【愛の◯◯】「可憐なカレンちゃん」

 

「流(ながる)くん、今日は短縮版よ」

「そうなんですか、明日美子(あすみこ)さん」

「そうなのよ」

「文字数は……」

「800字ぐらい」

「それは、ブログの管理人さんが指定して……」

「いいえ。わたしが勝手に決めちゃった☆」

「エッ」

 

× × ×

 

「明日美子さん。明日は、アツマと愛ちゃんが、『プチ帰省』でこっちに帰ってくる日ですね」

「楽しみね」

「ぼくも楽しみです。久しぶりにお邸(やしき)が賑やかになる」

「うんうん♫」

「ご馳走(ちそう)を振る舞ってあげるとか、どうですか?」

「わたしが??」

「ハイ。明日美子さんの作る料理、すごくすごく美味しいですし」

「――流くん」

「は、ハイッ」

「ご馳走作るかどうかは、あとでお昼寝をしながら考えるとして――」

「……?」

「カレンちゃん。

 あなたの彼女さんのカレンちゃんは、いつになったら、邸(いえ)に来てくれるのかしら!?」

 

「と、と、唐突ッ」

 

「え~~、唐突なの~~!?」

「……不満なんですか?? ぼくが彼女を邸(ここ)に連れて来ないのが」

「ちがうわよぉ」

「……」

「わたしの顔面よく見て。『不満』の漢字2文字なんて、これっぽっちも感じられないでしょー??」

「……。

 申し訳ないんですが、彼女も……カレンさんも、なかなか忙しいみたいで」

「忙しいかぁ」

「ぼくよりも、遥かに」

「致し方ないのかな~~」

「すみません」

「でもでも、」

「な、なんですか」

「カレンちゃんって、名前の通りに、とっても『可憐』なんでしょ!??!」

 

「ん、ん、んーっと……」

 

「なーんでそこで口ごもるのよ~☆」

「ぼ……ぼく、彼女の容姿について、なんと申し上げたらいいのか、」

「わかってるのよ、既に。カレンちゃんが、可愛いのは」

「す、すでにわかってる、とは、」

昭和生まれのオバサンをあんまりナメちゃイヤよ!?

「……嬉々(きき)として言うんですね」