バカ犬と呼ばれた男

AM6:00

◯愛の部屋

目覚ましのオルゴールが鳴る。

ぬいぐるみを抱きかかえながら、むくりと身体を起こす愛。

5秒後にベッドから離れ、姿見で癖毛がないか確かめる。

パジャマの上着とシャツを脱ぎ、あまり大きくない、レースの付いていないブラジャーをつける。

パチーンと音が出るような勢いで、背中でブラジャーを留め、前の晩にちゃんと用意しておいた上着を着始める。

 

AM6:30

 

◯リビング

ソファに座った明日美子さんがNHK総合を観ている。

 

愛「おはようございます!」

明日美子さん「ふわぁぁぁ、はやいねえ、あいちゃん」

 

愛と明日美子さんの次に流さんが起きてくる。

 

流「おはよう、愛ちゃん」

愛「おはようございます!」

流「おはようございます、明日美子さん」

明日美子さん「おはよう~(*´ω`*)」

流「明日から大学なんです(´・ω・`)」

明日美子さん「あら」

 

明日美子さん「流くんは去年が成人式だったっけ?」

流「成人式は出てないですねー。でも、合法的にお酒が飲めていたことは確かです」

愛「成人の日か~」

流「二十歳過ぎたら人生折り返しモードだよ(´・ω・`)」

愛「うそっ」

流「だから、愛ちゃんには、今というかけがえのない10代の日々を大事に過ごしてほしいんだ(`・ω・´)」

愛「ど、どうしたんですか、急にあらたまって(;・∀・)」

流「あらたまってないよw

 何かのテレビドラマのセリフをパクっただけだよ」

愛「そ、そーですか(-_-;)」

 

 

◯キッチン

愛「(お湯を沸かしながら)『かけがえのない日々』かぁ……」

 

AM7:00

◯あすかの部屋の前

ドアを2回ノックする愛。

 

愛「あすかちゃーん、朝だよ~」

 

1分間ほどの沈黙。

 

<ガチャッ

 

愛「すごいすごい、祝日なのに、ノックしてから1分ぐらいで起きられたね~(*´∀`)」

あすか「がんばりました~ヽ(*´ω`*)ノ」

 

AM7:11

◯アツマの部屋の前

握りこぶしを作り、部屋のドアをガンガン叩く愛。

 

愛「起きろ! バカ犬!

 

沈黙。

 

愛は、両手でドアを10回連打する。

 

愛「起きろ! バカ犬!!

 

沈黙……

 

愛「起きろ! バカ犬……!!!

 

 

 

愛「(息切れして)はぁ、はぁ……。

 いつにもまして寝覚めが悪い駄犬だわ……」

 

>ガチャ

 

バカ犬もといアツマ「(-_-💢)」

愛「早く顔洗え、バカ犬!

アツマ「年上に向ってなんだその言い草は(-_-💢)」

 

AM7:20

◯アツマの部屋の入口

ようやく頭が冴えかけたアツマ。

バカ犬扱いされて、不機嫌。

 

なぜかニヤけている愛。

愛が何事かを悟った気がして、思わず背中が汗ばむ。

 

アツマ「なななななんですか愛さん、その表情は」

愛「すぐに出なかったの、イケない本でもベッド下に隠してたんでしょ( ̄ー ̄)ニヤリ」

アツマ「さ、さぁね♪~(´ε`;)」

愛「( ̄ー ̄)ニヤリ」

アツマ「……(;・∀・)」

愛「( ̄ー ̄)」

アツマ「あのー愛さん」

愛「なに」

アツマ「大変申し上げにくいのですが」

愛「はい」

アツマ「おなかがすきました」

愛「たまには自分で作れバカ犬!!