「加賀部長、きょうは短縮版です」
「た……短縮版!? い、いったいなんだそれは、本宮…」
「1000字以内におさめるのを目標にしましょう」
「だ…だからっ、短縮版って、なんだよっ!? おれの質問に答えろ、本宮っ」
「――短縮版は、短縮版ですよ」
「なっ……!」
「――自己紹介が遅れました。わたしは本宮なつき、スポーツ新聞部の1年生部員です。皆さん、よろしくお願いします」
「……『皆さん』??」
「加賀部長も、あいさつをされたらどうでしょうか」
「……遠慮しておく」
「……」
「な、なんだよっ本宮あっ、その顔は!!」
「……まぁいいでしょう」
「本宮……」
× × ×
「加賀部長、今回は、ブログの中の人から『お手紙』が来てるんです」
「…わけがわからなくなってきたぞ」
「読むので、聴いてください。
『加賀くんどうも。元気かい? スポーツ新聞部の部長職にも慣れたかな??
実は、少し、きみのことを気の毒に思っているんです。
というのは、『スポーツ新聞部シリーズ』で、きみの扱いがヒドいときが……多いので。
ま、書いてるのは、わたくし中の人自身なんで、本末転倒なんだけどね(笑)。
扱いがヒドくても、許して。…たぶんこの先、加賀くんが『主人公』になるときがやって来ると思いますから。そのときは、どうぞよろしくね。
健闘を祈ります。』
――だそうです」
「……。
チンプンカンプンだ、正直」
「そーですか?? わたしは、割りと理解できましたけど」
「それは、本宮、おまえの理解力が高いからだ。おれのおツムでは、文脈についていけない……」
「え!? 加賀部長、かしこいじゃないですかー」
「かしこい!?!? ……おれのことを『かしこい』って言ったの、おまえが初めてだぞ」
「ほんとですか~~??」
「ほんとだ。前代部長のあすかさんなんか、ヒドかったもんだ。まったくおれを評価してくれなかった……」
「え~っ」
「ま…マジ話で」
「――加賀部長。」
「ん…?」
「わたし、あすか先輩について、いっぱい知りたいことがあるんですよ。教えてくれませんか?」
「ぬ……」
「カリスマだったんですよね?? 文章力がすごくて、ギターも弾けて、ほかにもいろんな伝説を、この学校に――」
「……まぁな。すごい先輩だったよ。語り尽くせないほど」
「加賀部長のほっぺたが思わず赤くなるぐらい語り尽くせない、カリスマ女子高生だったんですね!!」
「……」