【愛の◯◯】思ったよりケンカする? わたしとあすかちゃん

 

「アツマくん、昨日は、ごめんね……」

「おー」

「……『おー』って。反応、微妙」

「ふふん」

「アツマくんっ!」

「――すまんすまん。

 まあ、よかったよ。

 めでたくおまえとあすかが、仲直りできて、さ」

「アツマくんの言ったとおり。わたしが、幼かった。

 あすかちゃんをあんなに突っぱねる必要もなかった」

「んーーっ、

 実は、さ、

 おれのほうも――おまえに厳しすぎたかも……って、反省していて」

「反省なんてしなくていいよ」

「いや。

 おまえを、責めてるみたいに、なっちまってたから」

「責められるのは当然。わたしに責任あったんだから」

「だとしても……ごめんな」

「……」

「愛? どうした」

「……」

「な、なんかいえ」

「優しいね、アツマくんは……。優しい」

「そっそうか? ――照れるな」

「優しい。優しいったら、優しい」

「なんじゃいそりゃ」

「――、

『優しい』って言いすぎちゃった。『優しい』のオンパレードだ」

「オンパレードって」

「――読者のみなさまが、ゲシュタルト崩壊してないか心配」

「コラ、愛っ、そーゆーことは言わない」

へけっ☆

ハム太郎のモノマネもNGだ

 

× × ×

 

「……にしても、おまえがハム太郎知ってるなんて意外だったな」

「不都合でもある?」

「いや、そういうわけでは…」

「ならいいじゃない」

「…はい」

 

「今後、おまえの口からどんなモノマネが飛び出すか乞(こ)うご期待なわけだが……」

「なによそれ」

「……それはそうとしてだ」

「?」

「おれは思ったんだ。

 愛と、あすかって――、

 意外と、ケンカするよな?

 

「どうしてそう思ったの……アツマくん」

 

「びっくりしてんなぁ」

「だって、だって!

『意外とケンカする』っていうあなたの認識自体が、意外だったし」

「……おれだって、ずっとおまえとあすかのコンビを見てきてるわけだよ」

「『コンビ』……?」

「コンビだろ、なかよしコンビ」

「……ただのコンビじゃないよ、わたしとあすかちゃんは」

「――かもしれないな。

 とくにあすかは、『おねーさん』と、おまえを実の姉のように慕っていて…」

「…わたしだってあすかちゃんを、大切にしてるよ」

「――わかってる。

 基本、とってもなかよしなんだ。それは、わかる。

 でも、ときどき、こじれる」

 

「……」

 

「ことばが出てこない、ってことは、痛いところを突かれた、ってことだな」

「……。

 こじれても、また、元通りになるもん」

「ああ。

 かならず……おまえらは、元通りになる。

 そんな、おまえらの関係が……おれは、微笑ましい」

 

「微笑ましい――」

 

「ま、これからもあすかをよろしく頼むぜ、愛」

 

「――待って、アツマくん」

 

「悪い、バイトには遅刻できないんだ」

 

「でも――!」

 

「そろそろ行かないと、バイトに間に合わんのでな。

 だから、きょうの記事は、文字数的に『短縮版』になった。

 あしからず」

 

……いじわるっ