【愛の◯◯】「性格ブス」って言わないで

今年はなんだか大型連休や3連休が多いが、体育の日も終わろうとしている。

で、きょうが10月14日。

もうこんな季節ーー。

 

それで、

わたしの17歳の誕生日まで、

ちょうど1ヶ月になった。 

 

「(お皿を拭きながら)…17歳かぁ」

 

× × ×

 

あすかちゃんは昨日のスコットランド戦(←ラグビーW杯)に狂喜乱舞して、部屋にこもりっきりでスポーツ新聞の記事を書き続けている。

 

流さんは彼女さんとデート。 

 

「(^_^;)ひまだなー」

 

 

アツマくんの部屋

♪コンコン♪

 

「(ドアを開けて)なんだ愛か」

「入ってもいい?」

「どうぞ?

 ヒマなのか? おまえ」

「さすがにわかっちゃうかー」

「宿題は?」

「もうした」

「予習は?」

「もうした」

「復習は?」

「やってないわけないじゃない、バカじゃないのw」

「言葉が悪ぃなあ、バカって言ったやつがバカなんだぞ」

「ーーそうだね。」

「なんでそこはそう素直なんだよ」

 

「お、おい、唐突に素っ頓狂な声あげんな」

「アツマくん」

「なに」

「もしかして、本を筆写していたの!?」

「あーそうだよ」

 

 

bakhtin19880823.hatenadiary.jp

 

おまえが本を書き写す代わりに、おれがおまえの書き写してほしい本を書き写してやる」 

 

「……で、おまえに依頼されたのが、」

カルヴィーノの『見えない都市』

 

見えない都市 (河出文庫)

 

 

 

見えない都市 (河出文庫)

見えない都市 (河出文庫)

 

 

「葉山の愛読書だったんだっけか?」

「そう。先輩が、よく文庫本を持ち歩いていたから、わたしも読みたいと思っていたんだけど、」

「まだ読むのがしんどいのか」

ーーどうかなww

「(;´Д`)おい! じゃあなんのためにおれがおまえの本をーー、

 

 って言っちゃ、だめなんだよな。

 おれが『筆写する!』って言い出したんだから」

「……どこまで進んだ?」

「全然進まねえよ。まだ20何ページとか」

「まあ筆写だからね。

 

 ーーアツマくん、腕や肩、痛くない?

 指はどう?

 ペンだこ、できたでしょ」

「なんてことないよ、鍛え方が違うんだ」

「(´・_・`)なんだ、わたしがさわってあげようと思ったのに」

「(;´Д`)『さわって』とか…イヤらしいぞおまえ」

 

「(アツマくんのベッドにどーんっ、と座って)

 だって暇だったんだもん」

「少しは話に脈絡をつけような……」

「なんで暇だったかわかる?」

「……」

アツマくんがどっかに連れてってくれないんだもん、わたしを

「……それはだなー、おまえのコンディションやら何やらも…台風もあったし…」

ふたりでどっか行きたいよ。買い物でも食事でもなんでも」

 

「ーーこの性格ブス。」

「うわっ!! ひどいひどいひどい」

「…あのさ」

「…ん?」

「おまえの誕生日、来月の14日だったよな。

 あと1ヶ月じゃん」

 

「どうして憶えててくれたの……」

 

ベッドに乗ってくるアツマくん。

わたしに顔を近づけるアツマくん。 

 

「アホ。

 憶えてないわけないだろ

 

「…あ、あ、あ、あつまくん、

 ちょっと、えーっと、そのね、

 その、きょりがちかいというか、せっきんしてるというか」

「おまえに近づいてなにが悪い」

「……、

 ……、

 

 わたしのかお、そんなみたい?

 

その言葉をわたしが言った瞬間、

アツマくんは、ガックン、と膝から崩れ落ちた。

 

…どうして?