【愛の◯◯】愛と葉山先輩のサンデーモーニングテレフォン

「おはようございます、葉山先輩」

「おそよう」

「調子はどうですか」

「うん、悪くないよ。

ベッドに寝っ転がってるけど」

「無理しないでくださいよ」

「分かってる」


「キョウくんとね…」

「はい」

「あれからもう一回会った」

「いつですか」

「この前の祝日。

定期的に会うことになった」

「来てもらえばいいじゃあないですか」

「うん、彼のほうから来てもらう割合を多くして」

「うまく行くといいですね」

「なにが?」

「関係が」

ど、どういう

にぶいなあセンパイもw

「(・_・;)……」


「………………、

たしかに、キョウくんは、わたしの『あこがれ』だった。

小学生のときから、いちばん頼りになる男の子だった…」

好きってことじゃないですか!

「ーー」

そ、そこで沈黙されても困るんですけど

 

「あのね」

「は、はい」

「たぶん相思相愛なの」

!!

「でも、お互いの想いはね、まだ、言わないほうがいいと思うの」

!?

「さりげなく、そばにいたい、一緒にいたいというか……、たぶん、キョウくんのほうでも、そういう感じのこと考えてるはず」

「わかるんですね。」

「うん、わかるの」


「小学校の高学年になるとさ」

「はい」

「男子がガキっぽく見えてくるじゃない」

「たしかに」

「羽田さん、子供の頃、男の子とよくケンカしてそう」

「どうしてわかるんですか」

「図星?w」

「弟以外の男子と、取っ組み合いのケンカになったりしてました」

「気が強いのね」

「負けん気が強いんです。

それこそ高学年になったら、男子とケンカするのもバカらしくなっちゃいましたけど。

そのころかな……児童向けじゃない本をいっぱい読み出したのも」

「わたしもw」

「w」


「話を戻すとね、

ほとんどの男子は子供っぽくてイヤだったけど……キョウくんは違った。

男子より女子のほうが成長が早いものでしょ、高学年だと女子の身長のほうが高くて、でもキョウくんはあのころからわたしよりだいふ背が高かった、わたしも150センチは超えてたけど、キョウくんはーーいちばん背の高い女の子より大きかった」

「よく覚えてますね」

「だから、そういう面でも、彼はあこがれだったんだなーって」

「純粋にあこがれるってうらやましいです」

「なんで」

「…アツマくんは、わたしがどうしようもないとき助けてくれるけど、ふだんから彼自身がどーしよーもないってことがあるので」

そこがいいんじゃないw

たしかにねww

【愛の◯◯】あすか、オダサク(織田作)で食いしん坊バンザイ!?

アツマ「お前の部屋に入るのも久しぶりだな」

あすか「あっそ」

アツマ「勘違いするなよ。お前をエロい目で見るわけじゃないんだからな」

あすか「制服のこと?」

アツマ「そうだ」

あすか「何勘違いしてんの!?

アツマ「へ」

あすか「私が制服着るとは一言も言ってないんだけど

アツマ「(-_-;)そ、それはすまん」

 

あすか「あそこのハンガーにかけてあるのが高校の制服 」

アツマ「そうか。

 お前は藤村より背が少し小さいけど、」

あすか「『けど?』

アツマ「いや何でもありません」

 

× × ×

 

アツマ「お前の部屋にも本棚あったんだな」

あすか「当然」

アツマ「最近何読んでるの」

あすか「…お兄ちゃんこそ」

アツマ「俺はイェイツっていうアイルランドの詩人。劇作家としても有名らしいけど」

 

対訳 イェイツ詩集 (岩波文庫)

対訳 イェイツ詩集 (岩波文庫)

 

 

アツマ「左のページが英語の原文で右のページが日本語の翻訳だから、一石二鳥だ」

あすか「ふーん、勉強してるんだね…」

アツマ「で、お前は?」

あすか「・・・・・・」

アツマ「おーい」

あすか「・・・・・・」

アツマ「どうしたんだよ」

あすか「( ;;-_-)

アツマ「言えないような本でも読んでるのかぁ?」

あすか「別に…

 

 

夫婦善哉 決定版 (新潮文庫)

夫婦善哉 決定版 (新潮文庫)

 

 

 

アツマ「夫婦善哉(めおとぜんざい)、おださくのすけ、って読むのか」

あすか「うん」

アツマ「何でそんなに恥ずかしそうなんだw」

あすか「(;´Д`)本っ当に昔からそういう感覚は鋭いんだから!!

アツマ「あったりめーだろ

 

あすか「大阪に『自由軒』っていうレストランがあって――知ってるでしょ、生卵が中央にドーンと乗っかってるドライカレーみたいなやつ」

アツマ「あー、あれ、美味そうだよな」

あすか「この小説に出てくるらしくて」

アツマ「それが読む動機だったのか、

 (*^─^* )食いしん坊だな~、お前は!ww

あすか「( ;; >_<)生卵投げるよ!!

 

 

【愛の◯◯】セーラー服とパワプロ6

あすかの部屋

 

・姿見の前で、入学する高校の制服を着て、ルンルン気分のあすか。

 

 横を向き、スカートをひらひら~っとひるがえして、ニッコリ。

 

あすか「~♫」

 

あすか「(胸元を見て)気持ち、小さかったかもなw」

 

 

 

アツマの声『お~~~~~い』

 

 

 

あすか「なに💢」

 

アツマの声『パワプロやんねえか』

 

あすか「(姿見の自分を見たまま)いつの?」

 

アツマの声『6(シックス)

 

 

実況パワフルプロ野球6

実況パワフルプロ野球6

 

 

あすか「(゚Д゚)ハァ? 古すぎるでしょ!!」

 

アツマの声『イチローいるだろ

 

あすか「(・_・ )たしかに」

 

アツマの声『オリックスブルーウェーブで試合したいんだよ』

 

あすか「(・_・ )なに? わたしは近鉄やれ、とでも?」

 

アツマの声『あー』

 

あすか「(制服のネクタイをしゅるり、と取って)あー、じゃない」

 

アツマの声『オリックスオリックスとか、できたよなあ?』

 

あすか「(制服の上着をがばあっ、と脱いで)できたんじゃない?」

 

アツマの声『んー、じゃあおれが近鉄でもいいよ…』

 

あすか「(キャミソールの肩紐を整えつつ)だめじゃん。近鉄だったらお兄ちゃんイチロー操作できないじゃん」

 

アツマの声『そうだった』

 

あすか「(スカートのファスナーに手をかけ)パワプロ6のパ・リーグってどこが強いの?」

 

アツマの声『西武かなあ』

 

あすか「(スカートを畳みながら)ハムは?」

 

アツマの声『ハムも強いんじゃねーか? ビッグバン打線ってたしかこの頃だったろ』

 

あすか「(履こうとした短パンがきつくてう……

 

アツマの声『おーい?』

 

あすか「(タンスを漁りながら)……(~_~;)」

 

アツマの声『おーいあすかぁ』

 

♫コンコンコンコンコンコン♫

 

あすか「バカ!! ノックすんな💢

 

 

 

 

 

リビングに兄妹は降りた

 

アツマ「あれから部屋出てくるの遅かったな。友だちとLINEでもしてたんか?」

あすか「永久にノーコメント

アツマ「お…」

 

あすか「近鉄って2001年になくなったんだよね」

アツマ「ちげーよ! 2001年に優勝したんだよ」

あすか「最後に優勝したの、わたしが産まれる二年前だった、ってこと?」

アツマ「そう。2004年に解散」

あすか「オリックスといっしょになったんじゃないの」

アツマ「まあねえ……」

 

アツマ「考えてみれば、イチローがメジャーに行ったのが2001年からだから、おれたち日本時代のイチローをまったく知らないんだよな」

あすか「あったりまえじゃん」

アツマ「・・・・・・」

あすか「・・・・・・わたしハム」

アツマ「じゃあオリックス

 

対戦は一進一退の攻防になる

アツマ「おまえも4月からはおれの母校の生徒になるんだなあ」

あすか「ずいぶんそっけなく言うねー」

アツマ「はやくおまえの制服姿が見たい!

あすか「(アツマの顔をガン見してばばばばばばばバカじゃないの!?

 あ……イチローがランニングホームランした

アツマ「ひっかかったひっかかったよそ見してやんのw」

あすか「(-_-;)お兄ちゃんの常套手段……、

 忘れてた」

 

あすか「どうせ母校の女子の制服は藤村さんで見飽きた~、とか言うつもりなんでしょ」

アツマ「言わねーよ」

あすか「えっ」

 

アツマ「・・・・・・」

あすか「・・・・・・」

 

あすか「……お兄ちゃん」

アツマ「なんだよ、早くビッグバン打線爆発させろよ」

あすか「見たい……?」

アツマ「なにを」

あすか「見たい……? わたしの制服

 

 

 

 

 

【新シリ(仮)】素直になれなくて

市内。

戸崎家のマンション。

玄関のカギをあけるあかり。

灯りを点けるあかり。

乱暴に靴を脱ぐあかり。

自分の部屋にドタドタと入っていくあかり。

自分の部屋のカーテンを、少しだけ開けるあかり。

もう日は落ち、地方都市の夜景が姿をあらわす。

あかりは眼をしばたたき、

「コーヒーのせいだーか、眼が冴えとる」

とひとりごちる。

 

× × ×

 

洋服に着替えたあかりが、ベッド脇にもたれかかって休んでいる。

ウトウトするあかり。

 

『戸崎さん、あなた、「ワイフェス」ってもちろん、知ってるよね』

『知ってるに決まってるよ! 自分の学校のことだもん。……去年の、ワイフェスは、あ、あんまし……だったけど』

『あんまし、何?』

『あんまし……見ませんでした』

『ほんとうに、音楽に興味持ってから日が浅いのね』

『的場さん、もしかして』

『出てないわけないじゃない』

『ごめん、知らなかった』

『別にいいけど……、戸崎さん、ワイフェスに出てみる気、ある?

『ええっ!?』

ゲストボーカル。意味はわかるよね?』

『うん、でも……ワイフェスって来月の終わりじゃん、そんな急に』

ワイフェスに出られるのはあと2回っきりなんだよ!? わかってるよね、戸崎さん!?

『うっ』

『バンドのメンバーには話つけとくから、本番までにボーカルを仕上げておくことね』

『きゅ、急に言われたって――』

甘い!!

『ヒィッ』

『そんな弱腰じゃ、ステージで何もできないよっ。声が出ないまま、ワンフレーズも歌えないまま、ステージが終わってしまってもいいの、あなたは?

 

 

いつのまにか目を覚ましているあかり。

「ステージで観客の前に立って、なんかやったこと、あったっけ。

 中学の文化祭の合唱コンクールと、演劇は……そんなにセリフもらえなかった。

 ワイフェスは、リハーサル……やるよね、モチのロン」

 

『あかりー、ごめんね遅くなって。これからご飯つくるけん』

 

「(母に向かって)おかえりー、ママー。

 大丈夫だよ、コーヒー飲んどるけん」

 

『?』

 

 

 

やはり、市内の、マンション。

的場家のマンション。

シャワーで洗った髪を乾かしているマキが、ぼーっとケーブルテレビの番組を観ている。

まだカーテンを開けっ放しにしている窓辺に、地方都市の夜景が映る。行き交う自動車のランプが明滅している――。

なかば放心状態のマキを、いぶかしげに見つめる母。

「マスターとなんか揉めたの?」

「マスターじゃない」

「へ」

「(垂らした髪をつまんで)同級生の女子と揉めた」

「(急激にニヤついて)えーっ、なに、痴情のもつれ~?」

「(赤くなって)ヘンなこと言わんで!

「わたしその同級生の娘気になるんだけど」

……秘密。

 

(――揉めに揉めた。

 というか、正確には、わたしが独りでキレてた)

 

『あなた「ワイフェス」って知ってるよね?』

『音楽に興味持ってから日が浅いのね』

『ゲストボーカル』

『ワイフェスはあと2回きりなんだよ!?』

『ボーカルを仕上げておいて』

『甘い!!』

『そんなんじゃ、戸崎さんステージで何もできないっ』

 

 

あ~~~~~っ

やおら天井を向くマキ。

いつのまにかテレビの近くに来ていた的場母が、マキの肩に手を置く。

「は~いごはんだよー、マキちゃん」

 

いつのまにか帰っている的場父。

家族三人の団欒の食卓、

だが、

(素直になれない……、

 母さんの百倍、戸崎さんに素直になれない。

 

 

 

 

× × ×

 

♪コンコンコン

 

ギョッとして、もたれかかっていたベッドから飛び上がるマキ。

ギターを入れたケースがベッドの上に置きっぱなしになっている。

朝の光が、カーテンを照らしている。

「い、いつのまにか、わたし寝てた」

『マキー? はやく朝ごはん食べんと、生活指導の先生がくるわよ~』

「くるわけないがん!! シャワー!!』

 

× × ×

 

朝の食卓。

マキ母「いつもながら、あんた面白い髪の結び方するね」

マキ父「たしかに」

マキ「たしかに、って……ショックだよお父さん」

マキ「ほら、早く食べんさい。お父さんが入れたコーヒーもあるけんね」

 

× × ×

焼いたパンを食べながら。

マキ父「おまえガッコの友達とケンカしたんか」

マキ「(ポカン、と口をあけて)と・も・だ・ち……」

マキ父「なんだ、だらしないで」

マキ「いや、ともだちがなんなのか、わからんくて

大爆笑する両親……。

マキ「そげん笑わんくてもええがん!

父「今度マスターに話きいてみるだわい、母さん」

母「そげ、そげ」

マキ「ごちそうさま!!

乱暴に椅子から立ち上がるマキ。

 

× × ×

 

マキの部屋。

昨夜、手入れできなかったギターを見つめる。

 

× × ×

マキ「いってきますっ」

母「あれ? ギター、持っていかへんの?」

マキ「――気分転換。」

 

 

 

続く

【愛の◯◯】18年目の相合い傘

湘南地方

来てしまった。

ひとりだけで。

 

幼なじみの鎌倉キョウくんが、

住んでいる土地にーー

 

行きの電車。

なんとかガマンできた。

でも、

キョウくんに6年ぶりに会うと思うと、

そこはかとなく胸が苦しくて、

何度か深呼吸をして、

ほかの乗客に変な目で見られたかもしれない、

ーー、

だ、だめ!!

マイナスの思考回路になっちゃ、だめ、わたし!!!

 

「(・_・;)たぶん…ここらへんが、キョウくんの住所の近く」

 

 

「ーーーーーー」

足が止まる。

脚がぶるぶる震える。

手のひらにじんわりと汗をかく。

 

まるでわたしの目の前に、開けちゃいけない部屋のドアが存在しているみたい。

そのドアを開けたら、わたしの心臓は張り裂けてしまうかもしれない。

 

勇気……、勇気。

 

 

でも。

 

 

雨が降ってきた……

 

「傘、傘」

 

「あ、あ、折りたたみ傘、落としちゃった。

 

 どうしよう、

 気分が悪いかも、

 このまま、雨に濡れて、うずくまっていたら、通る人にヘンにみられちゃう

 

たすけて、

たすけて、

でも、

わたし、

だれをたよるの。

 

八木が、電話で、受験の結果を伝えてきた。

 

わたし、日東駒専もひっかからなかったよw

 

そう伝える八木の声に、卑屈さは微塵もなく、朗らかだったーー。

 

歩き出さなきゃ。

八木は自分でもう一度歩き出そうとしている。

だったらわたしもわたしの足だけで歩き出さなきゃ。

 

 

「でも、でも、わ、わたし、

 たちあがれない。

 

 スマホスマホスマホスマホは、どこ、」

 

 

むつみちゃん?

 

 

(゜o゜; きょ、キョウくん!?

 

 

「そうだ、むつみちゃんだよね、キョウだよ、覚えててくれたんだね。」

 

キョウくんだーー、

キョウくんが、助けてくれる。

 

キョウくんに、

身体を起こしてもらって、

傘をさしてもらって……。

 

キョウくんの肩にすがりながら、

相合い傘で、キョウくんの家まで、いっしょに歩いた。

 

むつみちゃん、からだ弱かったもんね。

 ごめんな。

 もうちょい早く迎えにいきゃあよかったな

わたしひとりで行かなきゃだめだと思ったの。

 じ、自信は……なかったけど。

よくがんばったんだな

 

涙が止まらなかった。

 

 

キョウくんのお父さんもお母さんも、ぜんぜん昔通りで。

とりあえず、濡れた服を、着替えられるだけ着替えて。

お母さんのいれてくれた紅茶を飲んで。

用意してもらっていたお昼ごはんを4人で食べて。

 

窓辺に雨が降りしきるなか、

午後は、 昔話に花を咲かせ、

それから、

離れ離れになってからの、

キョウくんとわたしの6年間のことについて、

じっくりと語り合った。

 

 

 

で、「どうやって帰ったか」、って?

 

ヒ・ミ・ツ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【愛の◯◯】ふたりきりの婚約発表

伊吹!!

 

伊吹っ!! コラ💢』

 

はにゃ

 

あたし、せんせいなのに、おこられてるゾ~ 

 

 

(;・∀・)」

 

「『あ』じゃない!! 

伊吹ぃぃいい、次わたしの授業なんだけど!?

というか、

 

授業中に教師が寝るなスカポンタンっ!!!!!!!!

 

 

 

先輩の皆口先生に、怒られちゃった。

 

ーーん~、

いろいろなことに関するいろいろーー、

で、

寝不足だったのは事実。

 

 

 

もう授業のコマ入ってないし、きょうやる仕事、ぜんぶ終わらせちゃってるし、校内を少しお散歩してみるか。 

 

 

「あ、懐かしい、ここ、『見晴らしが丘*1』じゃん」

 

「(  ・∀・)ジ~ッ

 

 ……(。・ω・)ふーむ。

 あたしが生徒だった頃は、スカイツリーなんて、見えなかったなー」

 

 

 

放課後――

 

<どたどたどた

 

「(;´Д`)先生!💢 こんなところにいた!! 部活やりましょうよ、図書館に来てください!!」

「羽田さんダー」

「(;´Д`)ぐぬぬ……、

 

 (Д`;)伊吹先生って、高校時代は優等生だったんですよね。しょうじき全然信じられないんですけど…その、証言がたくさんありすぎて

「ふふん♫

 

 ソンナコトナイヨー、授業サボってここ(見晴らしが丘)でひなたぼっこしてたりとか、素行がちょっと、ね」

「でも宿題を忘れたことは一度もなく、学校は皆勤賞、テストの点もいつも上位にーー」

「テストの点は、文系3科目だけ」

「あ」

「だから、数学や理科の先生には、にらまれてたなー。

 

(わざとらしく羽田さんの目線に首を振り向けて)ーーそんでもって、イヤなことがあったりしたら、よく、ここに来てた」

 

 

「……」

「……」

 

「…………部活、行こうかw」

せんせぇ!!

 

 

 

「ーーなに、羽田さん?」

 

 

 

「せんせぇ、いぶきせんせぇ、その、ほんとうに、ほんとうに……、

ケッコンされちゃうんですね!?

 

 

おおっと!

 

…直球勝負。

 

 

「うん、するよ。教え子に言うのは、羽田さんが始めて。」

 

 

 

 

 

(シーン)

 

 

 

「武彦くん、苗字は『白川』なの。だから来年度からは『白川先生』って呼んでねん♫」

「イヤです。『伊吹先生』って呼び続けますからーーって、ってことは、

 

「あらやだ~wwwww寿退職するって思ってたでしょ、羽田さん?ww」

 

羽田さんの顔が、急激に赤くなった。 

 

「……ふあんでした、しょうじき

 

不安だったんだ、

寂しい思いを抱かせちゃったんだ、この子にも。 

 

……情けない。

 

「(羽田さんの手を取って)はい、元気出しなさいよ、羽田さん。あたしがこの学校から消えることはないんだから」

(ハッとして)せんせい、指輪、はめてる……!

 

羽田さん、気づいた!

 

そだなー、

指輪はめたからには、もっとシャンとしないとだめだなー。

 

「よし、約束しよっ」

ど、どんな約束ですか

授業中にあたし寝ない

「」

 

 

 

【愛の◯◯】アツマくん、和製大砲をめざせ!?

某スポーツセンター

 

「えー、きょうはアツマくんの誕生日おめでとう兼大学合格おめでとう兼高校卒業おめでとう……」

なげーよ!

「(´・ε・`)チェッ」

 

「……アツマくん、受験勉強で、机に向かってる時間が長かったでしょ?

 だから、『思い切り羽根を伸ばせる場所』はどこだろう? と思って」

「今日はさ、」

「話をさえぎるなっ」

「愛、」

「(ドクン)!?」

「おまえのベイスターズの帽子、似合ってるよな」

 

 

 

 

「・・・・・・ほんとう?」

 

 

 

 

「なにウットリしてんだバーカ」

「ど、どうせ野球観戦みたいなファッションよっ、きょうは」

それがいいんだろ?

「あ、あたりまえじゃない、キャッチボールするんだから」

「キャッチボールしたかったのかよww」

「💢」

 

「(プイッ)キャッチボールしないんなら、あそこのテラスでお昼寝してる」

「ずいぶんワガママに育ったもんだな!!

 どうりでお母さんと国際電話でケンカするわけだ」

なんですってぇ!?

 

<ポムッ

 

「(・_・;)グローブ…」

「はやくこっちこないとボール投げてやらんぞ~」

「(・_・;)うん。」

 

 

 

 

・・・・・・・・

テニスコート

 

・ものすごく気合を入れてスマッシュする愛

 

(えらい気合入ってるな、この前の全豪オープンにでも感化されたか?)

 

・愛とアツマ、延々とラリーが続くが……

 

愛「あ、あっ、とどかない!!!」

アツマ「どぉーだ」

愛「(-_-; )…勝てない…」

 

 

愛「卓球!! 卓球で勝つ

アツマ「(;´Д`)おおい、熱出すなよ―」

 

 

卓球場

・激しいラリーが展開されるが…

 

『ああっ!!!』

 

 

愛「(・_・;)…勝てない……

 

アツマ(しまった、本気出しすぎたか? すこしは手加減も必要だったかーー)

 

愛「(・∀・;)アツマくん、見直した」

アツマ「なぜに!?」

愛「(・∀・;)手加減しなかったから

 

 

 

愛「(*´∀`)ねえ、バッティングセンターあるよ!! 行こうよ?」

アツマ「('A`;)おまえの持久力は無尽蔵か……、

 まあおれもしんどくないからいいけど」←てめえのスタミナも何だよ!?

 

 

バッティングセンター

 

カキーン

 

カッキーン

 

係員のおっさん「ねえ! あの娘よく飛ばすねえ」

アツマ「おてんばが取り柄ですからね」

 

なんかいったでしょ💢💢💢

 

おっさんとアツマ『ひえええええええええええええええええええええええええ』

 

愛「(*´∀`)ねえ! 筒香みたいにカッ飛ばしてみてよ」

アツマ「(Д`;)無茶言うな!!」

 

アツマ「(Д` )よーし」

 

カッキイイイイイイイイイイイイイン

 

 

『うぉー!! 場外』

『場外ホームラン! 筒香みたいだぁ』

 

\( ´∀`ノノ☆パチパチパチパチ/

 

 

アツマ「ーーたは、ハマスタだったらレフトフライだな、風にもよるが…、

 ーーなに照れてんの、愛?

 

 

愛「(〃'▽'〃) ばかっ、誰だって照れるよっ

 

 

 

× × ×

 

アツマ「ほれ、梶谷グッズ(ヒョイッ)」

愛「(〃'▽'〃) えっ、梶谷モデルリストバンド!? どこにあったの

アツマ「あっち。12球団なんでもあったぞ」※Fictionであります

 

愛「(〃▽〃) ……ありがとう

 

 

 

 

 

さっきのおっさん「なんだ、いいガールフレンドもってるじゃんかw」

 

アツマ「……はい。

 名前みたいに、『愛』すべき女の子ですよ。

 

 

【愛の○○】葉山先輩の目にもナミダ

葉山先輩たちの、

卒業式の日

の朝

 

葉山先輩のおうち

の葉山先輩の部屋

 

「むくり」

 

「おはよう、羽田さん。」

「あ、センパイに先に起きられちゃった。

 てへっ」

 

「……」

「どしたー?」

「いや、センパイのパジャマ姿、なんか意外性があって、いいなあーって」

「いつも着るわけじゃないんだけどね」

 

「……」

「……」

「……制服着ましょうか。おんなじような体型だから間違えないようにしないとーー❗❓」

 

・パジャマのまま、愛を抱きしめる葉山先輩。

 

「はねださん…はねださん…

 

 ありがとう…

 

「な、泣くにはまだはやいって、センパイーー」

ありがとう、ありがとう…

 

 

あさごはん

葉山父「どーしたむつみ、涙は卒業式までとっとけよw フライングかー?w」

葉山母「オムレツ作ったのよ、ほら、むつみ好きだったでしょ? 朝にオムレツ食べるの!」

 

「(ボロ泣きしながら)おとーさん、おかーさん、ありがとう、ありがとぉぉ〜」

 

葉山父母と愛「(^o^)