さいきん、愛が至るところで本を読んでいる気がする。
この前なんか、味噌汁を作ってる最中に、オタマで鍋をかき回しながら、片手で文庫本読んでた。
『(;´Д`)おいあぶねえよ!
文庫本に引火したり、味噌汁の中に文庫本落としたりしたらどーするんだよ』
そう言って、たしなめたところが、
『(・_・ )大丈夫。わたしそんなマネしない。
片手でページめくる技術マスターしたから』
ポカーンとするおれに追い討ちをかけるように愛は、
『(・_・ )満員電車のなかで文庫本を片手で読破する技術、教えてあげようか?』
なんて言ってきたのである。
うーむ。
夏休みのとき、『本が読めなくなっちゃった!』って、おれに助けを求めてきた愛と、同一人物とは思えなくなってくる。
まあ、本がどんなところでも読めるようになったというのは、良い傾向なのだろうが……。
愛「逆にわたしが本を読まないところ、教えてあげようかしら」
おれ「そんなところあるのかよ」
愛「( *`ω´)何言ってんのよ! あるに決まってるでしょっ💢」
おれ「ど、どこですか、それは」
愛「3つ教えてあげるわ」
その1:授業中の教室
おれ「ふーん、おまえは授業中に隠れて本読んでて、先生に見つかってチョーク投げられるタイプだと思ってた」
愛「何それ!?
ショックなんだけど」
おれ「(´ヮ`;)い、いや、いかにもおまえは、教科書に文庫本挟んでコソコソ内職的な読書をしているような」
愛「ないなあ~、ショック」
おれ「いまわざとおまえ『内職』と『ない・ショック』をかけただろ」
愛「( ー`дー´)ユーモアがないとね」
おれ「(´-﹏-`;)はぁ…」
愛って意外と、ダジャレ言ったり、突拍子もないこと言ったりするよな。
天然なのかどうかは別として。
『授業中ほかのことするなんて人の道に外れてるじゃないの』、と愛は言う。
(;-ω-)ウーン、ごもっともだが……、
「退屈な授業」なんて概念は、愛の脳内には存在してなさそうだ。
おれも深くは追及しない。
その2:野球場のスタンド
おれ「まあな、まず第一に、いろいろとうるさいからな」
愛「(・_・💢)そういう以前の問題でね」
おれ「え」
おれ「(;´Д`)ちょっと待て!! おれもおまえもその時代生まれてねえ、90年代だろ!?」
愛「何言ってんのよ!
第2次大矢政権よ、第2次大矢政権」
おれ「あ・・・」
おれ「にしても、大矢が監督で負けまくってたころなんて、おまえ生まれてるにしても、2002年生まれだし……」
愛「(・_・ )あんただって2001年1月生まれじゃないの」
おれ「そうか、そうだな」
愛「そうよ」
おれ「おれ、早生まれなんだった」
愛「そうね」
愛「……じゃなくって!!
例えばの話よ例えばの話。
別に山下大ちゃんの時代でもいいのよ、暗黒ベイスターズのハマスタ(横浜スタジアム)でのホームゲーム、七回裏三者凡退、10点差をつけられて暗黒ベイスターズは敗色濃厚、関内駅に向かい観客がぞろぞろ帰り始め……、
もう試合見たってしょうがないから、おもむろにスポーツ新聞やら夕刊紙やら週べ(週刊ベースボール)やら、挙げ句の果てに帰りの横浜線で読もうと思っていた文庫本を、あまりにも試合がしょうもないんで、しょうがないから開き始める観客たち……。
球場は暇潰す場所じゃないっての!
新聞や雑誌や本読むくらいなら、宮崎にヤジでも飛ばしてみなさいよ! 宮崎に甘いから、バント処理の送球よけるんでしょ!?
むーっ( 💢。•̀_•́。)」
おれ「( ゚д゚)ポカーン」
言葉が出ない──、
愛さん、それは実体験ですか、都市伝説の創作ですか!?
ロッテオリオンズの(平常時の)川崎球場ホームゲームじゃないんだから。
その3
愛「アツマくん、スポーツには詳しいよね。野球にしても、川崎球場で流しそうめんやってたバーベキューやってた、みたいなホントだか嘘だかわかんない都市伝説を知っていたり」
おれ「川崎球場だったかどうかまでは知らんよ」
愛「えっと、それで最後に3つ目のところね」
急に愛が大人しくなった。
愛「気づかない?
(照れ笑いを浮かべ)アツマくんが勉強してる近くでは、本を読まないようにしてるの。
もうすぐ大学の入試、始まっちゃうし、さ。
近くでわたしが本読んでると、気が散っちゃう……、
だろうから。」
おれ「へ」
愛「気づかなかった?」
おれ「全然」
愛「いじわるw」
『おれが勉強してるそばで本読んでたら、本を読んでるおまえのほうが、むしろ気が散っちゃうんじゃあないのか?』
──というツッコミを、おれは敢えてしなかった。
愛なりの、気配りも、オリジナリティがあって、なかなかよろしいではないか。