【愛の◯◯】アポ無しでスタジオにやって来て曲をリクエスト

 

「はい! おまちどうさまでした!!

 ランチタイムメガミックス(仮)のお時間がやってまいりました!!

 

 ……えーっと。

 やってまいった、んですが。

 

 きょうは実は、飛び入りのゲストというかなんというか……そんな子が、スタジオに来ていて」

 

どーーも。とびっきりの飛び入りゲストの、高津かがみで~~す

 

「……テンション高いね。放送部の副部長になったから、なのかな?」

 

「関係ないと思いますが!」

 

「……」

 

「羽田せんぱ~い。そんな眼で見つめないでくださいよ~」

 

「んっ……」

 

「そんなにわたしのこと、ゲスなゲストみたいに思ったりしてるんですか?! かなしいなー」

 

「…『ゲス』なんて、汚いコトバは使わないけど」

「けど?」

「この番組に出たいときは、前もってぼくに連絡してよね…」

「まーーた、融通がきかないんだからあ」

「た、高津さんっ……」

「なんですか? もしかして、怒ってたり?!」

「お、怒ってはない、呆れてるっていうほうが、近いかな……」

「エッひどい」

「……呆れもするさ。きみのテンションが、ぼくを侵食し始めてるよ」

「侵食??」

「どっちがゲストでどっちがパーソナリティか、分かんなくなってきてる」

「あ~~、じゃ、きょうはわたしがパーソナリティってことで」

「ぱっ、パーソナリティは……譲れないかなあ」

「エーッ」

「ぼくにも少しは、プライド、みたいなものが……」

 

「――先輩。」

 

「え??」

 

「曲のリクエストしたいんですけど」

 

「い、いきなり」

 

「リクエストしたいのはぁ……。

 松浦亜弥の、『Yeah! めっちゃホリディ』

 

「な、なんでまた、そんな曲を!?」

 

「懐メロだって思いましたか? …無理もないか、20年前の楽曲だし。

 だけど……」

 

「だけど……?」

 

あやや――松浦亜弥さんの『亜弥』って、放送部先代部長の猪熊『亜弥』先輩と、文字まで一緒な名前なんですよね」

 

「……つまり……こじつけ、なのかな」

 

こじつけじゃないですぅ

 

「…なんでスネるの」