わたし、青島さやか。
昨晩、愛が居候している戸部邸に行き、
アツマさんや、アツマさんの妹のあすかちゃんと、
ニンテンドウ64でひたすら遊んだ。
断っておくが、わたしも、戸部兄妹も、みんな2000年以降の生まれ。
でも、ウェーブレースやらマリオカートやらスマブラやら、なぜかあすかちゃんまでもが64の操作方法を知っていたし、あすかちゃん、「3Dスティック」のことを、ちゃんと「さんでぃーすてぃっく」と発音していたから、驚いた……。
で、ウェーブレースやらマリオカートやらスマブラで遊び倒したわけであるが、
愛はテレビゲームをやらないので、わたしたちが64に興じてるあいだ、手持ち無沙汰になっちゃうからどう気を配ろうか……と思ってたら、
「わたし編み物するから」
と、愛のほうから言ってきて、
ほんとにわたしたちが64やってる横で、チラチラテレビ画面を眺めながら、編み物をやりつづけていた。
いったいだれになにを作るの、愛……。
あ、
だれに、は、もう決まってるか。
てへへ。
アツマさんに、恥ずかしくて言えなかったことがあって、
『まるでわたしのお兄さんとゲームしてるみたいでした』
わたしの兄はとっくに社会人で。
忙しくて、64もゲームキューブも(ゲームボーイ)アドバンスの通信対戦も、近頃は一緒にできなくて。
だから、一緒に64やGCやGBAをやってくれる存在が身近にいて、
それはまあ戸部兄妹のことなんですが、
わたしを戸部邸に引き寄せてくれたのは、何よりも、愛。
愛がいなかったら、わたしどうなってたかわからない。
ストレートに感謝の言葉を伝えるのは、素直じゃないわたしには、わたしのお兄さんを正面から抱きしめることと同じくらい、恥ずかしくて。
でもーー、
少しだけ編み物の手を愛が休めたとき、
何も言わず、愛に微笑みかけた。
さりげない微笑み。
それが、感謝の意思表示。
まあ、ここまでは良かった、
んだけど。
帰り道、駅まで愛と一緒に歩いた。
しばらくは、夜の閑静な住宅街。
「……さやかはさ、」
「なに?」
「気になってる男の子とか、いないの?」
「ななななななによ藪からヘビに」
「ヘビじゃないよ、棒でしょww」
「あんたが突拍子もないこと言うからでしょ!?」
「アカちゃんは、気になる男の子、いるみたいよ」
「∑(゚Д゚; )マジッ」
「本人に言ったら全力で否定されるだろうし、相手の彼は優柔不断で、当のアカちゃんは相手に対してまったく素直になれないから、難しい道のりになるだろうけど」
「あんまり背中を押しまくってたら、アカ子に振り向きざまにぶん殴られるよ」
「そこまでアカちゃん攻撃的じゃないよ…(^_^;)」
「気になってる男の子ね……、
同年代には、いないね」
「年上?」
「そうだよ」
「(幾分か細くなった声で)アツマくん、とかじゃないよね……」
「まっさーかぁwwwww
恋愛小説の読みすぎなんじゃないの!?」
「もしかして大学生?」
「ちがう」
「(@_@;)もっと上なの!?」
しばしためらったけれど、わたしは「うん」と答えた。
「伊吹先生がね。わたしに、『魔女の条件』だとか『高校教師』だとか、教師と生徒の禁断の愛を描いた90年代テレビドラマの話をしてくれたことがあったんだけど、」
bakhtin19880823.hatenadiary.jp
(↑参考文献)
「さ、さやかが気になってる年上の男性、何歳ぐらいなの?」
「若いよ。
20代かな」
「ま、まさか、うちの学校のせんせいじゃないよね。
いくらそういう接点が学校っていう場所ぐらいしかなくったって、」
「(・_・;)」
「さやか?!」
「おーい、さやかってば!!」
「(・_・;)」