 

 

「ずいぶん荒れてるねえ、マキちゃん。まるでヘビーメタルみたいな音だよ。スーパーカーがガンズ(・アンド・ローゼズ)になっちゃったみたいだ」

 

「・・・・・・ほっといてください」

 

あー、ムカムカする!!

 

許せない・・・・・・。

ビートルズって人の名前だっけ』って言った子が、バンドを作ろうだなんて!!

 

「喧嘩したんだろ」

「誰とですか」

「クラスメイト」

「そんな友だち、いません」

 

ええい、ここまで来たら、ビートルズヘルタースケルターを弾いてやる!

 

きっとあの子は、せいぜい『ヘルタースケルター』を岡崎京子のマンガのことだと思ってるだけなんだ。

 

 

 

ザ・ビートルズ

ザ・ビートルズ

 

 

(今日のマキちゃんは、鬼だな・・・・・・)

 

 

ふたたび高校

 

無謀だったんだ・・・・・・、

ビートルズを人の名前だと思ってた人間が、ロックバンドを作ろうだなんて!

 

「また途中でやめちゃうの?」

「すずか・・・・・・」

「あんた、いつも、途中でやめちゃうよね、損だよ、そういう性格」

 

図星・・・・・!

 

「ねぇ、すずか」

「弁解?」

「ちがう、あのね、すずかは、ビートルズのメンバー、全部言える?」

「えーと、ジョン・レノンポール・マッカートニー、あとのふたりは、そうそうリンゴ・スター、それと・・・・・・ジョージ・ハリスン!」

 

「( ゚д゚)」

 

「いや、こっちのほうが衝撃受ける側なんだけど」

ジョン・レノンって、イマジン歌った人でしょ」

「いや・・・・・・その前にビートルズのメンバーだったんだけど」

 

「( ゚д゚)」

 

「あのーこれは一般常識ですよ戸崎あかりさーん(-_-;)」

 

 

ふたたび某スタジオ

 

マキは今度はディープ・パープルを弾き始めた。

『ハイウェイ・スター』の間奏である。

 

マシン・ヘッド

マシン・ヘッド

 

 

「ふう、今日も成功」

 

「マキちゃん、リッチー・ブラックモアは、何大学だと思う?」

東京大学だと思います」

「すごいなあ、マキちゃん東大に入っちゃうよ」

「勉強は苦手です」

 

 

「それより!」

「ん?」

「わたしはジョン・ロードが欲しいんですっ

 

ジョン・ロードみたいな彼氏?」

「違います(即答)」

 

「この曲のリフに合わせられるようなキーボードを・・・・・・キーボードを弾けるひとを」

 

 

どうしようかな・・・・・・、

あの子のこと。

学校で顔を合わせづらくなっちゃったなあ・・・・・・。