【愛の◯◯】小泉さんと八木先輩と

本日期末テスト開始

ファミリーレストラン

 

小泉「あー八木キタキタキター、こっちこっち、八木~」

 

八木「わたしおなかすいたんだけど

 

小泉「お昼抜いた?」

八木「抜いた。テスト範囲の勉強を優先させて」

小泉「ほんとに優先すべきは入試の勉強じゃないの、わたしたち3年はーー」

八木「(・へ・💢)あのねえ!!

小泉「ヒェッ」

 

(呼び出しボタンを連打する八木)

 

八木「カツカレーください。あとドリンクバー」

 

小泉「(口元にシャープペンをあてがいながら)わざわざいちばんカロリー高そうなものを……」

八木「(小泉の制服の胸の部分をガン見して)摂取したカロリーがほとんど胸に行くひとはいいよね!

小泉「うっ……」

 

小泉「わたしね、

 ぽっちゃり、ってわけじゃないんだけど、

 それにしても、ヘンな話だけど、自分の脂肪が胸に偏りすぎてるんじゃないかって、

 むしろ気にしてんの」

八木「この前羽田さんが居候してるお邸(やしき)に行ったんだけど」

小泉「あーそうだったそうだった! どうだった?」

八木「戸部くんのね」

小泉「羽田さんの彼氏クンだよね。戸部くんの?(興味津々)」

八木「戸部くんの妹が、あすかちゃんって言うんだけど」

小泉「(いちいちうなずきながら)うん、うん」

八木「いま中学3年でねーー、

 じきにあんたみたいになるかもね」

小泉「(゚.゚)キョトーン」

八木(不埒な流し目で小泉の胸を再度眺める)

小泉「Σ( ;゚д゚)ハッ」

 

『カツカレーおまたせしまし「戸部妹は将来有望である、と」

 

『え、えーと(^_^;)』

 

ウエイターさんのことばを遮ってしまった八木「orzすみませんでした…

 

 

ものすごい勢いでカツカレーを完食した八木

ティーバッグを大量に使いものすご~く濃い紅茶を作ってきた八木

 

八木『ゴクゴクゴク

 

八木「わたしこんなこと言うつもりで来たんじゃないの」

 

小泉「『こんなこと言うつもり』ってw

 (^_^;)テスト勉強やるんでしょ」

 

八木「期末の勉強はおいといて」

小泉「ええっ」

 

八木「小泉、あんたほんとに大丈夫なの? この前葉山が、自習時間に小泉と一緒になって、

 

小泉、「慶應受ける」のは決めてるらしいけど、「どの学部」っていう質問に対してははぐらかしてた

 

 ってなことを聞かされたのよ。

 わたし調べた。慶應の入試の出願期間、あと2週間もしたら始まっちゃう*1じゃん!

 (キレ気味に)ほんとに受けるの、あんた、慶應?!

 

 

小泉「・・・・・・・・・・・・受けるよ。」

八木「小論文の勉強、やってる?!」

小泉「してるよ。」

八木「SFCじゃないよね!?」

小泉「SFCじゃないよ」

 

小泉「・・・・・・・・・・・・文学部、いっぽん」

八木「マジで!?

小泉「だってほかに人文科学系の学部がないじゃないの」

八木「じゃあほかの大学、早稲田とか上智とかーー」

小泉「(首を振り)ううん

 

八木「ねえ、小泉、冗談言ってるんじゃないよね、あんたほんとにひとつの大学のひとつの学部しか受けないつもり!?

小泉「(首を縦に振り)うん。

 現代文が苦手、っていうのも、理由のひとつには、挙げられるかな」

八木「小論文ってもっと難しいと思うんだけど」

小泉「早稲田は個人的に肌に合わなくて、上智ICUはもっと肌に合わないからーー」

八木「小論文の勉強どこまで進んでんのよ?!

 そ、それに、早稲田肌に合わないって、受ける前から決めにかかって、しかもあんたの口ぶりじゃ慶應志望はしょしょしょ消去法的なっ」

 

唐突に八木の右肩に手を伸ばし、ぽん、と置く小泉

 

小泉「八木~、

 あんた、焦ってるでしょ?

八木「なにを焦ってるって?! むむむむしろあんたがすんごく落ち着きすぎ高校3年の冬にもなってっ、」

小泉「八木。

 受験を、形式ばって考えないの!

 

 わたし……悟ったんだ。

 

 

八木「小泉」

 

八木「小泉、あんたの下のなまえ、『こはる』だったよね」

小泉「うん、そうだよ、でもなんでいきなり?」

八木「(構わず)『こはる』って、漢字でなんて書くの」

小泉「大きい小さいの『小』に、太陽の『陽』で、こはる。」

八木「ーーそっか。」

 

小泉「どうしてこのタイミングで訊いたの?」

八木「気持ちが昂(たか)ぶってるって自覚したときは、眼の前にいる友だちのパーソナルデータ的なことを訊くの」

小泉「(・∀・)眼の前にいなかったら?」

八木「それはまた、別の話」

 

八木八重子「……わたしの名前、『八重子(やえこ)』っていうでしょ」

小泉小陽(こはる)「うん。」

重子「あんたのフルネームの一文字目と三文字目に同じ漢字があって、わたしのフルネームの一文字目と三文字目に同じ漢字がある」

陽「ほんとだね」

重子「ねえ、わたし、たまにカラオケで小泉今日子の歌を歌うの。

 完全に家族の受け売りで、ね……」

陽「どんな歌を?」

八木八重子「『あなたに会えてよかった』」

 

 

あなたに会えてよかった

あなたに会えてよかった

 

*1:「2018年12月25日(火) ~ 2019年1月21日(月) ※締切日は17:00まで」 一般入試:慶應義塾大学 学部入学案内(入学センター)より