「アツマくん、今日は、短縮版」
「おー」
「1000文字を目安にするとして。……ところで」
「んー」
「昨日は、とってもとっても、ありがとう……。沈んでたわたしに、一生懸命優しくしてくれて。すっかり立ち直れた」
「なによりだ」
「アツマくんが言った通りなのよね。いざピンチを迎えると、普段のわたしと真逆になっちゃう。わたしがわたしでなくなって、簡単なことも、こなせなくなっちゃう」
「愛のチャームポイントだな」
「ちゃ、チャームポイントかしら」
「チャームポイントだし、だれがどう見たって萌え萌えポイントだろ」
「も……萌え萌えポイント!?」
「へへへ」
「な、な、なによその笑顔」
「ゴメンなぁ。気色悪くって」
「い、いや、気色悪いまでは、行かないけど」
「それは良かった☆」
「テンション高いわね……」
「高くもなるさ」
「どうして」
「春だから」
「春だから……??」
「だって春だろ。春本番って感じするだろ」
「たしかに、今が春じゃなかったら、いつが春なのか、って話ではあるけど」
「な?」
「アツマくん。あなたもしかして、『お花見行きたい』とか思ったりしてる?」
「してる!!」
「思いつくのはいいけど……お花見は、計画を立てなきゃ」
「だな。まずは、日時と場所か」
「そうね」
「何人ぐらいの規模になるかなあ」
「たくさん集まりそうよね」
「友だちの輪がデカくなってるもんな」
「童謡じゃないけど、100人はできたわよね、友だち」
「ハッピーなことじゃないか」
「テレフォンショッキングを何ヶ月も回せるわね」
「まーた、微妙に古い喩えを」
「『微妙に』じゃなくて、『かなり』古い喩えだと思うわ。ブラタモリも終わっちゃったし」
「ブラタモリ持ち出す必要、あったかね」
「まだミュージックステーションがあるけど」
「まあなあ」
「アツマくんをドッキリさせること、言おうかしら」
「え、なに」
「タモさんって、最初からミュージックステーションの司会だったわけじゃないのよ」
「マジかよ!?」
「わたしの弟が教えてくれたわ」
「さすがは利比古。で、タモさんの前のMステの司会って、だれだったんだ?」
「……」
「お、おいっ。答えれ」
「……」
「無駄な焦らしはNGでは!?」
「だってー。すぐに答えても、つまんないでしょー?」
「お、おれはすぐに答えほしい」
「ほしがらないのっ♫」
「おいコラッ!!!」
「すぐに答えを求める現代の風潮をあらわしてるわね」
「社会風刺はダメゼッタイだっ」
「どーしてよっ♫」