【愛の◯◯】一人称の表記と『ミスター非常識』

 

「リリカさん、リリカさん」

「なあに? 小百合(さゆり)ちゃん」

「私のもとに、『管理人さん』から手紙が来たんですよ」

「『管理人さん』って、このブログの?」

「はい」

「いきなりすごいメタフィクションだねえ。……ま、いっか、お手紙には、いったいどんなコトが?」

「私へのお詫びでした」

「お詫び?」

「そうです。『小百合さん。あなたの一人称視点だった記事で、あなたの一人称の表記が間違っていました。あなたの一人称は本来は漢字の『私』なのですが、その記事では平仮名の『わたし』となってしまっていたのです。管理人であるわたくしの不注意でした。お詫びいたします』って」

「……細かいんだね、管理人さんって案外」

「表記のミスとか細かいとこによく気付くものですよね。確かに、『私』は『わたし』じゃなくて『私』なんですよね」

「あと、小百合ちゃんも記憶力が良いよね。お手紙の文面をスラスラ言えるなんて」

「ホメられた。ありがとうございます、リリカさん」

「どういたしまして」

「えっと。ここで、自己紹介をしておきませんか?」

「読者の方向けに?」

「このブログに初めて辿り着いた方も居られるかもしれないですし」

「なるほど。じゃ、小百合ちゃんの方からお先に」

「承知しました。

 私のフルネームは川口小百合(かわぐち さゆり)です。大学の音楽鑑賞サークルに入会した1年生で、身長167センチ、先程も触れたように一人称表記は漢字の『私』、タメ口だと、『〜だわ』とか『〜なのよ』とか、2005年度産まれとは到底思えない語尾を使います。

 あと、このサークルの4年生会員男子『ムラサキさん』の今後が心配です」

「ありがと。次はわたしの方だね。

 朝日(あさひ)リリカです。小百合ちゃんのサークルの先輩である大学3年生です。現在(いま)も、サークル部屋で小百合ちゃんとダベっているシチュエーションです。身長は秘密ですが、一人称は平仮名の『わたし』、現代日本のハタチ前後の女子の標準的な話し方をしてる、はずです。つまり、小百合ちゃんと違って、『〜だわ』や『〜なのよ』を語尾に付けたりしないです。

 自分で言うのもアレですけど、このサークルの中では『常識人』のはずです。ですから、常識からかけ離れているムラサキさんのコトがとっても気がかりです。具体的には、就職活動の面接で圧迫されまくってるんじゃないかとか……」

「常識からかけ離れてるから、圧迫されるんでしょうかねえ」

「小百合ちゃんすごい苦笑いだね、可愛いね。……そうだねえ、面接で圧迫されて潰される前に、エントリーシートとかの段階で潰されてるのかもね。なんといっても常識ナシな人なんだから」

「あー、分かります分かります、リリカさんのおっしゃるコト。本来、就職活動のコトなんて1年生の私に分かるワケ無いんですけど、エントリーした企業に潰されちゃうムラサキさんのイメージが、ありありと浮かんでくる」

「ミスター非常識なムラサキさんだもんね♫」

「ですよね〜〜♫」