──センター試験まであとだいたい2ヶ月なんだけど、さすがに緊張感がわたしの内部でも盛り上がってきていて、ピリピリするあまり、三年か四年ぶりに母さんとケンカしてしまった。
いまさら反抗期って……w
アホらし。
情けない。
で、気晴らしになるだろうと思って愛ちゃんとはーちゃんの学校のピアノセッションを観に行った。
気晴らしっていうのは、受験ストレスと、それに起因する母さんとケンカしちゃったストレスっていう、ふたつの意味での気晴らし。
でもわたしが到着したらセッションはもう散会していて、残念だなあ、と思っていたら…、
保健室で仲睦まじく熟睡している、はーちゃんと愛ちゃんの姿を見て──、
すごく、
癒されたんだ。
ありがとう。
そんでもって、わたしは当然のごとくはーちゃんと愛ちゃんの寝顔を激写し、ふたりが目覚めたとたん、ふたりのがんばりを労(ねぎら)い、半ば強引に『打ち上げ』に連れて行ったのです。
例によって、喫茶店『メルカド』
わたし「さあさぁ、ここ、わたしのおごりだからさ、なんでも注文してね。
ね、疲れた時には、甘いものがいいって言うでしょ?」
はーちゃん「藤村さん、それ、根拠ないよ」
愛ちゃん「わたし、おなかがすきました」
わたし「(;´Д`)」
ご注文
愛ちゃん「ナポリタンとハムサンド」
はーちゃん「わたしも同じで」
わたし「……カフェオレください(・ω・`)」
ふたりとも、ずっとピアノ演奏してたからお腹空いたんだろうけど──、
もしかして大食い属性?
で、でも、
愛ちゃん「あ、ここワリカンでいいですよ、さすがに藤村さんに悪いですし」
わたし「ふたりとも──、
食べても太らない体質キャラ?」
ふたり『まっさかあw』
わたし「ふたりともスラッとしてて良いなあ」
愛ちゃん「気にしてるんですか? 藤村さんぜんぜん太ってないじゃないですか。
女子はそういうとこ気にし過ぎ…」
わたし「男子だったら即刻罵倒されるようなこと言うわね、愛ちゃん……」
脂肪って脂肪がないんだよなあ。
脂肪、胸にも行ってないしw
わたし「(´^ω^`)」
愛ちゃん「あー、『胸に脂肪行ってないね~』って目付きしてるー」
わたし「∑(´^ω^`;)」
ふたりはすごい勢いでナポリタンとサンドイッチを完食した
ふたり『ふーーっ』
わたし「ところで、どんな曲弾いたり歌ったりしたの?
わたし観そこねたから、教えてほしいな」
はーちゃん「いっぱい演奏したよねー」
愛ちゃん「ですねー。
えっと、じゃあ終盤のセットリストを」
- 小さな恋のうた(MONGOL800)
- Lazy bird(ジョン・コルトレーン)
- そばを食べれば(岸田繁)
- 虹(フジファブリック)
- クリスマス・イブ(山下達郎)
- プライベート・アイズ(ダリル・ホール&ジョン・オーツ)
- 橙(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
- Mr.P.C(ジョン・コルトレーン)
- ヒア・カムズ・ザ・サン(ビートルズ)【大トリ】
わたし「んー、『小さな恋のうた』と達郎の『クリスマス・イブ』しかわかんない、ごめんね^^;」
はーちゃん「いいのいいの」
愛ちゃん「今日の演奏を放送部のひとが録音してくれてるんだそうですよ。だから絶対藤村さんにも聴かせてあげます」
わたし「それならよかった」
はーちゃん「いろいろあったとこはカットでw」
愛ちゃん「ぬかりなくw」
わたし「……?(;^ω^)」
愛ちゃん「先輩、いちばん盛り上がったの、コルトレーンふたりでセッションしたところでしたねー。」
はーちゃん「そうね、ジャズだけどコルトレーンだから、みんなのってきてくれた」
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わたし「(椅子にもたれ)ジャズかー。
わたしには、まだ縁遠い世界。
ふたりともいろんな音楽知ってていいなー、
少しうらやましい」
わたし「(残り少ないカフェオレをスプーンでぐるぐる回しながら)ねえねえ、ふたりはさ。
音楽の趣味がダサい人って……きらい?」
はーちゃん「なーに言ってんのよ!!」
愛ちゃん「そんなわけないじゃないですかー!!」
わたし「そっか。
──本当の意味で、はーちゃんと愛ちゃんは、音楽を愛し、音楽に愛されてるんだね。」
はーちゃんと愛ちゃん『てれるなーww』
だけど──、
それが大事。