「加賀くん」
「なんだ? あすかさん」
「状況説明させてよ」
「どーぞ」
「後輩の加賀くんとのビデオ通話。スポーツ新聞部出身者同士のいわば『OGOB会』」
「なーんか大げさだな、『OGOB会』とか」
「そんなコト無いよっ!!!」
「叫ばなくても」
「……ねえ。加賀くん?」
「なんだよ」
「わたしさ、いま、ベッドに腹ばいになって、スマホ見ながら喋ってるんだけど」
「それがどーした」
「だらしないって思う? そ・れ・と・も……」
「だらしないのヒトコトだな」
「ガクッ!!!」
「や、なにがやりたいんだあんた」
「……わたしが、やりたいのはね」
「おう」
「『スポーツ新聞部に1年生の男の子が2人入ったんだよ』っていう、キミへの情報提供」
「男子2人? 初耳だな」
「言うの遅れちゃってた」
「その男子2人は戦力になりそうなんか」
「入学したての頃の加賀くんよりは200倍戦力になるみたいだよ」
「……ケッ」
「あははははは!! 加賀くんのそーゆー反応、ほんっとに面白いよねえ!!」
「どーせおれは問題児だったし、能力も無かったよ」
「だから、教育のし甲斐があった。特にわたしは」
「ヒドいコト言われたりされたりもしたけどな、あすかさんには」
「根に持ってるの?」
「持ってない」
「わーい☆」
「瞳を輝かせながら言いやがって……」
「ねーねーっ」
「は? 今度はなんだ」
「本宮(もとみや)なつきちゃんだけど」
「本宮がなんなんだよ」
「連絡。連絡とってないの」
「連絡とは」
「こうやってビデオ通話するとかさぁ」
「しねーよ、そんなの。あいつとは」
「ダメだよ!! いけないよ!! そんな薄情では」
「あのなぁー。もしやあすかさん、あんたはおれと本宮のカンケイについて余計なコト妄想してんじゃねーのか?」
「したらいけないの!?!?」
「お、おい、してんのかよ!!! 妄想」
「だって、加賀くん、なつきちゃんのココロの傷のお手当てしてあげたコトあったみたいじゃん」
「地獄耳かあんたは」
「そういう情報が流れてこないワケが無いでしょ。それで、キミは彼女に対しては、どんな認識を??」
「ハッキリと言わせてもらうが」
「うんうん」
「おれは、年下の女子には、変な気なんか起こさない」
「それってつまり……」
「へ、変な気、みたいなのを、起こすとしたら……と、と、年上の女子(ヒト)に向かって」
「ぎゃはははははは!!!」
「下品な笑い声やめてくれ!!! 通話切るぞマジで」