「アツマくん、今日は短縮版よ」
「マジかー」
× × ×
「『中の人』の3日間に渡る取材旅行を経て、めでたく更新再開」
「でも、初っ端から短縮版なんだな」
「仕方ないわよアツマくん。土曜日なんだから」
「なんで土曜日になるといつも短縮版なのか?」
「わたしに訊かないで」
「ちぇっ」
「地の文無いから状況説明するわよ」
「ご自由に」
「土曜の朝。マンションのダイニングテーブル。わたしとアツマくんは向かい合って朝ごはんを食べている最中」
「朝飯のオカズとか説明せんで良いのか?」
「あなたのほうのオカズがお皿に山盛りだったコトを強調しておけば問題無いわ」
「だが、おれはその山盛りオカズをほとんど平らげてしまった」
「そうね。そして、あなたは4回もご飯をお代わりしている。お米は貴重なのに……」
「愛」
「なによ?」
「食品ロスはダメだろ」
「なにそれ? 残ったお米を捨てるワケでも無いんだから、食品ロスは関係ないでしょ」
「いいや、ある」
「ただ単に食欲が旺盛過ぎるだけなんじゃないの?」
「確かに。愛、おれは自分の食欲の過剰さを受け入れて、5回目のご飯お代わりをする!!」
「う、受け入れちゃダメよ。『節制』ってコトバ知らないの」
「節制は明日でもできる」
「どうしてあなたは朝の時点でツッコミどころ満載なの……」
× × ×
「はぁ」
「溜め息つくんじゃない、愛ちゃんよ」
「アツマくんのせい」
「ごめん」
「……食べ終えたんでしょ? 『ごちそうさま』を早く言って」
「ごちそうさん」
「……」
「なんだどーした」
「『中の人』が取材旅行に行った。あの人は旅行するコトがしばしばなんだけど、わたしたちってあまり遠くに旅行しないのよね」
「大きな旅行といったら、5年前の関西旅行や2年前の山陰旅行ぐらいか」
「どっちも楽しかったわよね。5年前は、わたしとあすかちゃんの『修学旅行』も兼ねていた。2年前は、あなたの卒業祝いという意味合いもあった」
「懐かしさがある」
「2年前は、あなたとふたりきりの◯◯な旅だった」
「その◯◯にはなにが入るんだ」
「フフフッ」
「お、おい!! 不気味な笑みはやめろ」
「米子駅からタクシーに乗ったでしょ?」
「の、乗ったが」
「運転手さんに『新婚旅行』って言われた。言われた瞬間は恥ずかしかったけど、今ではすっかり良い思い出ね♫」
「そんなハプニングもあったな……」
「詳細は過去ログで♫」
「おまえ過去ログそんなに漁(あさ)られたいんか」