【愛の◯◯】木曜、お昼前、姿見の前で

♫アラームの音♫

 

<ガッ

 

ーー鳥の鳴き声。

朝。

 

あたしルミナ。

大学の長期休暇も、まもなく終わり。

……、

(-_-;)それはそうとして、

少なからずよくない目覚め。

というのはーー。 

 

朝ごはん

「きいてよおかあさん!

 とんでもない夢見たのあたし!

 

 夢の中でね、高校の制服着てあたし走ってたの。

 『遅刻遅刻~』って、学校に向かって走ってたの。

 さすがに食パンはくわえてなかったけど。

 

 で、一心不乱に走ってたら、だれかと正面衝突して。

 ドッカーンって、マンガみたいに。

 そしたら、ぶつかったのが、なんと登校中のギンだったんだよ!!

 高校生のギンが、手を出して、『立てるか?』って。

 あたしどうしたと思う?

 もちろん首を振った。

 横にね。

 そうしたら、ギン、あたしに向かってなんて言ったと思う!?

 

 『もうちょっとスカートは長くしたほうがいいぞ』って!!!!!!

 

 ちょっと笑わないでよおかあさん!!

 爆笑?!

 

× × ×

 

部屋に戻り、

パジャマを脱ぎ、

服を選んで、

髪をポニーテールに結(ゆ)わえる。

 

ここで、今朝の一曲。

ーー90年代JPOP名曲発掘シリーズじゃないけれど、

globeの『Feel Like dance』 を再生する。

 

 

globe

globe

 

 

で、1曲聴き終わって、今朝の音楽タイムは終わり。

 

「公務員試験の参考書でも見るかあ」

 

 

 

「…まだこんな時間か。

 時間の経つのって、意外と遅いなあ」

 

読書タイムにすることにした。

こんな本を読む。 

 

ビート・キッズ-Beat Kids

 

 

 

 

「(本をパタン、と閉じて)ふー。

 もうちょっと速く読めたらいいんだけどな。

 

 まだお昼にならない。」

 

おもむろに立ち上がり、

姿見(すがたみ)に自分の姿をうつす。

 

おととい、戸部くんがバイトしてる喫茶店で会った、

葉山ちゃんっていう女の子。 

 

「可愛かったな、葉山ちゃん」

 

着てた服も可愛かった。

 

ーーちょっと、わたしもあの服、着てみたいかもしれない。

どこで売ってたのかな?

貯金もいっぱいあるし。

葉山ちゃんの連絡先、訊いておくんだった。

ーーでも、着たら着たで、ギンがなんか言いそう。

それが気がかりだ。

もっというと、怖い。

 

ギンはあたしの幼なじみで、

遠慮なく、服装についてなんか言ってきそうで。

 

『どぎつい色のスカートだなあw』

って、

いっぺん、遠慮のないギンが、あたしのスカートの色にツッコんで、

もちろんそのときあたしはギンの頭をはたいたけれど、

ほんとはほめてほしいの、

ギンに、

あたしの服、

こんなこと、誰にも言ってないけど、

ちょっとはわたしの服に好意的意見を表明してもいいじゃないの、

ギン。

女の子は、着ていく服を選ぶのに、時間がかかるんだから。

ずぼらなギンにはわかんないかなぁ。

ーー、

でもちょっとは、

わたしの着てる服、ほめてくれてもいいじゃん、ギン。

 

「………………、

 心のなかで語ってても、しょうがないんだけど、さ」