【愛の◯◯】利比古くん、元気そうで、何よりだね

あらためまして、皆さんこんにちは。

 

僕、羽田利比古(はねだ としひこ)といいます。

 

…姉がいつも、お世話になっております。 

 

先週、姉からお知らせがあったと思うのですが、

日本の高校に入学することになったので、

戸部邸に住まわせてもらうことになって、

それでーー来日しました。

 

今週からは、僕も戸部邸の住人です。

 

アツマさんとあすかさんのお母さんの明日美子さんが、

「お邸(やしき)のメンバーが6人に増えた!」

と喜んでくれました。 

 

お気づきかと思われますが、姉の喜びかたは普通ではなく、

なにかと僕の日本生活を気づかってくれます。

 

正直言って過保護かな? と思ってしまう部分もありますが、

姉なので、もう仕方がないと、割り切っていますし、

大切に想ってくれるのは、僕のほうでもうれしいのでーー、はい。 

 

 

戸部邸

・リビング

 

・熱心に読書中な姉

 

「『詩としての哲学』*1…か。

 すごいタイトルの本読んでるね、お姉ちゃん」

 

「そう?」

 

「僕にはそんな難しそうな本読めないよ」

 

「そこまでむずかしくないよw」

 

「それはお姉ちゃんの基準じゃんか」

 

「そうだった…ごめんね利比古」

 

「す、素直すぎるよ」

 

「(ニヤリと)もうちょっと突っぱねてほしかった?ww

 

 

……わかっていたことだが、

声をかければ、

完全に、お姉ちゃんのペース。

 

 

「お姉ちゃんはすごいなあ。

 暇さえあれば読書してるんでしょ。

 

 僕は、長時間本を読もうと思っても、集中力が続かないよ」

 

「肩がこってくるんでしょ」

 

(うなずく)

 

「揉んであげるよ」

 

「!? 肩を!?」

 

「えっ……そのつもりで言ったんだけど……。

 

(落胆ぎみに、)そっか。

 恥ずかしいか。

 さすがに。

 そうだよね。

 男の子だもんね」

 

 

あっ…お姉ちゃんが落ち込み始めてる。 

 

 

「ーーお姉ちゃん。

 肩こったら、揉んでもらうのは、恥ずかしいんだけどさ、

 身体をほぐすストレッチのやりかたとか、たぶんお姉ちゃん知ってるんだろうから、

 そういうの、教えてほしいよ」

 

「(非常に明るく)わかった!!!

 

 

(^_^;)変わり身ーー早っ。 

 

 

× × ×

 

「でもねえ。

 (と言って、黄昏れるような顔になる)」

 

「え、どうかしたの」

 

「利比古はーー知らないかも、だけどさぁ」

 

「なに?」

 

「わたし、

 去年、本が読めなくなっちゃったことがあって、

 大変だったのよ」

 

「えっ、お姉ちゃんが、本をーー?」

 

 

・頬杖をついて黄昏れる姉

 

 

「いまも、その読書スランプの、リハビリ中みたいな状態」

 

「そうだったのか……、

 

 でも、なんか、お姉ちゃんが、そうなっちゃうの、僕にもわかる気がするよ」

 

わっわかっちゃうの、わかっちゃうのね? わたしのこと??

 さすが、としひこ、だなあ~

 

「人間誰しも完璧じゃないよ」

 

「…おとなになったねえ、利比古も」

 

「…お姉ちゃんよりは、おとなじゃないよ」

 

 

 

・そこに、あすかさんがやってくる

 

 

「利比古くん、元気そうで、何よりだね。

 

 ーー、

 あんまりお姉さんをいじめちゃダメだぞ。」

 

「い、いじめてないです」

 

「いじめてるつもりないわよ、利比古はw」

 

「ほ、ほらっ、お姉ちゃんもそう言ってるじゃないですか、」

 

「いじめてはないけどーー、

 でもちょっと、いじわるだったかもね~」

 

「おおおお姉ちゃんイジワルなこと言わないでよ!」

 

「だめでしょー利比古くん、おねーさんにいじわるなことしちゃー」

「して・ない・です!!」

「問答無用」

「どうして!?」

「利比古くん、いまヒマなんだよね?

 このお邸(やしき)、広いんだよ~~。

 整理整頓してほしい部屋が、山ほどあるんだけどな~~」

 

 

あすかさん…それは…なんというか、

罰ゲーム的な、なにかですか???

 

理不尽にも……。