「アツマくん、今日はとっても短縮版よ」
「は！？ 『とっても』！？」
「６００字におさめるつもりで」
「……」
「ナットクできない？ ナットクしてくれたほうが、嬉しいんだけど」
「むむ……」
「お願いアツマくん。とっても短縮版であることを、受け容れて？？」
× × ×
「あのさ、愛」
「なあに」
「昨日に引き続いて、なーんか、おまえの態度が柔らかいんだよな。さっきも、優しい顔で『お願い』って言ってきたりで。おれ、戸惑っちまってる。おまえがそんなに甘くて優しいなんて」
「戸惑う必要なんか無いでしょ♫♫」
「だ、だから、そういう、いつもより甘めな態度が」
「接する態度が甘めでなにが悪いのよ～～♫♫」
「悪くはない。ただ、デレデレされ過ぎると、どういう対応をしたらいいのか分からんくなっちまう」
「そんなこと言わないでっ☆ おねがいっ☆」
「音符マークの次は……星マークか」
× × ×
「あすかちゃんがね」
「おれの妹が？」
「自分のバンドで、中山美穂と工藤静香の楽曲をアレンジしたものを演奏したんだって！ 録音があるから聴いてみましょうよ」
「まーた懐メロアレンジかよ。母さんの世代のヒット曲なんだろ？」
「いいじゃないのよっ☆」
「と、とつぜん胸にベタついてくるのはNG」
「中山美穂がWANDSとコラボして、『世界中の誰よりきっと』って曲を大ヒットさせて」
「母さんが高校生の時とかじゃなかったか？？ モノホンの懐メロだな」
「わたしは、世界中の誰よりアツマくんなんだけどね」
「……抱きつきやがって」
「うれしいんでしょ？？ ホンネは」
「……まあな」
