【愛の◯◯】セーラー服とパワプロ6

あすかの部屋

 

・姿見の前で、入学する高校の制服を着て、ルンルン気分のあすか。

 

 横を向き、スカートをひらひら~っとひるがえして、ニッコリ。

 

あすか「~♫」

 

あすか「(胸元を見て)気持ち、小さかったかもなw」

 

 

 

アツマの声『お~~~~~い』

 

 

 

あすか「なに💢」

 

アツマの声『パワプロやんねえか』

 

あすか「(姿見の自分を見たまま)いつの?」

 

アツマの声『6(シックス)

 

 

実況パワフルプロ野球6

実況パワフルプロ野球6

 

 

あすか「(゚Д゚)ハァ? 古すぎるでしょ!!」

 

アツマの声『イチローいるだろ

 

あすか「(・_・ )たしかに」

 

アツマの声『オリックスブルーウェーブで試合したいんだよ』

 

あすか「(・_・ )なに? わたしは近鉄やれ、とでも?」

 

アツマの声『あー』

 

あすか「(制服のネクタイをしゅるり、と取って)あー、じゃない」

 

アツマの声『オリックスオリックスとか、できたよなあ?』

 

あすか「(制服の上着をがばあっ、と脱いで)できたんじゃない?」

 

アツマの声『んー、じゃあおれが近鉄でもいいよ…』

 

あすか「(キャミソールの肩紐を整えつつ)だめじゃん。近鉄だったらお兄ちゃんイチロー操作できないじゃん」

 

アツマの声『そうだった』

 

あすか「(スカートのファスナーに手をかけ)パワプロ6のパ・リーグってどこが強いの?」

 

アツマの声『西武かなあ』

 

あすか「(スカートを畳みながら)ハムは?」

 

アツマの声『ハムも強いんじゃねーか? ビッグバン打線ってたしかこの頃だったろ』

 

あすか「(履こうとした短パンがきつくてう……

 

アツマの声『おーい?』

 

あすか「(タンスを漁りながら)……(~_~;)」

 

アツマの声『おーいあすかぁ』

 

♫コンコンコンコンコンコン♫

 

あすか「バカ!! ノックすんな💢

 

 

 

 

 

リビングに兄妹は降りた

 

アツマ「あれから部屋出てくるの遅かったな。友だちとLINEでもしてたんか?」

あすか「永久にノーコメント

アツマ「お…」

 

あすか「近鉄って2001年になくなったんだよね」

アツマ「ちげーよ! 2001年に優勝したんだよ」

あすか「最後に優勝したの、わたしが産まれる二年前だった、ってこと?」

アツマ「そう。2004年に解散」

あすか「オリックスといっしょになったんじゃないの」

アツマ「まあねえ……」

 

アツマ「考えてみれば、イチローがメジャーに行ったのが2001年からだから、おれたち日本時代のイチローをまったく知らないんだよな」

あすか「あったりまえじゃん」

アツマ「・・・・・・」

あすか「・・・・・・わたしハム」

アツマ「じゃあオリックス

 

対戦は一進一退の攻防になる

アツマ「おまえも4月からはおれの母校の生徒になるんだなあ」

あすか「ずいぶんそっけなく言うねー」

アツマ「はやくおまえの制服姿が見たい!

あすか「(アツマの顔をガン見してばばばばばばばバカじゃないの!?

 あ……イチローがランニングホームランした

アツマ「ひっかかったひっかかったよそ見してやんのw」

あすか「(-_-;)お兄ちゃんの常套手段……、

 忘れてた」

 

あすか「どうせ母校の女子の制服は藤村さんで見飽きた~、とか言うつもりなんでしょ」

アツマ「言わねーよ」

あすか「えっ」

 

アツマ「・・・・・・」

あすか「・・・・・・」

 

あすか「……お兄ちゃん」

アツマ「なんだよ、早くビッグバン打線爆発させろよ」

あすか「見たい……?」

アツマ「なにを」

あすか「見たい……? わたしの制服